
ゲームやアニメを取り巻くビジネスで、近年、存在感を増しているのがグッズ市場だ。ぬいぐるみ、フィギュア、アクリルスタンド、缶バッジ、トレーディングカード、カプセルトイ、クレーンゲームのプライズ、一番くじ――。作品やキャラクターを起点とした商品は、いまやゲームやアニメにとって重要な収益機会のひとつになっている。
その背景としてまず挙げられるのが近年活発化している「推し活」の広がりだろう。だが、それだけでは現在のグッズ市場の拡大を説明しきれない。見逃されがちな要因として大きいのは、ファンがコンテンツにお金を使うための「入口」が増えたことだ。
近年、国内のアニメビジネスの市場成長の要因として、NetflixやAmazonプライム、Crunchyrollなどの海外の大手動画配信サービスの台頭が指摘されているが、グッズなどの収益も年々存在が大きくなっている。ビジネスサイドからすると収益源の多様化=「出口」の多様化ともいえる。
【主な内容】
■かつての「好きだけど、何にお金を使えばいいのか」問題
■「買う」だけではないIP消費
■推し活が「継続的な消費」を生み出す
■上場企業の決算にも表れる「ぬいぐるみ・ガチャ・プライズ」の伸び
■インバウンドも新たな需要を生み出す
■市場が拡大しているのは「商品」が増えたからだけではない
■広がるIPビジネス――その現場ではどんな仕事があるのか
■かつての「好きだけど、何にお金を使えばいいのか」問題
これまでのゲーム・アニメビジネスでは、ファンがお金を使う手段は現在に比べて限られたものだった。アニメであれば、映像パッケージを購入することが代表的な選択肢だった。しかし、Blu-rayやDVDのBOX商品は数万円になることもあって、「作品は好きだが、そこまでのお金は払えない」とファンにとってはハードルが高いものだった。
海外のアニメファンについても同様で、作品を見て「この作品にお金を使いたい」と思っても、そもそも商品が十分に流通していなかったり、正規品ではない海賊版であったり、映像パッケージが高額だったりするケースがあった。
つまり、ファンは存在するのに、ファンがお金を使える商品が少なかったのである。現在は、この状況が大きく変わっている。
数百円のカプセルトイから、1,000~2,000円程度のアクリルスタンドや缶バッジ、数千円のぬいぐるみ、さらに高額なフィギュアや限定商品まで、ファンの熱量や財布事情に応じてさまざまな商品が用意されている。「Blu-ray BOXを買うほどではない。でも、このキャラクターは好きだから1,500円のアクスタなら買う」といったニーズを取り込めるようになったことは、グッズ市場を考えるうえで重要だ。
■「買う」だけではないIP消費
さらに現在は、商品を「買う」だけではなくなったことだ。ゲームセンターに行けば、クレーンゲームでキャラクターのぬいぐるみやフィギュアを「獲る」ことができる。カプセルトイなら、数百円で商品を「集める」楽しみがある。
トレーディング商品なら、目当てのキャラクターを求めて何度も購入することになる。あるいはポップアップショップでは限定商品を買い、イベントでは関連グッズを購入する。購入したぬいぐるみやアクリルスタンドを持って出かけ、その様子をSNSで共有する。
つまり、見る → 遊ぶ → 買う → 獲る → 集める → 飾る → 持ち歩く → 共有する、という一連の消費行動が、IPを中心に形成されている。これは従来の映像パッケージやゲームソフトの販売とは大きく異なる。
■推し活が「継続的な消費」を生み出す
この変化を後押ししているのが「推し活」だ。作品単位ではなく、特定のキャラクターやアイドル、声優、VTuberなどを応援する文化が広がったことで、「作品を見る」という行為と「商品を購入する」という行為の距離が近くなった。
・推しが登場する新商品が出れば買う。
・新しい絵柄が出れば集める。
・イベントがあれば会場限定商品を購入する。
・ゲームセンターに新しいプライズが投入されれば取りに行く。
ここでは、一つの商品を購入して消費が終わるのではない。「推しが存在する限り、新しい商品が出るたびに消費が発生する」という構造になっている。これはIPを保有する企業にとって非常に大きな意味を持つ。
■上場企業の決算にも表れる「ぬいぐるみ・ガチャ・プライズ」の伸び
こうした変化は、市場調査だけでなく、上場企業の決算を見ても確認できる。玩具やキャラクター関連事業では、ぬいぐるみやキャラクター商品、トレーディングカードなどの好調が目立つ。カプセルトイ市場も拡大を続けている状況にある。
