【決算レポート】KLab、1Q(1~3月)は運営タイトル減と『キャプテン翼』の減衰で減収に 『スクフェス』は3月にサービス終了 運営型カジュアルゲーム2本をリリース

柴田正之 編集部記者
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KLab<3656>の2023年12月期の第1四半期(1~3月)決算は、運営タイトルが減少したことに加え、『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~』(以下『キャプテン翼』)の減衰トレンドが継続していることもあり、減収・赤字幅拡大となった。

売上高28億9100万円(前年同期比29.7%減)
営業損益3億800万円の赤字(前年同期2億8100万円の赤字)
経常損益3億2800万円の赤字(同1億2300万円の赤字)
最終損益3億6500万円の赤字(同1億7700万円の赤字)

■運営タイトル減少による売上減が続く

前回2022年12月期の第4四半期(10~12月)の連結決算を振り返ってみると、『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS』(『スクスタ』)の運営を他社に移管するなど、タイトルの移管および撤退により運営タイトル数が減少したことで売上高は減少していたものの、継続的なコスト削減や運営体制の見直しなどにより、営業赤字幅は大きく縮小していた。

今回の第1四半期決算では赤字幅が拡大しているが、これはブロックチェーンゲーム『キャプテン翼 -RIVALS-』のリリースに伴い、棚卸資産に計上していた受託開発費を一括で原価に振り替えたことにより、売上原価が増加したことなどが影響している。

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■『ブレソル』と『シャニライ』は堅調 『スクフェス』はサービス終了に

運営タイトルの動向を見ると、不採算タイトルの撤退などにより運営本数が減少する中で、『BLEACH Brave Souls』(以下『ブレソル』)と『うたの☆プリンスさまっ♪ Shining Live』が健闘した。しかし、『キャプテン翼』の大幅な減衰により、売上高は減少傾向で推移した。

『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』は、1~2月は堅調に推移したものの、3月はサービス終了に向けて軟調な推移となった。なお、ブシロード<7803>よりリリースされた新作『スクフェス2』については開発協力を行っており、今後一定期間の収益獲得を予定している。

海外売上高については、前四半期に開催した『キャプテン翼』のグローバル版の周年イベントからの反動減に加え、『ブレソル』のアニメ効果の一巡などにより、第1四半期の売上高は12億円台まで大きく落ち込んだ。

■運営型カジュアルゲーム2本をリリース

新作のパイプラインを見てみると、新規開発と支援モデルについては、前四半期から変更はなかった。一方、運営型カジュアルゲームは、2月に『つりライフ+』と『カナヘイの小動物 ピスケ&うさぎの小旅行』の2本がリリースされた。また、運営型カジュアルゲームについては、新規の企画が立ち上がり、プロジェクト化見通しは2本になっている。

ブロックチェーンゲームについては、オリジナルタイトルの『QAQA』(旧『Quizo.ooo(仮)』)の開発1件が進行中と、こちらは『キャプテン翼 -RIVALS-』が2023年1月にグローバルでリリースされた後は変化がない状況となっている。

なお、Electronic Artsと共同開発中の『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~』のエンジンを活用したサッカーのスポーツシミュレーションゲームについては、オーストラリア、ニュージーランド、インドネシアにて、5月25日よりオープンベータテスト(OBT)を実施している。

こちらは、世界各国のサッカー選手、リーグ等の公式ライセンスを取得したタイトルであり、グローバルのサッカーファンに広く受け入れられるヒット作となるよう、リリースに向けた最終調整を進めていくとしている。

■九州大学と新たなテーマでの共同研究を開始

期中のトピックとしては、九州大学と新たなテーマでの共同研究を開始したことが挙げられる。2022年5月開始した「機械学習を用いた新しいゲーム体験の創出」をテーマとした研究を発展させ、実際のゲームに組み込んで有効性を検証する予定だという。

■通期業績予想は引き続き非開示

なお、2023年12月期通期の連結業績予想は合理的な業績予想の算出が困難であるため非開示としている。

同社はコストコントロールを通じて利益創出に努めているものの、売上高の減少により赤字が継続している状況であり、新作のリリース、ヒットなどまずは浮上のきっかけとなるポイントが求められるところだろう。

KLab株式会社
http://www.klab.com/jp/

会社情報

会社名
KLab株式会社
設立
2000年8月
代表者
代表取締役社長CEO 森田 英克/代表取締役副会長 五十嵐 洋介
決算期
12月
直近業績
売上高107億1700万円、営業損益11億2700万円の赤字、経常損益7億6100万円の赤字、最終損益17億2800万円の赤字(2023年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3656
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