IGポート、第1四半期決算はライセンス収益の反動減で減収減益 イベントやグッズ販売が急成長し業績拡大をけん引 通期経常益は過去最高を見込む

IGポート<3791>は、2026年5月期 第1四半期(2025年6月1日~8月31日)の連結決算を発表した。売上高は30億6300万円(前年同期比31.6%減)、営業利益は1億9600万円(同55.8%減)、経常利益は2億1100万円(同52.2%減)、最終利益は1億9900万円(同13.8%減)となり、減収減益での着地となった。前年同期に自社出資100%作品のライセンス売上が一括計上されていた反動が主因だった。

 

■映像制作事業は進行基準の影響で計画未達

売上高18億9200万円(同7.1%増)、営業損失1億3600万円(前年同期3億9400万円の損失計上)だった。『怪獣8号 2期』や『YAIBA』など複数作品の制作が進んだことで増収となった一方、原価の減少により損失も改善した。

その一方で、同社が採用する工事進行基準において、制作工程の進捗が初期段階にとどまり原価が発生していない案件が多かったことから、計画比では減収減益となった。実際の制作進行が遅れると売上計上も後ろ倒しとなるため、進行基準の影響が表面化した格好だ。

 

■出版事業は伸び悩み、版権事業は反動減

出版事業は、売上高5億5500万円(同5.4%減)、営業利益9000万円(同30.2%減)と減収減益だった。刊行物の販売部数が伸び悩んだ。

版権事業は、売上高5億円(同75.7%減)、営業利益3億2300万円(同56.6%減)と大幅減収減益だった。前年同期に自社100%出資作品「君に届け 3RD SEASON」のライセンス売上が一括計上されていた反動で大幅な減収減益となった。

もっとも、『ハイキュー!!』劇場版の国内商品化や配信収入、『進撃の巨人』『SPY×FAMILY』などのシリーズ作品の海外販売・国内配信が堅調に推移している。『怪獣8号2期』『YAIBA』の版権収入は第2四半期以降に計上される見込みだ。

 

■商品販売事業は立ち上がり好調

商品販売事業は、売上高4800万円(同221.0%増)、営業損失900万円(同700万円の損失計上)と増収・赤字幅拡大となった。四半期ベースではマイナスだったが、計画比ではプラスとなった。第4四半期に利益が偏重する見込みだが、ポップアップショップなどの展開拡大により、他セグメントの間接費負担軽減にも寄与する見通し。

 

■出版・版権タイトルの動向

出版事業では、『魔導具師ダリヤはうつむかない』がアニメ化効果もあり電子書籍を中心に好調に推移している。『リィンカーネーションの花弁』は22巻を刊行し、2026年のテレビアニメ化の効果で読者拡大を期待しているという。

版権事業では、『ハイキュー!!』シリーズが売上構成比34.1%を占め、『怪獣8号』『進撃の巨人』『SPY×FAMILY』『攻殻機動隊』『PSYCHO-PASS』などの人気作品群が収益を支えている。

 

■通期は過去最高益を見込む

2026年5月通期の業績は、売上高157億7200万円(前の期比8.0%増)、営業利益17億9200万円(同25.7%増)、経常利益16億5900万円(同16.9%増)、最終利益13億5800万円(同64.1%増)を計画している。経常利益は過去最高を見込む。第4四半期(26年3~5月)に収益が集中する見通し。

 

セグメント別の見通しは以下の通り。

【映像制作事業】
・売上高:87億8000万円(同20.0%増)
・営業損失:9400万円(同11億0100万円の損失計上)

【出版事業】
・売上高:19億6800万円(同11.5%減)
・営業利益:1億6300万円(同53.2%減)

【版権事業】
・売上高:19億0100万円(同51.9%減)
・営業利益:9億2600万円(同52.1%減)

【商品販売事業】
・売上高:28億9200万円(同232.4%増)
・営業利益:9億2900万円(同146.4%増)

映像制作事業は原価減少による損失改善を見込んでいる。出版事業は刊行・出版物の部数の伸び悩み、紙代と部材費用の増加を見込んでいる。そして、版権事業は劇場作品の反動で減収を見込む。

その一方、商品販売事業は大幅な増収増益を計画している。同社は『進撃の巨人』の海外ポップアップショップ巡回に加えて、「大型人気作品」の国内外展開を今冬以降に予定。関西地区での常設棚展開なども計画し、継続的なポップアップ展開と海外輸出で売上拡大を狙う。

 

■制作ラインナップ

【シリーズ作品】
・『劇場版ハイキュー!! VS 小さな巨人』、スペシャルアニメ『ハイキュー!! バケモノたちの行くところ』を制作中。
・『SPY × FAMILY』Season 3が2025年10月4日23:00よりテレ東系列他にて放送中。
・『真・侍伝YAIBA』第2期“かぐや編”を制作中。

【制作中】
・「リラックマ」が2026年4月よりテレビ放送開始予定。
・「本好きの下剋上 領主の養女」が2026年春から読売テレビ・日本テレビ系全国ネットでテレビアニメ放送開始。
・「花ざかりの君たちへ」が2026年1月より放送開始。
・「Star Wars Visions Presents -The Ninth Jedi」がDisney+にて2026年独占配信予定。
・「The Ninth Jedi: Child of Hope」と「The Bounty Hunters」がDisney+にて2025年10月29日独占配信開始。
・「春夏秋冬代行者 春の舞」をWIT STUDIOにて制作中。
・「THE ONE PIECE」をWIT STUDIOにて制作中。原作第1話目から再アニメ化する完全新作シリーズが始動する。

【マッグガーデン作品のメディア化】
・「リィンカーネーションの花弁」が2026年TVアニメ放送予定。
・「ロメリア戦記 ~伯爵令嬢、魔王を倒した後も人類やばそうだから軍隊組織する~」原作小説のアニメ化企画が進行中。

株式会社IGポート
https://www.igport.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社IGポート
設立
1987年12月
代表者
代表取締役社長 石川 光久
決算期
5月
直近業績
売上高145億9800万円、営業利益14億2600万円、経常利益14億2000万円、最終利益8億2800万円(2025年5月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
3791
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