【レポート】メーカーとOEMそれぞれの視点から紐解くグッズビジネス - TOSYOとブシロードクリエイティブ、両取締役が推し活市場最大の激戦区“グッズ業界”のリアルに迫る

2026年9月4日、ブシロード<7803>のグループ会社にあたるゲームビズが企画・プロデュースする、エンタメ業界に特化した人材紹介サービス「エンターエンタ」主催によるオンラインセミナー「推し活市場、最大の激戦区! なぜ今、“グッズ”がアツいのか? メーカー×OEM企業の各社取締役がグッズビジネスのリアルを語るセミナー」が開催された。
本セミナーには、キャラクターグッズの製造・OEM事業を手掛けるTOSYO株式会社の取締役・川根秀幸氏と、コンテンツメーカーとしてカプセルトイやフィギュア・ライブグッズなどを展開する株式会社ブシロードクリエイティブの取締役・江﨑徹哉氏が登壇。
グッズビジネスの最前線で活躍する両氏が、メーカーとOEMそれぞれの視点から、企画・製造・ライセンスの裏側や「売れるヒット商品」を生み出す思考法について熱く語り合った。本稿では、その模様をレポートとしてまとめた。

事業紹介
セミナー冒頭、TOSYO及びブシロードクリエイティブの事業内容を両取締役が紹介した。
まず川根氏はTOSYO株式会社について「16年前に印鑑ブランド「痛印堂」からスタートし、OEM(相手先ブランド名製造)を中心に、企画・デザイン・製造・個別配送までを一括で受託する企画会社です」と説明。
アクリルスタンドやレザー・Tシャツといったアニメ・エンタメ系グッズのほか、大手食品メーカーやハンバーガーチェーン店、企業キャラクターコンテンツなどのノベルティや物販企画をサポートしているそうで、「在庫ゼロのロット1生産(受注生産)」や「小回りの利く物流・アッセンブリ」を強みに、版権元やメーカーの課題解決を行っている、とした。
一方、ブシロードグループの中でMD(マーチャンダイジング)領域を担っている株式会社ブシロードクリエイティブ。
自社・他社IPを問わず、カプセルトイブランド「ブシカプ」や全世界で600万個超の出荷を誇るフィギュアブランド「PalVerse(パルバース)」、年間数百アイテムにおよぶプライズ・ライブ物販・ECサイトの運営まで、「多角的なグッズ展開を自社メーカーとして推し進めています」と江﨑氏が説明した。
パネルディスカッション
続いて、IPを商品化する“メーカー”側のブシロードクリエイティブと、商品を形にする“OEM”側のTOSYOそれぞれの視点からグッズビジネスに関するテーマに沿ったパネルディスカッションが行われた。
「メーカー」と「OEM企業」における決定的な違い

まずは「メーカー」と「OEM」の役割と、ビジネスモデルの違いについて。
「自ら商品を企画し、問屋や店舗へ卸して販売する『発売元』です」とは、メーカー側の江﨑氏。自分たちで企画や展開を自由に決定できる反面、最大の決定的な違いは『在庫リスク』を背負う点にあるとし、「作ったものが余ればそのまま損失になります。大量に作ってコストを抑えつつ、どれだけ赤字を出さずにヒットを生み出すかという戦い方になる」と江﨑氏は語った。
対する川根氏は「OEM企業は、メーカーや『自社でグッズを作りたい』クライアントの裏側を支えるサポーターです。クライアントが指定した数量を製造・納品するため、直接的な在庫リスクは負いません」と説明。その代わり「お仕事が取れなければ売上が立たないため、多種多様な工場ネットワークやスケジュール管理、発送・物流まで伴走し、クライアントのニーズをカタチにする提案力が問われる」と加えた。
また江﨑氏は『ロット(生産単位)』について触れ、「この話をするときにカレーライスで例えるんです。1000円分の食材(鍋や包丁などの固定費・金型代)を買って、1杯しか作らなかったらそのカレーは1杯1000円になりますよね。でも10杯作れば1杯100円になる。それを200円で売れば100円の利益が出る。メーカーは10杯作って売るリスクを負う代わりに利益を狙い、OEM企業は『その10杯を作るための工夫やサポート』を提供する関係性なんです」と説明した。
グッズのマネタイズ

