サイバーエージェント、2024年9月期 通期決算を発表…増収増益基調への回帰やABEMAの収益改善、IP創出・展開の戦略を説明(書き起こし)
サイバーエージェント<4751>は、2024年9月期通期決算説明会を開催し、代表取締役藤田氏が全体的に好調な業績を報告した。メディア事業ではABEMAの売上増加と損益改善、広告事業では市場成長以上の増収、ゲーム事業では新規タイトルのヒットにより増収増益を達成した。そして創業以来27期連続で増収を継続し、営業利益も増益基調に戻ったことも強調した。2025年の業績見通しについては、営業利益はほぼ横ばいだが、基本的には増益基調にあるとした。各事業セグメントの詳細な分析と今後の展望も示し、特にABEMAの収益改善と今後のIPの創出・展開に注力する方針を強調した。
※一部読みやすくするため、表現などを変更しております。
【目次】
■24年9月期の決算概況と25年9月期の見通し
■インターネット広告事業
■ゲーム事業
■メディア事業
■中長期の戦略
■24年9月期の決算概況と25年9月期の見通し
社長の藤田でございます。私から2024年9月期の本決算のご説明をさせていただきます。まず全体を通してですが、非常に良い形で着地できたと思います。
全体的に好調でした。まずメディア事業に関しましては、ABEMAの売り上げが伸びて損益が改善したことによって大きく増収増益となりました。広告事業に関しましては、ずっと好調ですが、今年も市場成長以上の増収となり、増収増益となりました。ゲームに関しましては、『ウマ娘』の反動が大きく大変だった時期もありましたが、増収増益となりました。これは新規タイトルが複数ヒットしたことによるものでございます。
全体の売上といたしましては、創業以来27期連続の増収を継続しております。グラフを見ていただきますと、21年に大きく売り上げが伸びたのは『ウマ娘』が空前の大ヒットしたことによるものでトップラインも大きく伸びました。ゲームの場合、新規タイトルがヒットしてもその伸びを維持するのは難しく、一度下がるのが一般的ですが、それを吸収して増収を継続できたことは非常に良かったと思っております。
営業利益に関してですが、2021年に『ウマ娘』が大ヒットしたとき、すぐに私の中でも想定して準備してきたことではありますが――通常、ゲームでケタ違いなヒットが出た場合、富士山のようなグラフになります。売上がぐんと上がったら、そのまま下がってしまい、色々なことで挽回しようとしても難しくなります。経験からこれが分かっていたため早い段階で準備をしてきたこともあり、この期で増益基調を取り戻せたと手応えを持っております。
販売管理費に関してはご覧の通り、前の四半期に上方修正をした後、さらにタイミーが上場したことによって、売却益が加わったため、その部分に関しては、ほぼ全て社員への特別インセンティブとしてます。
役職員数はもうすぐ8000名というところまで来ております。
損益計算書はご覧のとおりです。
貸借対照表もご覧の通りで大きな変動はありません。
当社は、ABEMAを見てもおわかりの通り、上場しながらにして大型の新規事業に取り組む会社でもありますので、中長期で保有していただけている株主のみなさまに短期的な株価の変動に関わらず、配当利回りの面でもメリットを感じてほしいということで、配当はDOEの指標を重要視しております。現在はROE、配当性向、DOE全て東証平均を上回っております。
続いて2025年9月期の業績見通しですが、業績見通しは増収増益の見通しとなっております。営業利益がほぼ横ばいの予想になっておりますが、これは2024年9月期の上方修正を出したことからもおわかりの通り、もう少し綺麗な階段で伸ばす計画でした。2024年度にコンソールゲームが当たったことにより、横ばいに見えますが、基本的には増益基調にあるということが言えると思います。
当期純利益に関してはABEMAの収益が改善してきたことで、以前より当期純利益を出しやすくなってきております。
■インターネット広告事業
続いてそれぞれのセクターごとについてご説明します。まずインターネット広告事業ですが、ずっと長い期間、安定的に成長しており、綺麗に増収を描いております。広告会社は季節性や特定の顧客の影響などでボラティリティが見られる業種と言えますが、安定的に成長していることは我々の強みと思っております。
営業利益は前期比で増益となりました。営業利益率が低下傾向のときに市場関係者の方からこのまま下がるのかというご質問がありました。それに対し、広告事業においても大きくAIに先行投資しているため、それが一巡して効果が出てくることによって回復基調に戻ると申し上げていましたが、その通りの結果となっています。
続いて四半期売上高の推移ですが、先ほど申し上げました通りボラティリティが非常に少ないところが当社の広告事業の特徴となっております。これは広告効果を重視して営業していることによって、そこまで大きな変動が出ないということが言えると思います。
