【レポート】新たなe-Sportsの発信地「Café&Bar RAGE ST」が池袋の駅中にグランドオープン! JR東日本3社と「RAGE」がタッグを組んだ新たな試みとは


CyberZ
、エイベックス・エンタテインメント、テレビ朝日が運営する国内最大級のeスポーツエンターテインメント「RAGE」は、JR東日本クロスステーションフーズカンパニー、ジェイアール東日本企画、JR東日本スポーツのJR東日本3社が共同出資して設立した「JR東日本グループeスポーツカフェ有限責任事業組合」のコンテンツパートナーとして、eスポーツの新たなカルチャー・ムーブメントを発信する拠点「CaféBar RAGE ST」を128日より、JR池袋駅東口にグランドオープンした。

RAGE」は、126日、グランドオープンに先駆けて「CaféBar RAGE ST オープニングセレモニー」を実施。エレクトロニック・アーツやCygamesといった日本を代表するゲームメーカーが集結し、e-Sportsの現状や2024年のトレンドに関するメディア向けのトークセッションを実施した。本稿では、その模様をレポートしていく。

JR東日本3社とRAGEから「CaféBar RAGE ST」の魅力を紹介





イベントは三部形式で進行。第一部では、オープニングセレモニーとして「JR東日本グループeスポーツカフェ有限責任事業組合」と「RAGE」の代表者が登壇し、挨拶を行うとともに当施設の説明やテープカットセレモニーを実施した。なお、第三部で実施された内覧会の模様も写真で合わせてお届けしていく。


MCは平岩康佑氏(写真左)とOooDa氏(写真右)が務めた。

まず始めに登壇したJR東日本クロスステーション フーズカンパニー長 常務取締役の深谷光浩氏は、「コロナ禍や、その後の行動変容もあり、お客様が駅に求める役割や期待される事柄も変わってきていると考えている」とコメント。これまでは、駅を通過するついでに利用する店舗が多かったが、今後の成長を図るためには“このショップがあるから駅に行く”という店舗を開発して新たな顧客を開拓していく必要があるとの想いを述べた。


JR東日本クロスステーション フーズカンパニー長 常務取締役の深谷光浩氏。JR東日本クロスステーションは、JR東日本の駅中において、小売り・飲食・飲料・商業施設の運営を行っている会社が20214月に合併して誕生した。フーズカンパニーは、その中で飲食事業を担当している。

そのための具体的な取り組みのひとつが、今回の「CaféBar RAGE ST」になる。本施設は、Z世代をターゲットに、近年、急速に拡大しているe-Sportsを取り入れた新しいカフェ&バーとなっている。深谷氏は「JR東日本3社とRAGE、関係各位の協賛企業の力を合わせたことで、快適な空間と美味しいドリンク、ハンバーガーを楽しみつつ、多くのイベントを体験できる、これまでにない新たなe-Sportsカフェを作り上げることができた」と本施設の魅力を伝えた。Z世代を中心とする若者や、サブカルチャーの拠点となる池袋で、快適な空間を提供すると共に、e-Sportsの新たなムーブメントやカルチャーを発信していくことができるのではないかと考えていると話して挨拶の締めとした。


▲店内には協賛企業のロゴも飾られていた。

続いて登壇したのは、CyberZ RAGE ゼネラルマネージャーの大崎章功氏。大崎氏は「オンラインだけでは中々友人と触れ合う機会がない中、これまで継続的に開催している「RAGE Shadowverse」が、オフラインで交流の場になっていると常々感じていました」とコメント。「コロナ禍においても、メタバース上にe-Sportsを観戦できる「V-RAGE」をリリースするなど、イベントを体験できる文化を提供してきました。コロナ禍が明けてからも、オフラインのイベントをいち早く再開させ、新たなムーブメントをどのように作っていくかを考えていた際にJRグループの皆様から素晴らしいプロジェクトに参画する機会をいただき、これはやるべきだと話して今日を迎えることができました」と経緯を明かした。


CyberZ RAGE ゼネラルマネージャーの大崎章功氏。

CaféBar RAGE ST」では、カフェでドリンクやフードを楽しんだり、e-Sportsの大会やイベントを体験したり、e-Sportsに馴染みがなく敷居が高いと感じる方にも、ここで初めてゲームを体験してもらいたいとのこと。そのほか、人気e-Sportsチームのユニフォーム展示なども行われているので、「何かひとつでもe-Sportsに触れるきっかけになれば良いと考えている」と大崎氏は本施設の狙いを話した。駅中にある施設なので、コアなファンからカジュアルな方まで幅広くの層の方にこの施設を盛り立てていただきたいとして挨拶の締めとした。