続いてのテーマは、グッズのマネタイズ。昨今の円安や原油高、海外の人件費高騰は、グッズ業界にも大きな影響を与えているようだが、両社はその円安・原材料高に立ち向かうべく「現場のリアルな工夫」について明かした。
「本当にここ2〜3年は大打撃で、作れば作るほど原価が厳しい状況です(笑)」と漏らす江﨑氏。カプセルトイも昔の100〜200円から今や300〜500円が主流になったそうで、「フィギュアやカプセル等に使われるPVC(樹脂)もインクも燃料もすべて石油由来です。だからこそ、100色塗っていた手作業の工程をインクジェット印刷に切り替えられないか、金型構造を工夫できないか」など試行錯誤をしながら、技術と知恵でクオリティと価格の限界に挑んでいるとした。
「今までは『アジアの海外工場で大量に仕入れて輸入する』のが定番でしたが、為替や輸送費の高騰でそれが難しくなってきました」とOEMの立場としても、厳しい状況にあるとは川根氏。そこで逆に、「日本の町工場にある既存の印刷機や機材を活用して、国内でロット調整しながら作れませんか?」と提案し、生産ラインを共同で創りなおすこともあるという。海外発注のハードルが上がったからこそ、「国内の製造ラインを再発見・提案するのもOEMの面白い役割です」と考えているようだ。
さて、普段何気なく手に取っているグッズだが、その裏側ではかなり緻密な素材選定が行われているもよう。グッズを実際に手にとると解かる「プロのコダワリ」について、両氏は次のように語った。
「たとえば同じイラストのTシャツでも、生地にインクを染み込ませる(滲みやすいが風合いが出る)方式と、フィルムを張り付けたような方式(発色が鮮やか)があります。アクリルスタンドも、そのまま印刷すると表面の凹凸ですぐ剥がれてしまうので、下にプライマーという接着剤を塗ったり、ガラス製品なら炎で焼き付けたり……。店頭でパッケージの裏の製造元や素材表記を見るのがプロの職業病ですね(笑)」(江﨑)
「お店に行くと『この仕様なら原価これくらいで、何個作れば利益が出るな』と脳内計算してしまいますね(笑)。Tシャツ一つとっても、作品の世界観や表現したい色などを考えて、滲み感が出るような印刷や、発色の良い貼り付け型の印刷など、作品やキャラクターに合わせて最適な仕様をご提案しています」(川根)
業界人目線での今のトレンドグッズ

