サイバーエージェントのアニメ事業を徹底解説|ABEMA・サイピク・CA Soa・Studio Kurmが支えるIP戦略とは?

柴田正之 編集部記者
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近年、アニメ業界で存在感を高めているサイバーエージェント<4751>。動画配信サービス「ABEMA」の運営会社として知られているが、実はアニメの企画・制作から配信、グッズ展開、舞台化、海外展開までをグループ内で手掛ける「総合IP企業」へと進化を遂げている。

2024年にはアニメ関連事業を統括する「アニメ&IP事業本部」を設立し、IP(知的財産)ビジネスをさらに強化。では、グループ各社はどのような役割を担っているのだろうか。本記事では、サイバーエージェントグループのアニメ・IP事業における役割分担をわかりやすく解説する。

サイバーエージェントは近年、広告事業、ゲーム事業に続く成長領域としてアニメ・IP事業を位置付けており、大規模な投資を続けている。

■サイバーエージェントのアニメ・IP事業とは?

従来のアニメ業界では、原作出版社、アニメ制作会社、配信会社、グッズメーカーなどが別々の企業として存在し、それぞれが連携しながら作品を展開してきた。

一方、サイバーエージェントはグループ内にさまざまな機能を持つ企業を抱え、

・原作開発
・アニメ企画
・アニメ制作
・配信
・宣伝
・グッズ展開
・海外ライセンス
・舞台化・実写化

までを一貫して行える体制を構築している。

いわば「アニメ会社」ではなく、「IPビジネス企業グループ」として成長を続けているのが特徴だ。

■アニメ&IP事業本部|IPビジネス全体の司令塔

グループの中核を担うのが、サイバーエージェント本体のアニメ&IP事業本部だ。

主な役割は、

・アニメ企画
・オリジナルIP開発
・製作委員会の組成
・出資
・宣伝戦略立案
・グッズ企画
・国内外ライセンス展開

など。

アニメを制作する現場というよりも、「どの作品をアニメ化するか」「どのように収益化するか」を設計するプロデュース組織といえる。

■CA Soa|新設されたアニメ制作スタジオ

サイバーエージェントグループのアニメ制作体制を強化するために設立された新スタジオが「CA Soa」だ。

同スタジオの代表を務めるのは、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』などで知られるアニメプロデューサーの小川正和氏。数々のヒット作品に携わってきた実績を持つプロデューサーが率いる新会社として、業界内でも大きな注目を集めている。

CA Soaは、サイバーエージェントが推進するアニメ・IP事業戦略の中核を担う制作拠点として設立された。企画・プロデュース機能を担うアニメ&IP事業本部と連携しながら、ハイクオリティなアニメーション制作を目指している。

主な業務は、

・TVアニメ制作
・アニメーションプロデュース
・制作進行管理
・クリエイター組織運営
・制作パイプライン開発

など。

単なる制作会社ではなく、優秀なクリエイターやプロデューサーが集まる新たな制作拠点として期待されており、サイバーエージェントのアニメ事業拡大を支える重要な存在となっている。

近年、サイバーエージェントグループはアニメ制作機能の強化を積極的に進めている。CA Soaはその象徴的な存在であり、後述するStudio Kurmとともに、次世代のアニメ制作スタジオとして今後の動向が注目されている。

■Studio Kurm|岡田麻衣子氏が率いる新設アニメスタジオ

サイバーエージェントグループが新たに立ち上げたアニメ制作スタジオが「Studio Kurm」だ。

同スタジオの代表を務めるのは、数々の人気作品でプロデューサーとして活躍してきた岡田麻衣子氏。アニメ業界でも知名度の高いプロデューサーが率いる新スタジオとして、設立時から大きな注目を集めている。

Studio Kurmは、サイバーエージェントグループが進めるアニメ・IP事業強化の一環として誕生した制作拠点であり、今後のオリジナルIP開発や大型アニメプロジェクトにおいて重要な役割を担うとみられている。

主な役割は、

・アニメーション制作
・オリジナル作品開発
・クリエイター育成
・新たな制作体制の構築

など。

既存のサイピクやCA Soaと並び、グループのアニメ制作力を支える新たな柱として期待されている。

■サイピク|サイバーエージェントのアニメ制作を支える中核スタジオ

グループのアニメ制作を支える主力スタジオが「サイピク」だ。

もともとはゲーム事業を展開するCygamesのアニメ制作部門としてスタートし、「CygamesPictures」の社名で数多くのアニメ作品や映像制作を手掛けてきた。

その後、サイバーエージェントグループがアニメ・IP事業を戦略事業として位置付ける中で、組織体制の見直しが進められた。2025年にはサイバーエージェントの直接子会社となり、グループ全体のアニメ事業を支える制作スタジオとして再編。あわせて社名を「サイピク」へ変更し、新たなスタートを切っている。

この再編によって、従来の「Cygames作品を中心としたアニメ制作会社」から、サイバーエージェントグループ全体のアニメ・IPプロジェクトを担う制作スタジオへと役割が拡大した。

主な業務は、

・TVアニメ制作
・劇場アニメ制作
・ゲーム原作アニメ制作
・CG・デジタル映像制作
・制作ライン運営
・クリエイター育成

など。

近年はアニメ市場の拡大に伴い、安定した制作体制を持つスタジオの重要性が高まっている。サイピクは長年培ってきた制作ノウハウを活かしながら、CA SoaやStudio Kurmとともに、サイバーエージェントグループのアニメ制作力を支える中心的な存在となっている。

