東映、25年3月期決算は19.8%増の営業利益351億円…アニメ中心にマルチユース展開が好調、『聖闘士星矢The Beggining』に相当する評価損なく原価率改善

東映<9605>は、5月14日、2025年3月期の連結決算を発表し、売上高1799億2200万円(前の期比5.0%増)、営業利益351億5500万円(同19.8%増)、経常利益399億9200万円(同13.2%増)、最終利益157億2200万円(同12.5%増)だった。

・売上高:1799億2200万円(同5.0%増)
・営業利益:351億5500万円(同19.8%増)
・経常利益:399億9200万円(同13.2%増)
・最終利益:157億2200万円(同12.5%増)

業績に大きな影響を与えるヒット映画等はなかったものの、アニメコンテンツを中心としたマルチユース展開が引き続き好調で増収となった。利益面では、増収効果に加えて、人員増強やベースアップによる人件費の増加、映画村再開発、東映本社の建て替えに伴う既存建物の早期償却による減価償却費の増加で販売管理費が増加したものの、劇場用映画『聖闘士星矢The Beggining』の作品評価損を計上した前年に比べて原価率が改善したことが増益につながった。

 

■映像関連事業

売上高は1340億2400万円(同6.4%増)、営業利益は336億5500万円(同27.8%増)となった。

映画事業では、提携製作作品等34本を配給し、このうち、『帰ってきた あぶない刑事』『わびたふるぷりきゅあ!ざ・むーびー!ドキドキゲームの世界で大冒険!』『35年目のラブレター』がヒットし、『【推しの子】-The Final Act-』『室町無頼』『THE FIRST SLAM DUNK 復活上映』『映画 仮面ライダーガッチャード ザ・フューチャー・デイブレイク/爆上戦隊ブンブンジャー 劇場BOON! プロミス・ザ・サーキット』が好稼働した。

ドラマ事業では、『科捜研の女 season24』『特捜9 season7』『相棒 season23』『君とゆきて咲く~新選組青春録~』『仮面ライダーガッチャード』『仮面ライダーガヴ』『爆上戦隊ブンブンジャー』『わびたふるぷりきゅあ!』『新☆暴れん坊将軍』『花のれん』等を製作して作品内容の充実と高視聴率の獲得、受注本数の確保に努め、特撮キャラクターの国内商品化権営業は玩具等に関する消費者の嗜好が多様化するなか、堅調に推移した。

コンテンツ事業では、国内においては、新作旧作を含む劇場用映画・テレビ映画等の地上波・BS・CS放映権販売、配信事業者向けの配信権販売及びビデオ化権等の販売を行い、『十一人の賊軍』『【推しの子】-The Final Act-』『THE FIRST SLAM DUNK』『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』『ワンピース』『ドラゴンボール』シリーズ等の配信権販売が好調に推移したことに加え、配信向け映画である『【推しの子】』『七夕の国』が売上高に貢献した。

の中でも、『【推しの子】』は日本におけるAmazonオリジナル作品として配信後の30日間・国内視聴数歴代1位を記録した。ビデオ化権販売においては『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』が売上高に貢献し、ビデオソフト販売においては『帰ってきた あぶない刑事』が売上高に貢献した。

なお、パッケージ業界全体が縮小傾向にある中、同社のパッケージ事業を連結子会社・東映ビデオに移管することで経営資源を集約した。

さらに、新作旧作を含む劇場用映画・テレビ映画等の海外向け上映権・配信権・商品化権等の販売も行い、『ワンピース』『ドラゴンボール』シリーズ、『仮面ライダー』シリーズ、『スーパー戦隊』シリーズ、『ビーロボカブタック』等が好調に稼働した。

その他、撮影所事業では、劇場用映画・テレビ映画等の受注製作、部分請負等を行った。

 

■興行関連事業

売上高は189億6600万円(同6.0%減)、営業利益は7億8200万円(同59.0%減)となった。

映画興行業では、連結子会社・ティ・ジョイによるシネマコンプレックス(2024年9月24日に開業した「T・ジョイ エミテラス所沢」含め23サイト230スクリーン。共同経営・共同運営含む)の運営が事業の中心となっており、『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』『キングダム 大将軍の帰還』『ルックバック』『ラストマイル』『はたらく細胞』等の大ヒットが業績を牽引したものの、好調だった前年度に比して反動減となった。

 

■催事関連事業

売上高は112億300万円(同11.1%増)、営業利益は12億6900万円(同10.8%減)となった。

『王様戦隊キングオージャー ファイナルライブツアー 2024』『わびたふるぷりきゅあ!いっしょにあそぼ♪わびたふるワールド』『仮面ライダーガッチャード ファイナルステージ』や人気キャラクターショー等の各種催ことが好調に稼働し、

また、映画関連商品及び催事関連商品の販売並びにオンラインストアでの販売、仮面ライダーストア等でのキャラクターグッズの販売が堅調に推移した。東映太秦映画村においては、リニューアル工事により営業エリアの一部を制限しているものの、季節ごとに開催している「太秦江戸酒場」や和製ハロウィン「怪々YOKAI祭」などの施策により、動員数を維持した。

 

■観光不動産事業

売上高は68億3800万円(同5.3%増)、営業利益は25億4200万円(同1.1%減)となった。

不動産賃貸業では、地方圏における人口減少によって需給バランスが崩れつつある中、全国に所有する「東映プラザ(渋谷・福岡・広島・仙台)」「新宿三丁目イーストビル」等の複合商業施設、マンション等の賃貸運営が堅調に推移した。

ホテル業においては、インバウンド需要や団体利用の回復が見られる反面、光熱費等の物価高の影響を受けている。このような状況のなか、価格改定やコスト管理の徹底に努めるなど収益の確保に努めた。

 

■建築内装事業

売上高は88億9000万円(同3.2%増)、営業利益は4億9600万円(同24.9%増)となった。

建築内装事業では、建設資材費等の高止まりや労務費の上昇等による影響があり、厳しい経営環境が続いた。このような状況であるが、従来の顧客の確保及び受注拡大を目指して積極的な営業活動を行い、シネマコンプレックス、老健施設、障がい者支援施設の工事等を手掛けた。

 

■2026年3月期の見通し

2026年3月期の業績は、売上高1722億円(前期比4.3%減)、営業利益300億円(同14.7%減)、経常利益335億円(同16.2%減)、最終利益145億円(同7.8%減)、EPS234.21円を見込む。株価収益率は20.7倍となる。

・売上高:1722億円(同4.3%減)
・営業利益:300億円(同14.7%減)
・経常利益:335億円(同16.2%減)
・最終利益:145億円(同7.8%減)
・EPS:234.21円

東映株式会社
https://www.toei.co.jp/

会社情報

会社名
東映株式会社
設立
1949年10月
代表者
代表取締役会長 多田 憲之/代表取締役社長 吉村 文雄
決算期
3月
上場区分
東証プライム
証券コード
9605
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