パネルディスカッション最後のテーマは、業界人目線でのグッズ業界の今のトレンドについて。「ヒットする企画」はどう生まれ、どう育てるのだろうか?
まず川根氏が直近の動向について「製造を承る側としては、平成レトロやぷくぷくシール、アンブレラマーカー、日常で使える実用的な雑貨(お弁当袋やバッグに付けられるもの)に人気が集まっています」と紹介。ただし、ヒットする企画を生み出すためには、「自分が好きなSNSのタイムラインだけを見ていると情報が偏るので、興味のないテレビや街の人の持ち物、製造現場の開発動向など、世の中の『自分にとってあまり興味がない情報・見えづらい情報』でもあえてフラットに積極的に見に行くことが大切です」とアドバイスした。
「業界人の感覚で言うと、『今流行っているもの』を見てから企画を作ると100%遅いんです」とは江﨑氏。曰く、企画から製造・納品までには約半年〜1年のリードタイムがかかるそうで、「今流行っているグッズの真似をして出しても、店舗に並ぶ頃にはピークアウトして棚で余ってしまいます。だからこそ、今流行っているものに乗るのではなく、『半年〜1年後に何が求められるか』を予想し、自らトレンドを作りに行く意識が重要になります」と、トレンドの捉え方と「半年先の未来」を読む思考法を明かした。
また、ヒットする企画を生み出すプロの思考プロセスについても深い議論が交わされた。
「企画を考えるとき、人はつい『あれもこれも』と仕様や要素を足したくなります。でも、要素を足すほど原価が上がり、価格が高くなって売れなくなったり、軸がブレて何が魅力なのか伝わらなくなります。 企画の本質は『引き算』です。『この企画で絶対に譲れない核心(芯)は何か?』を整理し、ギリギリまで無駄を削ぎ落とす。その削ぎ落とされた洗練されたアイデアにこそ、ユーザーは魅力を感じてくれるんです」と、企画に必要なのは「足し算」ではなく「極限の引き算」であると江﨑氏が力説すれば、「まさにその通りですね」と賛同した川根氏。「『納品して終わり』ではなく、実際に店頭でどれくらい売れているか、ECで追加注文がどれくらい来そうかという『販売期間中のライブ感』をリアルタイムで追うようにしています。売れ行きに合わせて『ここで追加生産をかけましょう』とクライアントに伴走し、利益を最大化させることも重要です」とOEMの現場ならではの考えも付け加えた。
セミナー受講者からのリアルな質問

セミナーの最後に質疑応答の時間が設けられ、受講者からの質問が寄せられた。ここでは、その中からいくつかをピックアップして紹介する。
Q. ゲーム会社でのイベントグッズ企画などの経験は、グッズ業界の選考でアピールになりますか?
「全く問題ありませんし、非常に強いアピールになります! 採用側が見ているのは、単にグッズを作ったという実績だけでなく、『どういう意図や課題を持って、周囲をどう巻き込んで動かしてきたか』という思考と行動プロセスです。中途採用では、自社が求めているポジション(ピース)に対して、自分の経験をどうアジャストして説明できるかが一番ポイントになります」(川根・江﨑)
Q. 企画を通し、ヒットさせるために最も重要な資質とは?
「一番は『パッション(熱量)』と『巻き込み力』です。企画者が『これ絶対に欲しい!』という熱を持っていないと、誰も積極的に動いてはくれません。時には頼まれてもいないのに勝手に試作品のフィギュアを作って提案しに行くくらいの熱量が必要です(笑)。周りの人が『この人が言うなら協力してあげよう』と思える人間性や巻き込み力が、結果としてヒット商品を作ります」(江﨑)
「失敗を恐れすぎない姿勢も大事ですね。100%成功する企画なんてプロでも分かりません。失敗したときにしっかり反省し、次に活かせる素直さや好奇心を持っている人と一緒に働きたいですね」(川根)
まとめ
今回のセミナーを通じて明かされたのは、キャラクターグッズビジネスの華やかさの裏にある、緻密な計算とモノづくりへの並々ならぬ熱量だった。
メーカーとOEM企業がそれぞれの強みを発揮し、時代や市場の変化に対応しながら「ファンの心を揺さぶる体験」を送り出し続けている。
TOSYO株式会社、株式会社ブシロードクリエイティブの両社では、アニメ・エンタメ業界で新しいヒットを仕掛けたい情熱ある仲間を募集中。
「大好きなアニメやキャラクターのグッズ企画・ライセンス営業に挑戦したい」
「これまでの経験を活かして、エンタメ業界でキャリアアップしたい」
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会社情報
- 会社名
- 株式会社ブシロード
- 設立
- 2007年5月
- 代表者
- 代表取締役社長 木谷 高明
- 決算期
- 6月
- 直近業績
- 売上高561億7500万円、営業利益48億6800万円、経常利益48億4400万円、最終利益34億1800万円(2025年6月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 7803


