【決算まとめ①】ゲーム関連企業の2024年1~3月期は大幅な方針転換や再編が進む形に サイバーエージェントのゲーム事業が大幅伸長 新作遅れで難局が続くKLab
主要モバイルゲーム企業の2024年1~3月期の決算を振り返りたい。前四半期のDeNA<2432>に続き、この四半期はスクウェア・エニックスHD<9684>が開発方針の見直しに伴う大幅な損失を計上するなど、アフターコロナの市場環境下での体制変化を打ち出す企業が出てきている。
こうした状況は大手企業だけでなく、例えばモブキャストHD<3664>は子会社X-VERSE(現NINJIN)の既存ライセンスIP事業(ゲーム事業)を1月1日付でテンダ<4198>へ譲渡、ギークス<7060>は子会社G2 Studios(ゲーム事業)を3月29日付でTHE FIRSTに譲渡した。こうした業界再編の動きは今後も進んでいくことが予想される。
さて、今回も前回までの形と同じく、テーマごとに少し切り分け、この記事では1~3月期の決算シーズンの主要モバイルゲーム企業の決算の概略をまとめてみたい。これまでの記事とデータの連続性も踏まえ、エイチーム<3662>とgumi<3903>、アピリッツ<4174>、coly<4175>などの決算は11~1月期の数字を使用している。
なお、これまでと同様にサイバーエージェント<4751>(表中はCA)は、ゲーム事業の数字のみを取り上げている。また、表中では各企業の四半期推移(QonQ)での増収率・減収率で各企業を並べている。
ちなみに上記の業界再編に伴い、ゲーム事業を手放す形となったモブキャストHDとギークスは、次の4~6月期の決算まとめの集計データからは除外する方針だ。一方で、モブキャストHDのゲーム事業を取り込み、全体業績に対するゲーム事業の比率が高まったテンダを新たに次の4~6月期決算から集計データに採用する予定だ。
■『グラブルリリンク』と『ウマ娘』の貢献でサイバーエージェントのゲーム事業が伸長
この四半期の四半期推移(QonQ)での増収率が最も高かったのは、サイバーエージェントのゲーム事業だ。これは子会社Cygamesが2024年2月に発売した『GRANBLUE FANTASY: Relink』の売上が寄与したことに加え、主力タイトル『ウマ娘 プリティーダービー』の3周年イベントによる収益貢献が大きく影響している。
また、カプコン<9697>は、12年ぶりのシリーズ最新作として2024年3月に発売した『ドラゴンズドグマ 2』が販売本数262万本と大ヒットしたことが第4四半期のQonQでの大幅増収をけん引した。
半面、売上の落ち込みが目立ったのはKLab<3656>だ。KLabは、昨年12月に『うたの☆プリンスさまっ♪ Shining Live』のサービスを終了するなど運営タイトル数が減少した影響が大きいほか、この四半期は『BLEACH Brave Souls(ブレソル)』の売上が軟調に推移した。
■QonQでの業績改善目立つ 『アラド戦記モバイル』でネクソンは次の四半期に期待も
この四半期決算では、集計対象企業37社中の22社が増収、15社が減収となり、増収の企業が多数派を占めた。また、営業利益については、24社が増益(赤字幅の縮小を含む)、13社が減益とこちらも利益率が改善する企業が目立った。
ネクソン<3659>は、前年同期に『アラド戦記』が好調だった反動減などで、前年同比では減収減益となったが、QonQでは大幅な増収増益となった。続く第2四半期(4~6月)には、『アラド戦記モバイル』が5月に中国で配信開始となって好調な推移を見せており、順調な業績推移が続くことが期待される。
マーベラス<7844>は、コンシューマゲームの新作が想定を下回ったが、第4四半期(1~3月)期間は利益率でばん回が進む形となった。注目されるのはタカラトミーアーツと共同で2024年7月より稼働を開始する予定のポケモンキッズアミューズメントマシン『ポケモンフレンダ』で、その立ち上がりの状況次第では今期の第2四半期(7~9月)に大きな業績の山場を作ることも想定されるところだ。
なお、37社を売上高と営業利益の増減別に分けると、以下のようになる(並びはコード順)。
増収増益…MIXI<2121>、ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>、グリー<3632>、コーエーテクモHD<3635>、ネクソン<3659>、モブキャストHD<3664>、enish<3667>、コロプラ<3668>、オルトプラス<3672>、ケイブ<3760>、Aiming<3911>、マイネット<3928>、アカツキ<3932>、coly<4175>、イマジニア<4644>、サイバーエージェント<4751>、ギークス<7060>
増収減益…ブシロード<7803>、バンダイナムコHD<7832>、スクエニHD<9684>、カプコン<9697>、コナミグループ<9766>
減収増益…ボルテージ<3639>、エイチーム<3662>、ガンホー<3765>、gumi<3903>、ワンダープラネット<4199>、バンク・オブ・イノベーション(BOI)<4393>、マーベラス<7844>
減収減益…KLab<3656>、アエリア<3758>、ドリコム<3793>、カヤック<3904>、モバイルファクトリー<3912>、アピリッツ<4174>、セガサミーHD<6460>、東京通信グループ<7359>
会社情報
- 会社名
- 株式会社サイバーエージェント
- 設立
- 1998年3月
- 代表者
- 代表取締役 藤田 晋
- 決算期
- 9月
- 直近業績
- 売上高7202億0700万円、営業利益245億5700万円、経常利益249億1500万円、最終利益53億3200万円(2023年9月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 4751
会社情報
- 会社名
- KLab株式会社
- 設立
- 2000年8月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 森田 英克/代表取締役副会長 五十嵐 洋介
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高107億1700万円、営業損益11億2700万円の赤字、経常損益7億6100万円の赤字、最終損益17億2800万円の赤字(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3656
会社情報
- 会社名
- 株式会社カプコン
- 設立
- 1983年6月
- 代表者
- 代表取締役会長 最高経営責任者(CEO) 辻本 憲三/代表取締役社長 最高執行責任者(COO) 辻本 春弘/代表取締役 副社長執行役員 兼 最高人事責任者(CHO) 宮崎 智史
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1524億1000万円、営業利益570億8100万円、経常利益594億2200万円、最終利益433億7400万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9697
会社情報
- 会社名
- 株式会社マーベラス
- 設立
- 1997年6月
- 代表者
- 代表取締役社長 執行役員 兼 デジタルコンテンツ事業本部長 佐藤 澄宣
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高294億9300万円、営業利益24億1500万円、経常利益30億200万円、最終損益5億1700万円の赤字(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 7844
会社情報
- 会社名
- 株式会社ネクソン
- 設立
- 2002年12月
- 代表者
- 代表取締役社長 イ・ジョンホン(李 政憲)/代表取締役CFO 植村 士朗
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上収益4233億5600万円、営業利益1347億4500万円、最終利益706億0900万円(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3659