トーセ、第1四半期の営業利益は通期計画を超過達成 高進捗認めるも不確実性や成長投資のため予想据え置き Switch後継登場は追い風か

トーセ<4728>は、この日(1月9日)の第1四半期(24年9~11月)の決算発表で、営業利益が2億9600万円と黒字転換したことを明らかにした。前回の決算発表で赤字は繰り返さないという経営陣の強い意志を感じたものだが、早くも黒字転換を達成して結果を出した。ただ、第1四半期の営業利益が1年間で稼ぐ計画の2億8000万円を上回ったにもかかわらず、2025年8月期の連結業績見通しは従来予想を据え置いた。

【第1四半期業績】
・売上高:17億1900万円(前年同期比83.5%増)
・営業利益:2億9600万円(前年同期は2億1200万円の損失計上)
・経常利益:2億9400万円(同2億0600万円の損失計上)
・最終利益:2億1300万円(同1億3900万円の損失計上)

【通期計画に対する進捗率】
・売上高:30.7%
・営業利益:105.7%
・経常利益:113.1%
・最終利益:133.1%

ゲーム開発プロジェクトの順調な進捗から売上・利益ともに好調に推移しており、通期の連結業績予想に対する進捗率も高い状況にあると会社側も認めている。第2四半期以降、業績悪化を招く、ネガティブな事象を想定しているわけではないようだ。

 

同社では、業績予想を据え置いた理由として、

・現在進行している開発プロジェクトのなかに試作段階で今後の開発進行に不確実性があるものも含まれていること
・2024年8月期後半に発生した開発プロジェクトの中止や失注で一部の稼働が高まっていない状況であること
・下期にゲーム事業で成長投資を検討していること

などを考慮したため、と説明している。

第2四半期以降の業績推移を見極めたうえ、通期業績の見通しの確実性がより高まってきたら速やかに見通しを開示する考え。前期2024年8月期において業績が大きく下振れした経緯を考えると、こうした姿勢は致し方ないのかもしれない。

慎重な姿勢だが、足元は良好だ。売上の大半を稼ぐゲーム事業は、家庭用・PCゲームで開発がピークを迎えているプロジェクトの進捗が計画よりも高いだけでなく、海外大手ゲーム会社との大型プロジェクトなど新規案件も複数進行していると明かした。ゲーム事業の営業利益は2億6700万円と通期計画1億7700万円を大きく超過した。

 

そして中長期的にも良好な事業環境が期待される。ゲーム業界の歴史を振り返ると、主流ハードのライフサイクルが後半に入ると業績を悪化させ、新ハードの登場とともに回復させる会社が多かった。PCゲームの盛り上がりもあって、かつてほど大きなサイクルになりづらいだろうが、今後予想されるNintendo Switchの後継機の登場は、豊富な実績を持つ同社にとって大きなチャンスになるのではないか。

株式会社トーセ
http://www.tose.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社トーセ
設立
1979年11月
代表者
代表取締役会長 齋藤 茂/代表取締役社長 渡辺 康人
決算期
8月
直近業績
売上高46億1500万円、営業損益5億2200万円の赤字、経常損益5億100万円の赤字、最終損益2億6000万円の赤字(2024年8月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
4728
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