【決算レポ】東宝、第3四半期は「鬼滅の刃」「国宝」のヒットで増収増益 通期も上方修正 配給作品の興収は歴代記録を最速で更新

東宝<9602>は、10月15日、2026年2月期 第2四半期の決算説明資料を公開した。同日発表した決算は、「鬼滅の刃」や「国宝」などの映画事業の好調を受けて、前年同期比で増収増益となった。前期の「ゴジラ-1.0」の配信権収入剥落や帝国劇場の一時休館の影響もカバーした。また、最終利益は大きく伸びたが、これは政策保有株式の売却が寄与したことによる。

・営業収入:1916億7700万円(同17.1%増)
・営業利益:411億4600万円(同0.6%増)
・経常利益:421億9200万円(同6.1%増)
・最終利益:334億5000万円(同26.3%増)

同時に、通期の業績予想の上方修正も行った。「鬼滅の刃」や「国宝」の記録的なヒットに加え、IP・アニメ、演劇、不動産事業も堅調に推移したためだ。

・営業収入:3600億円(前回予想3000億円)
・営業利益:650億円(同570億円)
・経常利益:655億円(同550億円)
・最終利益:475億円(同435億円)

  

■セグメント別業績(中間期)

【映画事業】
営業収入1037億900万円(同24.1%増)、営業利益231億9300万円(同13.4%増)と大幅な増収増益。特に「鬼滅の刃」「国宝」のヒットが牽引した。

【IP・アニメ事業】
営業収入373億1300万円(同9.0%増)、営業利益106億9800万円(同19.5%減)。サイエンスSARUやGKIDSの貢献、ゴジラの商品化権利用の伸長により増収となったが、のれんの償却額増加やパッケージ・商品物販等の減少により減益となった。TOHO animationでは配信・キャラクターライセンス収入が好調である。

【演劇事業】
営業収入106億9800万円(同7.3%増)、営業利益9億9700万円(同19.7%減)。帝国劇場の休館中に主催公演回数確保に努め増収となったが、借館料等の費用増加により減益となった。

【不動産事業】
営業収入393億1400万円(同0.3%増)、営業利益104億6300万円(同18.3%増)。堅調な稼働に加え、大規模修繕費の減少や道路事業における価格スライドにより増益となった。

 

■TOHO animationの状況

配信収入とキャラクターライセンス収入がアニメビジネスの成長を牽引しており、国内外で「薬屋のひとりごと」「呪術廻戦」「ハイキュー!!」などが好調。一方、商品物販やパッケージ販売は前年同期に好調だった作品の反動等で減少している。

 

■主なトピックス

・東宝グループ国内配給作品の興行収入が歴代年間記録を史上最速で更新した。2025年1月~9月のグループ累計興行収入は1328億円に達している。
・ワーナー・ブラザース洋画作品の日本国内向け劇場配給を受託することに合意し、2026年より東和ピクチャーズを通じて配給を開始する。最初の配給作品はエメラルド・フェネル監督の「嵐が丘」を予定している。
・GKIDSが「国宝」の北米配給権を獲得し、東宝とソニー・ピクチャーズ エンタテインメントが「果てしなきスカーレット」を日本および全世界で共同配給する。
・東宝グループの理念体系を刷新し、新グループ・スローガン「Moments for Life その時間が、人生の力になる。」を制定した。
・自己株式の取得と自己株式の公開買い付けを発表した。エイチ・ツー・オー リテイリングからの売却意向を受け、適切な資本アロケーションとEPS・ROEの改善に寄与すると判断したため。

 

■株主還元方針

年間85円/1株の配当を下限とし、連結配当性向35%以上、かつ機動的な自己株式取得を実施する方針だ。

 

■今後のラインナップ

下期から来期にかけては「劇場版チェンソーマン レゼ篇」「ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編」「映画キングダム」続編などの映画や、「SPY×FAMILY Season 3」「僕のヒーローアカデミア FINAL SEASON」「呪術廻戦 死滅回游前編」などのアニメ作品が多数予定している。演劇事業でも「ミュージカル『レ・ミゼラブル』ワールドツアースペクタキュラー」「ミュージカル『SPY×FAMILY』」などを上演する予定だ。

東宝株式会社
https://www.toho.co.jp/

会社情報

会社名
東宝株式会社
設立
1932年8月
代表者
取締役会長 島谷 能成 / 取締役社長 松岡 宏泰
決算期
2月
直近業績
営業収入3131億7100万円、営業利益646億8400万円、経常利益644億5500万円、最終利益433億5700万円(2025年2月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9602
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