次に、JR東日本クロスステーション 常務執行役員 フーズカンパニー外食事業部部長の坂下佳久氏より、1階にあるカフェ&バーエリアとグッズエリアの紹介が行われた。


JR東日本クロスステーション 常務執行役員 フーズカンパニー外食事業部部長の坂下佳久氏。

カフェ&バーエリアには7台のモニターが設置されており、e-Sportsの観戦やパブリックビューイングを楽しむことができる。座席は全81席を用意しており、立ち席を入れると100名を超える人が集まれる場所になっているという。坂下氏は「多くの皆様に集っていただき、一堂に会することで大いに盛り上がりを見せていければと考えている」と話した。


▲カフェ&バーエリア。取材時は開店前のため席の配置などは変更されていたが、奥にもかなりのスペースが準備されていた。

また、カフェ&バーエリアで提供する食事は駅中で展開する飲食事業のノウハウを活用し、「RAGEバーガー」や「RAGEカツカレー」といったオリジナル商品を展開。夕方16時以降には、かなりボリューム感のあるスペシャルバーガーも用意している。飲み物に関しても、こだわりのあるコーヒーやソフトドリンク、ビールやハイボール、カクテルを含む20種以上のアルコール類をカフェ&バーで提供する。


▲「CaféBar RAGE ST」店長の土田氏。「お客様も従業員も笑顔でe-Sportsを楽しめる環境をしっかりと作っていきたい」と意気込みを語った。


▲こちらがメニュー。前施設だったハンバーガーレストラン「RBECKER'S」のノウハウも活かしてお手頃な価格でボリュームのあるハンバーガーを提供している。

一方、グッズエリアは池袋駅にあるモニュメント「いけふくろう」の先にある階段を上がったところのコンコースから入店できるようになっている。


▲人通りも多く駅直結のため非常に通いやすい立地となっている。

ここでは、RAGEオフィシャルショップという位置付けで、RAGEと組んだからこそ用意できる商品を取り揃えている。例として、国内外にあるe-Sportsプロチームのアパレルグッズやキャラクターグッズを取り揃えているのが特徴になっていると紹介した。なお、X(Twitter)にて商品情報を投稿したところ、既に多くの方々から反響があったとのこと。




▲グッズエリアの様子。

最後に、JR東日本スポーツ 代表取締役社長の穴吹昌弘氏より、2階にあるPCエリアの紹介と、「JR東日本グループeスポーツカフェ有限責任事業組合」の説明が行われた。

JR東日本スポーツでは、3年前よりJR松戸駅にてe-Sportsの店舗を経営していたという。しかし、その店舗が駅の改編に伴い閉店。次の店舗を探していたところ、3社で協業することになり、「CaféBar RAGE ST」の開店に至ったと話した。


JR東日本スポーツ 代表取締役社長の穴吹昌弘氏。

PCエリアはJR松戸駅で展開していた設備と似たような内容となっており、かなり高スペックなPCが置かれているとのこと。穴吹氏は「3年間の経営実績があるのでお客様にも自信を持って提供できる」と自信を覗かせた。さらに、台北の店舗には既に3000人ほどの会員がおり、こちらの映像を台北に流すことなども可能であることを明かした。今後は、そういった環境を活かしてさまざまなイベントを開催していきたいとの話だった。



▲予めデスクトップに置かれているソフトは許諾済みのタイトルとして自身のアカウントで遊べるほか、他タイトルをダウンロード・インストールすることも可能になっている。PCにはリカバリーソフトが入れられており、退去時には基の状態にリセットされるようになっている。



▲遊ぶだけでなく、配信が行えるブースも用意されている。かなり細かな機材まで設置されていたので、普段から配信をしている方や興味のある方は一度、活用されてみてはいかがだろうか。


e-Sportsの現状や未来をRAGE&ゲームメーカーがディスカッション

続く第二部では、RAGEやゲームメーカーが登壇し、直近のe-Sports市場やリアルイベントの開催についてパネルディカッションを実施。第一部から引き続きCyberZ RAGE ゼネラルマネージャーの大崎氏、MCを務めたe-SportsキャスターのOooDa氏のほか、エレクトロニック・アーツJapan Marketing and Communications Managerの徳永大地氏、Cygames マーケティング本部 副本部長 兼 eスポーツ室 室長の川上尚樹氏ら計4名がパネラーとして登壇した。


▲写真左から、MCを務めた平岩氏、パネラーとして登壇した大崎氏、徳永氏、川上氏、OooDa氏。

また当初、登壇予定だったが業務上の都合により欠席となったライアットゲームズ Commercial Partnership Japan Leadの進浩一郎氏からお祝いのメッセージが紹介された。進氏は「皆様の熱意と努力によって誕生しました素晴らしい施設が、今後e-Sportsカルチャーの発信拠点として多くの人々に喜びと活気をもたらすことを信じております。RAGE様には2021年、『VALORANT』のe-Sportsリーグ立ち上げから大会パートナーとして一緒に取り組んでいただいておりますし、他にも様々な場面でご一緒させていただいております。CyberZの大崎様をはじめとしたチームの皆様とも本音をぶつけ合える関係性をもって今後も大きな取り組みをさせていただきたいと思っています」と伝えた。