営業利益に関しては、4四半期連続で2桁増益しております。
広告効果にこだわった営業スタイルに加え、AIに投資してきたことが広告の効果の最大化、もしくは我々の業務の効率化に繋がっております。
■ゲーム事業
続きましてゲーム事業です。先ほど申し上げた通り、『ウマ娘』の空前の大ヒットがあった後、長い低迷といいますか、ゆっくり下がっていきました。(下落過程では)サービスを新たに始めても焼け石に水になりやすい業態ではありますが、当社は2024年9月期でその時期を脱したと言えると思います。しっかり増収増益をしました。
こちらは四半期で見た場合の売上高です。Year on Yearでしっかりと伸びました。
営業利益も同様です。
『ウマ娘』に関しましては、ケンタッキーとのコラボを行ったり、コンソールゲームを出したり、非常にクオリティが高い映画を上映したりなど、着々とIPとして必要なことをしっかりやっていると思います。
今後のリリース予定で、もう既に『ちいかわぽけっと』をリリースすることを発表しておりますが、『ちいかわ』には非常に根強いファンの方がおりますので、大変期待しております。
2024年9月期はコンソールを含んだ5本の新規タイトルをリリースして、複数のヒットを達成しましたが、2025年以降もかなりのラインを仕込んでおりまして、安定的に新規タイトルをリリースしていける見込みです。
■メディア事業
続いてメディア事業ですけれども、メディア事業を通期で見ていただくとわかります通り非常に力強く増収しております。
営業利益でも、本当に長い期間にわたって大きな投資をさせてもらったABEMAの損益改善が進んできて、いよいよ2025年以降は収益を得ていくフェーズに入るタイミングとなります。
こちらは四半期推移です。営業損益について、この四半期は一時的な損失がありましたが、先ほど言いました通り、メディアビジネス全体としては、2025年以降は利益を上げていくフェーズに入ります。
ABEMA関連の売上高推移ですが、こちらも力強く伸びております。
ABEMAのWAUです。1000万WAUを目指すと開局当初に言っていて、それを2020年に達成しましたが、現在その3倍の3000万WAUまで到達しました。グラフを見てみると1つ突き抜けた数字が出ておりますが、これはサッカー・ワールドカップを中継したときのものですが、現在その水準近くに伸びてきております。しかも一つのコンテンツに依存せず、ニュースやアニメ、スポーツ、バラエティーなど満遍なく伸びており、非常に良い傾向だと思います。
ABEMAの大きな出来事として、この10月、11月、広告付きABEMAプレミアムという新料金プランの追加と、ABEMAプレミアムを少し値上げすることを同時並行で行っております。こちらも今のところ計画通り推移しておりますので、うまくいけば収益改善の足しになると考えております。
番組のクオリティを一気に上げるという目的で、ドラマのリリースを少し控えておりましたが、来月出る「INFOMA」、その次の「MOGURA」といった作品のリリースを控えております。ドラマにおいても、良い形でABEMAに貢献してくれるだろうと考えております。
■中長期の戦略
最後に中長期の戦略ですが、相変わらず2025年9月期においても増収増益モードで取り組んでいくことに変わりはありません。
その一方で、IPの創出には力を入れております。『ウマ娘』が自社IPとしてゲームやアニメでヒットして、非常に大きな成功を収めました。それをやれる力がグループ内にはもうすでにあると思っております。2024年度に関しましては、「刀剣乱舞」で有名なニトロプラスがグループに入ったり、漫画の源流を抑えるために「MANGA APARTMENT」を始めたりと非常に幅広く着手しています。
実は「ABEMA」の視聴者の半分ぐらいがアニメを見ているユーザーとなっておりますが、IPを育てる力、展開できる力がグループ内に幅広く備わってきたということです。今後、グループシナジーを効かせながら、当然ゲーム化を睨みながらやっていくことになります。
今後予定されているアニメ作品の映画もございます。2025年に「アポカリプスホテル」とゲームの「プロジェクトセカイ」の映画を主幹事でやる予定がございます。
私からのご説明は以上でございます。どうもありがとうございました。
会社情報
- 会社名
- 株式会社サイバーエージェント
- 設立
- 1998年3月
- 代表者
- 代表取締役 藤田 晋
- 決算期
- 9月
- 直近業績
- 売上高7202億0700万円、営業利益245億5700万円、経常利益249億1500万円、最終利益53億3200万円(2023年9月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 4751