さらに象徴的なのがクレーンゲームだ。ゲームセンターにおいて、クレーンゲームは単なるアミューズメント機器ではない。アニメやゲーム、キャラクターIPの商品を消費者に届ける重要なチャネルになっている。ここでは消費者は商品を「購入」するのではなく、ゲームをプレイして商品を「獲得」する。
この違いは大きい。「このキャラクターのぬいぐるみが欲しい」という購買意欲に加えて、「この景品を取ってみたい」というゲーム性が加わることで、商品そのものの価値に体験価値が上乗せされるからだ。
■インバウンドも新たな需要を生み出した
もう一つ見逃せないのがインバウンドだ。日本のアニメやゲームは海外で広く認知されている一方、日本で販売されているキャラクター商品には「日本に来なければ買いにくい」ものも多い。
アニメショップ、キャラクターショップ、ポップアップストアだけでなく、カプセルトイショップやゲームセンターまで含めれば、訪日外国人にとって日本は巨大な「IP商品の売り場」ともいえる。
特にフィギュア、ぬいぐるみ、トレーディングカード、プライズなどは、日本旅行の記念としても購入しやすい。これまで国内ファンを中心としていたグッズ消費に、海外ファンが加わっている。
■市場が拡大しているのは「商品」が増えたからだけではない
ここまでを見ると、グッズ市場の拡大を「推し活」と「インバウンド」で説明したくなる。もちろん、この2つは重要な要因だ。
しかし、より本質的なのは、IPとファンの接点そのものが増えたことではないだろうか。かつては、アニメであれば、DVDを買う、ゲームであればゲームソフトを買う、という比較的シンプルな消費だった。熱心なファンであればイベントに行ってグッズを購入したり、コラボ商品を買うといったこともあっただろう。
現在は、グッズやプライズ、カプセルトイ、トレーディングカード、フィギュア、イベント、ポップアップショップ、コラボカフェ、キャラクターショップなどさまざまな接点が存在し買いやすくなった。
しかも、それぞれが独立しているわけではない。アニメを見た人がグッズを買い、ゲームセンターでプライズを獲得し、SNSで投稿する。そこで別のファンが作品を知り、また商品を買う。IPを中心に消費の循環が生まれているのである。
■広がるIPビジネス――その現場ではどんな仕事があるのか
ゲームやアニメのIPを取り巻くビジネスが広がるなかで、実際にグッズを企画し、商品として形にし、ファンのもとへ届けている企業の役割も大きくなっている。
ぬいぐるみやフィギュア、カプセルトイ、プライズ、アクリルスタンドなど、一見すると「グッズ」という一つの言葉で括られる商品も、その裏側では商品企画、デザイン、版権交渉、製造、品質管理、営業、販売、マーケティングなど、さまざまな仕事が関わっている。
さらに、ゲームやアニメのIPを扱う以上、単に「売れる商品を作る」だけではない。
・「このキャラクターの魅力を、どんな商品なら伝えられるのか」
・「ファンはどんな商品を欲しがっているのか」
・「ゲームセンターで“獲りたい"と思ってもらうにはどうすればいいのか」
といった、IPならではの視点も求められる。
市場が拡大しているからこそ、こうした仕事に興味を持つ人も増えている一方、具体的にどのような仕事があり、どんな人材が求められているのかは、外からは分かりにくい部分も多い。
そこで、ゲーム・アニメなどのIPを活用したグッズビジネスを手掛けるブシロードクリエイティブとTOSYOを招き、実際の仕事内容やキャリア、求められる人物像を紹介するセミナーを9月4日に開催する。
「ゲームやアニメが好き」を仕事につなげたい人はもちろん、商品企画やマーケティング、ものづくり、IPビジネスに興味がある人にとっても、コンテンツの裏側にある仕事を知る機会になるはずだ。
イベントの詳細と申込は下記を参照してほしい。興味のある方は参加してみてほしい。
会社情報
- 会社名
- 株式会社ブシロード
- 設立
- 2007年5月
- 代表者
- 代表取締役社長 木谷 高明
- 決算期
- 6月
- 直近業績
- 売上高561億7500万円、営業利益48億6800万円、経常利益48億4400万円、最終利益34億1800万円(2025年6月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 7803