■ABEMA|作品を広げる配信プラットフォーム

一般ユーザーにとって最も身近な存在がABEMAだろう。

ABEMAは単なる動画配信サービスではなく、

・独占配信
・一挙放送
・特番配信
・キャスト番組
・視聴データ分析

などを通じて、作品のファンコミュニティ形成を支えている。アニメ作品の認知拡大や話題化を担う重要なメディア基盤といえる。

一般的なアニメ制作会社が放送局や配信プラットフォームに依存するのに対し、サイバーエージェントはABEMAという巨大な自社メディアを保有している。作品の認知拡大からファン形成までを自社グループ内で行えることは、同社の大きな競争優位性となっている。

■STUDIO ZOON|次世代IPを生み出すWebtoonスタジオ

近年急成長している縦読みマンガ市場。STUDIO ZOONはWebtoon(縦読みマンガ)の企画・制作を行う会社だ。

役割は、

・Webtoon制作
・原作開発
・IP創出

など。

将来的なアニメ化を見据えた原作供給源として期待されている。

■ニトロプラス|ヒットIPを生み出す原作開発企業

ゲームやキャラクターコンテンツで知られるニトロプラスもグループ企業の一つ。代表作には『刀剣乱舞』などがある。

主な役割は、

・オリジナルIP開発
・シナリオ制作
・世界観設計
・キャラクター企画

など。

アニメやゲームの「原石」を生み出す存在だ。

■ネルケプランニング|2.5次元舞台展開の中核

アニメやゲームIPを舞台化する企業として業界最大手の一社。

代表的な舞台作品は、

・刀剣乱舞
・テニスの王子様
・ハイキュー!!

などの2.5次元舞台シリーズ。

役割は、

・舞台制作
・ミュージカル制作
・イベント運営

など。

アニメIPをリアルな体験へ広げる役割を担う。

■BABEL LABEL|実写映像展開を担当

映画やドラマの企画・制作を行う映像制作会社。

役割は、

・映画制作
・ドラマ制作
・映像プロデュース

など。

アニメやマンガIPの実写化展開において重要なポジションを担っている。

■サイバーエージェントグループの役割分担をまとめると?

各社の役割を整理すると以下のようになる。

▼主な担当企業
原作開発・IP創出…ニトロプラス、STUDIO ZOON
アニメ企画・出資…アニメ&IP事業本部
アニメ制作…CA Soa、Studio Kurm、サイピク
配信・ファン形成…ABEMA
商品化・ライセンス…アニメ&IP事業本部
海外展開…アニメ&IP事業本部
舞台化…ネルケプランニング
実写化…BABEL LABEL

つまり、サイバーエージェントは「作品を作る会社」ではなく、「IPを育てて収益化する会社」として事業を拡大しているのである。

■なぜサイバーエージェントはアニメ業界で強いのか?

サイバーエージェントの強みは、単にアニメ制作会社を持っていることではない。

同社は、

・アニメ&IP事業本部による企画・出資機能
・CA Soa、Studio Kurm、サイピクによる制作機能
・ABEMAによる配信・マーケティング機能
・STUDIO ZOONやニトロプラスによる原作開発機能
・ネルケプランニングやBABEL LABELによる二次展開機能

をグループ内に持っている。

つまり、作品を「作る」だけではなく、

原作発掘

アニメ化

配信

ファン獲得

商品化

海外展開

舞台化・実写化

までを一気通貫で展開できる体制を構築しているのだ。

さらに近年は、小川正和氏率いるCA Soa、岡田麻衣子氏率いるStudio Kurmといった新スタジオを立ち上げるなど、制作体制への投資も加速している。

従来の広告事業やインターネット事業で培ったマーケティング力と、アニメ業界の有力クリエイター・プロデューサーを組み合わせることで、サイバーエージェントはアニメ・IP業界における独自のポジションを確立しつつある。

■まとめ|サイバーエージェントは“総合IP企業”へ進化中

サイバーエージェントはアニメ会社ではなく、アニメを起点にIPを育てる企業へと進化している。

サイバーエージェントグループの強みは、アニメ制作会社や配信サービスを単独で持つことではない。原作開発からアニメ制作、配信、商品化、海外展開、さらには舞台化や実写化まで、IPビジネスに必要な機能をグループ内で揃えている点にある。

近年のエンターテインメント業界では「ヒット作品を作る」だけでなく、「IPを長く育てる」ことが重要視されている。サイバーエージェントはその流れを見据え、アニメを起点とした総合IP企業として独自のポジションを築きつつある。特にアニメプロデューサー、ライセンス担当、マーケター、制作進行など、IPビジネスに関わる仕事を目指す人にとっては、今後も注目すべき企業グループといえるだろう。

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株式会社サイバーエージェント
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会社情報

会社名
株式会社サイバーエージェント
設立
1998年3月
代表者
代表取締役会長 藤田 晋/代表取締役社長 山内 隆裕
決算期
9月
直近業績
売上高8740億3000万円、営業利益717億0200万円、経常利益717億4300万円、最終利益316億6700万円(2025年9月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
4751
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