グリーのゲーム・アニメ事業…『ヘブバン』周年の反動でQonQで大幅減収減益に 「複数のゲーム開発で佳境」で開発費先行も コンシューマゲーム参入に向けた準備も

柴田正之 編集部記者
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グリー<3632>は、8月1日、2024年6月期の連結決算を発表し、その決算説明資料を公開した。今回はその中から同社のゲーム・アニメ事業の状況を取り上げたい。

ゲーム・アニメ事業の第4四半期期間(4~6月)は、売上高97億4000万円(前四半期比25%減、前年同期比24%減)、営業利益14億2000万円(同45%減、同26%減)となった。

QonQで大幅な減収減益となっているのは、前四半期に実施した『ヘブンバーンズレッド』の2周年イベントなど大型施策の反動によるものとなる。また、YonYでの減収減益トレンドが続いているのは、期中に新規タイトルのリリースがなく、既存タイトルの経年減衰の影響が出ているためとなる。

また、利益面については「複数のゲーム開発で佳境を迎えているものがある」としており、2025年6月期以降に向けた新規タイトルの仕込みは順調に進んでいるもようだ。

ライセンス事業については、製作出資アニメの放映数の前四半期比減少と年初リリースの『聖闘士星矢レジェンドオブジャスティス』の売上減少により、QonQで43%の減収、55%の営業減益となった。

ただ、これは想定された要因によるもので、おおむね計画通りの推移としていた。

新作パイプラインについては、新規タイトルのリリーススケジュールの精緻化など見直しを行った結果、共同事業のタイトル数が前四半期の4本から2本に減少した。

なお、発表済みタイトルでは、『魔法少女まどか☆マギカ Magia Exedra』の開発・運営を担当することが明らかになっており、これが2024年中のリリース予定となっている。

今回新たな言及があったのは、コンシューマゲーム事業への本格参入に向けた体制準備だろう。現時点では「様々な試作が始まろうとしている段階」ということで具体的なタイトルがパイプラインに入ってきているわけではないが、今後中長期的な視点で何らかの動きが出てくることになりそうだ。

なお、ゲーム・アニメ事業の2025年6月期通期の見通しについては、新規タイトルの貢献は保守的に織り込み、売上・営業利益ともに昨年度対比で微減となる見通しとして、売上高433億円(前期比3%減)、営業利益38億円(同45%減)を見込むとしている。

2027年6月期までは、新規タイトルの仕込みやコンシューマゲーム本格参入に向けた先行投資に注力し、長期投資事業としての長期的な成長を目指す方針だという。

グリー株式会社
http://www.gree.co.jp/

会社情報

会社名
グリー株式会社
設立
2004年12月
代表者
代表取締役会長兼社長 田中 良和
決算期
6月
直近業績
売上高613億900万円、営業利益59億8100万円、経常利益71億2300万円、最終利益46億3000万円(2024年6月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3632
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