東映<9605>は、11月14日、2026年3月期の第2四半期累計(4~9月)の連結決算を発表、興行関連事業が「劇場版「鬼滅の刃」 無限城編 第一章 猗窩座再来」や「国宝」などの大ヒットで大きく伸び、増収増益での着地となった。
売上高913億3600万円(前年同期比4.1%増)
営業利益197億1300万円(同1.5%増)
経常利益236億4700万円(同14.8%増)
最終利益119億1700万円(同57.0%増)
各セグメントごとの状況は以下のとおり。
①映像関連事業 売上高616億1900万円(前年同期比4.4%減)、営業利益170億5100万円(同6.4%減)
・映画事業
提携製作作品など20本を配給した。このうち、「映画キミとアイドルプリキュア♪ お待たせ!キミに届けるキラッキライブ!」がヒットし、「花まんま」「BAD BOYS -THE MOVIE-」「でっちあげ~殺人教師と呼ばれた男」「映画「仮面ライダーガヴ お菓子の家の侵略者」」「映画「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー 復活のテガソード」」「宝島」が好稼働した。また、前期における公開作品のうち「35年目のラブレター」が引き続き好調に推移したものの、「帰ってきた あぶない刑事」がヒットした前年同期に比して反動減となった。
・ドラマ事業
「仮面ライダーガヴ」「仮面ライダーゼッツ」「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー」「天久鷹央の推理カルテ」「大追跡 ~警視庁SSBC強行犯係~」などを製作して作品内容の充実と高視聴率の獲得、受注本数の確保に努めた。また、特撮キャラクターの国内商品化権営業は、玩具などに関する消費者の嗜好が多様化するなか、旧作の周年記念施策、ゲームアプリなどへの版権許諾が堅調に推移した。
・コンテンツ事業
新作旧作を含む劇場用映画・テレビ映画等の地上波・BS・CS放映権販売、配信事業者向けの配信権販売およびビデオ化権などの販売を行い、「室町無頼」「35年目のラブレター」「あぶない刑事』シリーズ、「ドラゴンボール」シリーズ、「ワンピース」などの配信権販売が堅調に推移した。海外においては、新作旧作を含む劇場用映画・テレビ映画並びに催事などの海外販売を行い、「十一人の賊軍」「犬鳴村」「仮面ライダー展」などが堅調に稼働した。また、海外における商品化権営業は、アジアおよび北南米・欧州の一部にてサイマル配信を開始した「仮面ライダーゼッツ』をはじめ、「仮面ライダーガヴ」「ワンピース」「ドラゴンボール」シリーズ、「デジモン」シリーズが好調に稼働した。
・撮影所事業
劇場用映画・テレビ映画などの受注製作、部分請負などを行った。
②興行関連事業 売上高139億9800万円(同40.8%増)、営業利益17億8800万円(同149.3%増)
映画興行業では、2025年7月27日に同社最後の直営館である「丸の内TOEI」(2スクリーン)が閉館したが、連結子会社ティ・ジョイ(2025年7月により完全子会社化)によるシネマコンプレックス(23サイト230スクリーン、共同経営・共同運営含む)の運営が事業の中心となっており、「名探偵コナン 隻眼の残像」「ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング」「国宝」「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-」「マインクラフト/ザ・ムービー」「劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来」などの大ヒットが業績を牽引し、好調に推移した。また、前年9月にオープンしたT・ジョイ エミテラス所沢が引き続き好調に稼働し、前年同期に比して増収増益となった。
③催事関連事業 売上高64億5400万円(同1.8%減)、営業利益9億500万円(同4.6%減)
催事事業では、「ブルックリン博物館所蔵 特別展 古代エジプト」「シルバニアファミリー展 40th」「超クウガ展」「爆上戦隊ブンブンジャーファイナルライブツアー2025」「全スーパー戦隊展」「ヒーローライブスペシャル2025」や人気キャラクターショーなどの各種催事が好調に稼働し、催事関連商品の製作・販売並びに仮面ライダーストアでの販売が好調に推移した。東映太秦映画村においては、リニューアル工事による営業エリアの一部制限が動員数に影響し売上高が伸び悩むなか、収益の確保に努めた。
④観光不動産事業 売上高31億円(同4.4%減)、営業利益12億6800万円(同8.1%増)
不動産賃貸業では、全国に所有する「東映プラザ(渋谷・福岡・広島・仙台)」「新宿三丁目イーストビル」などの複合商業施設、マンションなどの賃貸運営が堅調に推移した。ホテル業においては、団体利用の減少に加え、光熱費等の物価高の影響を受けた。このような状況のなか、価格改定やコスト管理の徹底に努めるなど収益の確保に努めた。
⑤建築内装事業 売上高61億6200万円(同74.0%増)、営業利益7億600万円(同123.2%増)
建設資材費などの高止まりや労務費の上昇などによる影響があり、厳しい経営環境が続いたが、従来の顧客の確保および受注拡大を目指して積極的な営業活動を行った。このような状況のなか、商業施設およびシネコン関係、マンション、障がい者施設、老健施設などの大型工事の受注数が増加したことに加え、受注案件の精査、業務の効率化を実施し、前年同期に比して増収増益となった。
■11月13日に業績予想の修正を実施
2026年3月期通期の連結業績予想については、11月13日に予想の上方修正を発表しており、以下のとおり。
売上高1174億円(前期比1.4%減)
営業利益312億円(同11.3%減)
経常利益364億円(同9.0%減)
最終利益205億円(同30.4%減)
会社情報
- 会社名
- 東映株式会社
- 設立
- 1949年10月
- 代表者
- 代表取締役会長 多田 憲之/代表取締役社長 吉村 文雄
- 決算期
- 3月
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9605