
ブシロード<7803>は、2025年9月24日付で「事業計画及び成長可能性に関する事項」を開示した。これは、中期ビジョン2030で掲げた売上高1000~1200億円、営業利益120~150億円の達成に向け、同社のミッションや強み、市場環境、具体的な施策を説明する内容となっている。
■ブシロードのミッションと戦略、強み
同社は、「新時代のエンタテインメントを創出する」ことをミッションとし、グループに多角的な事業を抱えながら「IPディベロッパー戦略」を推進している。新規IPの創出や既存IPの持続的運用、そしてメディアミックス展開を強みとするのが特徴だ。

IPディベロッパー戦略の柱は三つあり、第一に「IPクリエイション」として時代を先読みする創造力を活かし、「カードファイト!! ヴァンガード」「バンドリ!」「新日本プロレス」「スターダム」といった代表的IPを生み出し育成してきた。第二に「プロモーション」では、自社主導によるメディアミックスやプロモーションミックスをスピーディーに展開し、IPのメガ化を推進する。第三に「IP活用プラットフォーム」として、自社IP創出のノウハウと信頼を基盤にライセンサー企業とのWin-Win関係を築き、他社IPが集結する場を形成している。「ヴァイスシュヴァルツ」はその代表例だ。





■市場規模
市場環境については、日本のアニメ市場が国内外で過去最高水準を更新し、特に海外での成長が顕著であることが指摘された。また、トレーディングカードゲーム(TCG)の国内市場も拡大を続けており、ブシロードのTCG事業も国内外で過去最高売上を記録している。さらに、ライブエンタテインメント市場や商品化・プライズゲーム市場もコロナ禍からの回復基調にある。新日本プロレスは一時的に売上や来場者数が落ち込んだが、FY23までは回復傾向を見せていた。




■中期ビジョン2030
こうした環境を踏まえ、ブシロードは中期ビジョン2030において「ライブミックスエンタテインメントとグローバルスケールの加速」「カードゲーム世界一の実現」「海外進出の加速」という三つの方向性を掲げている。その目標像として、FY25実績に対し、売上高を562億円から1000~1200億円へ、営業利益を48億7000万円から120~150億円へ拡大することを見込む。また、ライブイベント動員数を72万人から150万人に、TCGプレイヤー数を25万人から50万人に倍増させるほか、海外売上比率を27.2%から50%へ高めることを目標としている。




■ビジョン達成に向けた施策
これらのビジョン達成に向けた施策としては、まず「カードファイト!! ヴァンガード」や「バンドリ!」といった有力IPを基盤に据えつつ、音楽ライブや舞台を起点とする大型IPの開発を継続し、出版事業による多点数IP開発も強化する。さらに、カードゲーム分野では「ヴァイスシュヴァルツ」「カードファイト!! ヴァンガード」を伸ばす一方、新たなIPとの協業を通じて新規タイトルの創出にも挑戦する。海外事業については、中国や北米を重点地域とし、海外売上比率を中期的に50%へ高めることを目指す。そのためのマーケティング施策として「Bushiroad EXPO」を軸に据える方針だ。また、ライブイベントの動員数を国内外で倍増させ、エンタテインメントを「生で体験する」機会を増やすことも重視している。




■財務方針とIPランク目標(2030年まで)
財務方針としては、成長性と健全性のバランスを重視し、1人当たり営業利益の向上、ROE10%以上の維持、自己資本比率60~70%の維持、配当性向10%以上を目標とする。さらにIPの事業規模については、2030年までに年商100億円以上の「Sランク」IPを3本以上、年商40億円以上の「Aランク」IPを4本以上、年商10億円以上の「Bランク」IPを5本以上保有することを目指す、としている。


会社情報
- 会社名
- 株式会社ブシロード
- 設立
- 2007年5月
- 代表者
- 代表取締役社長 木谷 高明
- 決算期
- 6月
- 直近業績
- 売上高561億7500万円、営業利益48億6800万円、経常利益48億4400万円、最終利益34億1800万円(2025年6月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 7803