【クリエイターの広報術:番外編(1)】インディー開発者や個人開発者はもっと「キービジュアル」に力を入れた方がいいかも

木村英彦 取締役 編集長
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■キービジュアル最初の接点

プレスリリースを作成する際、多くの人がまず文章の内容や表現に集中しがちだ。しかし、特にゲーム業界のプレスリリースにおいて、最初に読者の目に留まるのはテキストではない。それが「キービジュアル」あるいは「キーアート」とよばれるものだ。

どれだけ素晴らしいゲーム内容であっても、人の目に止まらなければ、そして伝わらなければ意味がない。

では、キービジュアルとは具体的に何を指し、なぜ「読まれるリリース」の成否を分けるほど重要なのだろうか。

  

■キービジュアルとは何か? その定義と役割

キービジュアルとは、そのタイトルやプロジェクトの魅力を、1枚で伝えるためのビジュアル。単なる宣伝用の画像ではなく、以下のような要素を圧縮して伝える"要約"の役割を果たす。

・ 世界観
・ キャラクター
・ ジャンル
・ トーン(明るい・シリアスなど)

例えるなら、映画におけるポスターや、ゲームのストアページで使われるメイン画像に近い存在。この1枚を見ただけで、受け手にゲームの全体像が直感的に伝わる必要がある。

 

■単なる「画像」との決定的な違い

ここで注意したいのは、すべての画像がキービジュアルではないという点だ。

例えば、ロゴだけの画像、ゲームのスクリーンショットのみ、あるいはUI説明用の図などは、情報としては正しいものの、「一目で魅力を伝える」というキービジュアルの役割としては弱いケースが多くなる。

キービジュアルはあくまで、"興味を引くための1枚"でなければならない。最近は広報活動に力を入れるインディーゲーム開発者が増えており、魅力的なキービジュアルが提供されるケースは少なくない。

 

■キービジュアルの有無で何が変わるか

今回、『海の家経営物語』という架空のタイトルのキービジュアルとロゴのみをGeminiで生成してみた。どちらが魅力的に映るだろうか。これは考えるまでもないことだろう。

 

【 ケース:ロゴのみ】
・ 情報が断片的で魅力が伝わりにくい。
・ ロゴだけでは内容が想像できない。
・ スクリーンショットは初見には文脈がない。
・ 結果:「後でいいか」と判断されやすく、結果的に読まれないことがある。

 

【ケース:キービジュアルあり】
・ キャラクターや世界観が一目で伝わる。
・ ジャンルや雰囲気が直感的に理解できる。
・ サムネイルの時点で目に留まる。
・ 結果:「どんなゲームか」が瞬時に伝わり、クリック・記事化につながりやすい。

   

■現場で起きている「もったいない」ケース

実務において、キービジュアルの重要性が見落とされているケースは少なくない。特に個人開発のゲームやインディーゲームなどで見受けられる。実際のプレスリリースでは、以下のような「もったいない」状況が頻繁に見られる。

・ ロゴだけを添付している
・ スクリーンショットだけを複数並べている
・ 開発素材は存在するのに、キービジュアルとして整理されていない

これらはすべて、素材が足らないのではなく、"見せ方"で損をしている状態にある。本来魅力的に見せられる要素があるにもかかわらず、それが編集者や読者に伝わる前にスルーされてしまう。

メディア側もゲームをできるだけ楽しそうに見せたいとは思うので、添付のロゴではなく、ストアページにあるアイコンやキービジュアルのようなものを使うものの、訴求力が乏しく感じられる。

  

■なぜ、キービジュアルが「前提条件」なのか

この差が生まれる理由はシンプル。人は文章より先に"見た目"で判断するからだ。

特に情報を取捨選択するメディア側では、プレスリリースが一覧で流し見され、数秒で記事化の判断が下される。その極めて短い判断時間において、キービジュアルは"読む価値があるかどうか"を判断される最初の接点となる。

結論として、キービジュアルは、あると「より良い」ものではなく、「スタートラインに立つための前提」。どれだけ内容が優れていても、見られなければ意味がなく、その「見られるかどうか」を左右する決定的な要素がこの1枚なのだ。

 

■まとめ

キービジュアルとは、「興味を持たせるための要約ビジュアル」であり、プレスリリースにおける最初の勝負どころ。現場でロゴやスクリーンショットだけで済ませてしまうと、本来得られるはずの露出機会を逃してしまう可能性が高いことを認識し、発信の第一歩としてこのビジュアルを重視することが成功への出発点となる。

ちなみに、この手の話は、決して新しい話ではない。かつてファミリーコンピュータこと、ファミコンの時代には、限られた表現力を補うためにパッケージイラストが重要視された。1枚の絵が購買を左右する重要な要素だった。現在のキービジュアルやストア画像も、本質的にはその延長線上にあるといえるのではないか。

 

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