【決算レポ】サイバーエージェント、第1四半期は広告逆風を跳ね返し好発進 ゲームとメディア&IP事業好調 ABEMA軸にIP展開で次の成長フェーズへ

サイバーエージェント<4751>は、2026年9月期 第1四半期決算において、売上高が前年同期比14%増、営業利益は同2.8倍と好調なスタートを切った。第1四半期としては過去最高の業績となり、通期に向けた見通しも明るさを増している。
・売上高:2323億7700万円(同14.0%増)
・営業利益:133億9500万円(同181.8%増)
・経常利益:242億1200万円(同174.9%増)
・最終利益:124億6200万円(同145.7%増)



ただ、2026年9月通期の業績予想は据え置きとした。ゲーム事業の業績は見通しづらい面があるため、業績予想をレンジで開示しているという。
・売上高:8800億円(前期比0.7%増)
・営業利益:500億円~600億円(同30.3%減~同16.3%減)
・経常利益:500億円~600億円(同30.3%減~同16.4%減)
・最終利益:250億円~300億円(同21.1%減~同5.3%減)
・EPS:49.3円~59.16円

■広告業界の逆風を受け止めつつ、復調の兆し
今回の決算は、広告業界を巡る環境変化を踏まえると、より評価しやすい内容といえる。いわゆる「楽天ショック」に象徴されるように、大手広告主によるネット広告の内製化が進み、広告代理店ビジネスへの影響が懸念されてきた。
サイバーエージェントも、2025年度第3四半期に大型顧客の離脱があり、その影響が四半期ごとに分散して業績に現れている。新しく社長に就任した山内隆裕氏は、この影響はあと1四半期で一巡すると説明しており、足元では「雰囲気は良くなってきている」と復調への手応えを示した。
広告事業の営業利益も足元では回復傾向にあり、次の四半期でプラスに転じ、その次の四半期には再び成長軌道に戻る見通しだとしている。


【インターネットネット広告事業業績】
・売上高:1146億4200万円(前年同期比2.7%減)
・営業利益:43億7900万円(同27.2%減)
■メディア&IP事業、投資を続けながら大幅増益
広告事業に一部影響が残る中で、全社業績を力強く押し上げたのがメディア&IP事業だ。同事業の売上高は626億1700万円(前年同期比12.5%増)、営業利益は49億円(同246.1%増)と大幅な増収増益を達成した。
【メディア&IP事業業績】
・売上高:626億1700万円(前年同期比12.5%増)
・営業利益:49億円(同246.1%増)


山内社長は「経費を削って利益を出したのではなく、しっかりコンテンツに投資をしながら増益させた」と述べ、成長投資と収益改善を両立できた点を強調する。ABEMAを中心に、オリジナル番組やスポーツ、アニメなどへの投資を継続する一方で、広告主数の拡大やIP展開が収益性向上につながった。
その結果、ABEMAは四半期ベースで黒字化も達成した。これまで単体では黒字化に至っていなかったが、同社は「縮小均衡を狙わず、無理せずしっかり損益分岐点を越えた」と説明する。ABEMAの広告主数は1000社規模まで拡大しており、2022年のワールドカップ中継が一つの転換点となった。

■ゲーム事業も好調、グローバル展開を前提に新作2本
ゲーム事業も、第1四半期は増収増益と好調に推移した。前期にリリースした主力タイトルが引き続き堅調だったほか、これまで相対的に弱かった海外市場でも収益を伸ばし、例年は厳しくなりやすい第1四半期としては力強い結果となった。
【ゲーム事業業績】
・売上高:647億2200万円(前年同期比69.2%増)
・営業利益:176億7500万円(同427.2%増)


今後の新規タイトルについても簡単に紹介した。1本目は、累計販売本数200万本を突破した『グランブルーファンタジー リリンク』の最新作『グランブルーファンタジー リリンク エンドレス』で、7月9日に全世界同時リリースを予定している。

もう1本は、VTuberグループ「ホロライブ」を題材とした初のスマートフォン向けゲーム『hololive Dreams』だ。全世界同時リリースが決定したと説明されており、グローバルファンベースを持つIPを活用した展開として注目される。

■戦略の到達点としての決算、IP展開を軸に次の成長フェーズへ
サイバーエージェントはこれまで、ネット広告事業とゲーム事業でキャッシュを生み出し、その収益を原資に、メディア&IP事業、すなわちABEMAを中長期の成長エンジンとして育成する戦略を取ってきた。短期的な収益性よりも事業基盤の構築を優先するこの戦略は、業績変動の大きさもあり、市場から慎重に見られる局面も少なくなかった。
そうした中で迎えた今回の決算は、その戦略が一つの到達点に達したことを示す内容といえる。広告事業に一部逆風が残る状況下でも、メディア&IP事業が投資を継続しながら大幅な増益を達成し、ABEMAは四半期ベースで黒字化を実現した。これは、ABEMAが「育成フェーズ」から「収益貢献フェーズ」へ移行し始めたことを意味する。

同社は現在、ABEMAを起点に、コンテンツ制作からIP展開、さらにはゲーム化などのマネタイズまでを一気通貫で行う体制を構築している。単なる動画配信プラットフォームにとどまらず、IPを中核に据えた収益モデルへと進化を図っている点が特徴だ。
その一環として、アニメスタジオであるCygamesPicturesをメディア&IPセグメントへ移管するなど、グループ横断でIP価値を最大化する動きも本格化している。コンテンツ制作力を内製で確保しつつ、ABEMAをハブとして多面的な展開を行うことで、IPの寿命と収益機会を広げる狙いがうかがえる。
さらに、ゲーム事業ではグローバル展開を前提とした新規タイトル投入が控えており、広告、メディア&IP、ゲームの三事業がそれぞれ異なる役割を担いながら、相互に連動する体制が整いつつある。
ネット広告とゲームで稼ぎ、その間にABEMAを育てる――。その長期戦略は、今回の第1四半期決算によって一定の成果を示し、サイバーエージェントはIP展開を軸とした次の成長フェーズへ踏み出したと見ることができそうだ。

会社情報
- 会社名
- 株式会社サイバーエージェント
- 設立
- 1998年3月
- 代表者
- 代表取締役会長 藤田 晋/代表取締役社長 山内 隆裕
- 決算期
- 9月
- 直近業績
- 売上高8740億3000万円、営業利益717億0200万円、経常利益717億4300万円、最終利益316億6700万円(2025年9月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 4751