●直近のe-Sports市場について
パネルディカッション最初のテーマは「直近のe-Sports市場について」。2015年にブランドを立ち上げ、2016年から本格的に活動を開始したという大崎氏は「一番変化が訪れたのはコロナ禍だった」と振り返る。コロナ禍においてもオンライン大会という形で継続的にイベントを実施していたほか、ストリーマーやVTuberの配信を観る人や、それをきっかけにゲームを始める人が増えていたと大崎氏は語る。そういった状況からコロナ禍が明けたことでゲーマーの熱量が一気に爆発し、今は非常に盛り上がっていると捉えていると話した。



これには徳永氏も、コロナ禍前、最中、後で環境が変化し、今益々e-Sports並びにコミュニティの活動が盛り上がっていると感じていると賛同した。

川上氏は、2016年からRAGEと共にe-Sportsを展開してきたCygamesとして、当時、応援するより参加するという印象が強かったと振り返る。そこから多くの方々がゲーム配信を行うようになり、人となりを知る機会が増え、その人を応援しようという意識に変わってきているのではないかと自身の見解を示した。



キャスターとして長く業界を見続けてきたOooDa氏からもこの変化は感じているようで、外出ができない時期が続いたことで今までゲームに触れて来なかった人々がストリーマーを通してゲームに興味を持ち、選手の魅力にも気付いたという話を聞くことも多くなったという。多くの角度から、e-Sportsの盛り上がりを確かに感じているようだった。

また、グローバル市場で大きな市場を持つエレクトロニック・アーツから日本での市場はどのように見えているかという質問に対して徳永氏は「日本のコミュニティの皆様がオフラインイベントに関して凄く積極的であると感じている」と回答。プロシーンよりはカジュアルユーザーからの注目度が非常に高く、オフラインイベントを実施している回数や規模に関しては海外と比べても大きくなってきていると述べた。

●オフラインイベント開催における熱狂について
2つ目のテーマは「オフラインイベント開催における熱狂について」。昨今、さいたまスーパーアリーナや両国国技館など、非常に大きな規模でe-Sports イベントが開催されていることについてOooDa氏は、2011年頃からe-Sportsに携わってきた身としては、何万人のお客様が熱狂しているという光景が夢のようだと話した。また、とあるタイトルのファンミーティングでMCを務めた際には、そのゲームをプレイしているという来場者は6割程度で、残りの4割はゲームを観て楽しんだり、選手が好きで応援しているという人だったことが嬉しかったという。このことから、実際にゲームをプレイしていなくても観て楽しむ文化が育ってきていると述べた。



これには川上氏も、今までは大会に出ている人の上手いプレイを見て自分の参考にすることでモチベーションに繋げることが多かったが、今は自分の好きな選手やチームを応援できる環境があることで、感情移入してイベントに行きたくなるという好循環が生まれてきいるのではないかと見解を示した。

今後の盛り上がりについて大崎氏は、回を重ねるごとに来場者も増えてきているので、イベントの形式も工夫をしないといけないと語る。如何にイベントでの体験の価値を上げていけるかが課題となってくると話した。そのためにも、「CaféBar RAGE ST」で初めてe-Sportsに触れてもらうことで、次は実際のイベント会場にも参加してみたいと思っていただきたいと改めて本施設の役割を伝えた。

e-Sportsの未来について
最後のテーマは「e-Sportsの未来について」。本テーマに関して徳永氏は、e-Sportsがエンターテインメントとして他のプロスポーツと同様に日常会話の中に出てくるような環境になればありがたいと展望を話す。そうすれば、全体のシーンとしてもより活動がしやすい環境になっていくのではないかとコメントした。



大崎氏によると、2024年には国内のe-Sportsファンの数が1000万人、世界のe-Sports市場は30億ドルに到達すると予見されているという。この市場を形成しているのが若年層であることから、大きなビジネスチャンスにもなり得ると話す。そこでユーザーとの接触の機会を見出したいという方と取り組みができればさらに明るい未来を作れるのではないかと展望を話した。

さらに、海外から日本に来る観光客の方々にe-Sportsを目当てにしてもらえるようなイベントを作っていきたいとしたうえで、逆にRAGEが海外に出て行くようなチャレンジもできればと考えていることを明かした。

最後に、登壇者の面々より挨拶があり本イベントは終了となった。これまでにはない新たな形でe-Sportsに触れられる「CaféBar RAGE ST」。これを機に、ゲームファンはもちろん、ゲームに興味がなかった方も気軽にe-Sportsに触れられる場所になっているため、一度、訪れてみてはいかがだろうか。

(取材・文 編集部:山岡広樹)



株式会社CyberZ
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会社情報

会社名
株式会社CyberZ
設立
2009年4月
代表者
代表取締役社長CEO 山内 隆裕
決算期
9月
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