【決算レポ】サンリオ、9月中間は万博効果や中国市場の拡大で過去最高業績 通期予想を上方修正 映像・デジタル領域への投資強化

サンリオ<8136>は、11月5日、2026年3月期第2四半期(2025年4月〜9月)の決算説明資料を11月5日に公表した。売上・利益ともに過去最高を更新し、国内外でのキャラクター展開が引き続き好調に推移した。

 

■過去最高の業績を記録

連結売上高は前年同期比39.6%増の876億円、営業利益は同66.1%増の391億円、調整後営業利益は同49.9%増の371億円と、いずれも過去最高を更新した。

【中間決算】
・売上高:876億7600万円(前年同期比39.6%増)
・営業利益:391億8300万円(同66.1%増)
・経常利益:397億1500万円(同64.1%増)
・最終利益:275億1800万円(同44.3%増)

 

■国内事業の拡大:万博関連施策や複数キャラクター展開が寄与

国内では、「2025年大阪・関西万博」に関連したコラボレーション施策や、ターゲットクライアント戦略による大手ライセンシーとの協業、複数キャラクター展開が収益拡大に貢献した。

物販・テーマパーク事業では、限定シリーズの展開やシーズン施策が奏功し、客数・客単価ともに増加。サンリオピューロランドは営業日数の増加やイベント連動施策により、ハーモニーランドはグリーティングスタジオの新設や周辺利便性の向上により、それぞれ来園者数・客単価が上昇し、過去最高益を達成した。

国内店舗ではインバウンド比率がやや低下したものの、日本人顧客による売上が拡大し、安定した成長を見せた。

 

■海外事業の牽引:中国市場が成長をリード

海外では、中国市場が引き続き成長を牽引した。複数キャラクター戦略が進行するなか、潮玩(トレンディトイ)市場の好調を背景に、物販・ライセンス事業ともに大きく伸長した。

欧米では、デジタルツールを活用した継続的なキャラクター訴求により、カテゴリや商品ラインナップの拡大が進展。複数キャラクターの起用が広がり、ブランド価値の底上げにつながっている。

 

■通期予想を上方修正、年間配当も増配へ

上期の好調を受け、通期業績予想を上方修正した。売上高は1843億円(前回比155億円増、前期比27.2%増)、営業利益は702億円(同29億円増、同35.5%増)、調整後営業利益は696億円(同9.9億円増、同25.1%増)を見込む。

年間配当は中間・期末ともに31円ずつ、計62円への増配を予定している。

【通期見通し】
・売上高:1843億円(前期比27.2%増)
・営業利益:702億円(同35.5%増)
・経常利益:713億円(同33.4%増)
・最終利益:494億円(同18.4%増)

 

■「グローバルIPプラットフォーマー」へ 長期ビジョンと中期計画の進捗

サンリオは、長期ビジョンとして「グローバルIPプラットフォーマー」を掲げ、ファンエンゲージメントを深めるエンタメ基盤の拡大を目指している。ID戦略・デジタル事業・ゲーム・映像・LBE(Location-Based Entertainment)など、複数領域での投資を進めている。

ID戦略では、現在の約292万ユーザーを10年後に1億ユーザーへ拡大する方針。VR配信プラットフォームやファン創作支援、LBE・ゲーム・映像など新たな接点でID獲得を強化している。

映像分野では、IGポートとの資本業務提携によりコンテンツ開発を強化。Netflixシリーズ『My Melody & Kuromi』が配信初週に非英語シリーズ部門で世界2位を獲得したほか、サンリオキャラクター初のハリウッド映画が2028年7月に公開予定となっている。

 

■財務基盤の強化も進む

2026年3月期上期末時点では、流動資産・固定資産・純資産がいずれも増加。有利子負債は転換社債の減少などにより57.1%減少し、ネットキャッシュは1068億円(35.7%増)へ拡大。自己資本比率も67.2%に上昇し、財務体質の健全化が進んだ。

株式会社サンリオ
https://www.sanrio.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社サンリオ
設立
1960年8月
代表者
代表取締役社長 辻 朋邦
決算期
3月
直近業績
売上高1444億400万円、営業利益518億600万円、経常利益534億5300万円、最終利益417億3100万円(2025年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
8136
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