【決算まとめ①】ゲーム関連企業の24年10~12月期決算は約半数が増収増益を達成 ドリコム『ウィズダフネ』、DeNA『ポケポケ』と新作ヒットで業績好転
主要モバイルゲーム企業の2024年10~12月期の決算を振り返りたい。ゲームのマルチプラットフォーム化が進んでおり、スマートフォンゲーム関連企業もその対応を進める企業、コンシューマゲームへの注力を打ち出す企業など様々な動きが出てきている。
また、海外タイトルの国内市場進出がスマホゲームだけでなく、PCゲーム、コンシューマゲームでも大きく進んでおり、ボーダーレス化が翻訳、そしてAI翻訳と新たな周辺市場拡大につながっている。
なお、注目されるNintendo Switch後継機「Nintendo Switch 2」も4月2日に実施の「Nintendo Direct」でさらなる詳細が明らかになる予定で、2025年は市場に大きな変化のうねりが起きる可能性がありそうだ。
さて、今回も前回までの形と同じく、テーマごとに少し切り分け、この記事では10~12月期の決算シーズンの主要モバイルゲーム企業の決算の概略をまとめてみたい。これまでの記事とデータの連続性も踏まえ、エイチーム<3662>とgumi<3903>、アピリッツ<4174>、coly<4175>などの決算は既に次の期のものが発表されているが8~10月期の数字を使用している。
なお、前回は子会社チャリ・ロトの不適切な資金のやり取りの問題に関する調査の影響で決算が未発表だったMIXI<2121>は、通常通りの決算スケジュールに復帰しており、今回の集計データにも復帰している。
■『ウィズダフネ』好発進のドリコム、『ポケポケ』大幅寄与のDeNA
この四半期に四半期推移(QonQ)での増収企業で目立ったのはドリコム<3793>だ。これは第3四半期期間の2024年10月15日にリリースした新作『Wizardry Variants Daphne(ウィザードリィ ヴァリアンツ ダフネ)』が大きく貢献したことによるものとなる。なお、「Wizardry」IP自体をドリコムが保有しており、自社IPタイトルのヒットが大きな収益につながった形と評価することができるだろう。
また、この四半期を評価する上で外せないのがDeNA<2432>だろう。DeNAは、2024年にリリースした新作『Pokémon Trading Card Game Pocket(ポケポケ)』が順調に推移し、ゲーム事業の売上収益が前年同期比29.4%増、セグメント利益が同8126.8%増と大きく膨らんだ。なお、『ポケポケ』は、ポケモンとクリーチャーズとの共同タイトルとなるが、そのグローバルでの大ヒットぶりもあって、大きな収益貢献となっている。
半面、売上の落ち込みが目立ったのはアカツキ<3932>だ。アカツキは、前四半期に実施した『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』の世界同時キャンペーンの寄与の反動減に加え、『レスレリアーナのアトリエ』の開発・運営からの離脱や、『八月のシンデレラナイン』のサービス終了の決定などが響き、大幅な減収となった。
同様に5月に中国で配信を開始した『アラド戦記モバイル』や7月2日に配信を開始した『The First Descendant』の好調で第3四半期決算の好調ぶりが目立っていたネクソン<3659>も売上高は大幅な反動減となった。
■集計企業の約半数となる17社が増収増益を達成 8社が営業黒字転換
この四半期決算では、集計対象企業36社中の22社が増収、14社が減収となり、増収の企業が多かった。また、営業利益については、21社が増益(赤字幅の縮小を含む)、15社が減益と増益の企業が目立った。
特に注目されるのは、8社が前四半期の営業赤字計上から黒字転換を果たしており、この収益性の改善が一過性のものなのか、それとも業界全体の収益性の改善施策が大きく進んだのか、次の四半期に問われることになりそうだ。
なお、36社を売上高と営業利益の増減別に分けると、以下のようになる(並びはコード順)。
増収増益…MIXI<2121>、ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>、グリー<3632>、ボルテージ<3639>、ケイブ<3760>、ドリコム<3793>、カヤック<3904>、Aiming<3911>、モバイルファクトリー<3912>、アピリッツ<4174>、バンク・オブ・イノベーション(BOI)<4393>、東京通信グループ<7359>、ブシロード<7803>、マーベラス<7844>、スクエニHD<9684>、カプコン<9697>、コナミグループ<9766>
増収減益…ガンホー<3765>、マイネット<3928>、イマジニア<4644>、セガサミーHD<6460>、バンダイナムコHD<7832>
減収増益…enish<3667>、アエリア<3758>、gumi<3903>、coly<4175>
減収減益…コーエーテクモHD<3635>、KLab<3656>、ネクソン<3659>、エイチーム<3662>、コロプラ<3668>、オルトプラス<3672>、アカツキ<3932>、テンダ<4198>、ワンダープラネット<4199>、サイバーエージェント<4751>
会社情報
- 会社名
- 株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
- 設立
- 1999年3月
- 代表者
- 代表取締役会長 南場 智子/代表取締役社長兼CEO 岡村 信悟
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上収益1367億3300万円、営業損益282億7000万円の赤字、税引前損益281億3000万円の赤字、最終損益286億8200万円の赤字(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 2432
会社情報
- 会社名
- 株式会社ドリコム
- 設立
- 2001年11月
- 代表者
- 代表取締役社長 内藤 裕紀
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高97億7900万円、営業利益9億300万円、経常利益7億9300万円、最終利益1億400万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3793
会社情報
- 会社名
- 株式会社アカツキ
- 設立
- 2010年6月
- 代表者
- 代表取締役CEO 香田 哲朗
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高239億7200万円、営業利益26億7600万円、経常利益28億3400万円、最終利益12億8800万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3932
会社情報
- 会社名
- 株式会社ネクソン
- 設立
- 2002年12月
- 代表者
- 代表取締役社長 イ・ジョンホン(李 政憲)/代表取締役CFO 植村 士朗
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上収益4462億1100万円、営業利益1241億7600万円、税引前利益1959億8700万円、最終利益1348億4800万円(2024年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3659