
東宝<9602>は10月15日、2027年2月期第2四半期(中間期)の連結決算を発表した。営業収入は前年同期比3.4%減の1851億6200万円、営業利益は同24.8%減の309億3800万円、経常利益は同21.5%減の331億2700万円、最終利益は同40.2%減の200億1900万円となった。
・営業収入:1851億6200万円(同3.4%減)
・営業利益:309億3800万円(同24.8%減)
・経常利益:331億2700万円(同21.5%減)
・最終利益:200億1900万円(同40.2%減)


主力の映画事業をはじめ、IP・アニメ事業、演劇事業、不動産事業の全セグメントで営業減益となった。ただし、前年同期には『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』や『国宝』などの大ヒット作品があり、比較対象となる業績水準が高かったことも影響している。今期も『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』などがヒットしており、今回の減益をそのまま映画事業の不振と捉えるのは適切ではない。
■映画事業は前年の大ヒット作の反動で減収減益
映画事業の営業収入は前年同期比12.1%減の911億7700万円、営業利益は同16.4%減の194億円となった。
映画営業事業では、営業収入が26.2%減の286億3400万円、営業利益が25.0%減の84億9900万円だった。前年同期に『鬼滅の刃』『国宝』などが大ヒットした反動が大きく、国内配給収入が減少した。一方、映像の利用・許諾収入は増加している。
今期は『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』が大ヒットしたほか、『キングダム 魂の決戦』『映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城』なども貢献。洋画でも『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』などがヒットした。
映画興行事業は、営業収入が2.4%増の551億5500万円となったものの、営業利益は3.5%減の103億4500万円だった。映画館の入場者数は前年同期比4.2%減の2623万4000人となったが、東宝は説明資料で、7月に映画鑑賞料金の一部を改定した後もTOHOシネマズの動員は堅調に推移したとしている。
映像関連事業は、営業収入が33.3%減の73億8700万円、営業利益が51.3%減の5億5500万円となった。
映画事業全体では減益となったものの、複数のヒット作が生まれている。前年の作品群が非常に好調だったことを踏まえ、単純な作品の成否だけで業績を評価することは難しい。
■IP・アニメ事業は海外配信が伸長も、先行投資などが利益を圧迫
IP・アニメ事業は、営業収入が前年同期比15.6%増の431億3200万円となった一方、営業利益は44.2%減の59億7000万円だった。
『呪術廻戦』『僕のヒーローアカデミア』『葬送のフリーレン』『薬屋のひとりごと』など、TOHO animation作品の国内外での配信利用や各種配分金収入が業績に貢献した。『呪術廻戦』『僕のヒーローアカデミア』『ハイキュー!!』に加え、『ゴジラ』などの商品化権収入も寄与。劇場用パンフレットやキャラクターグッズでは、『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』関連商品などが好調だった。
一方、利益面では海外事業の拡大に向けた先行投資や一過性費用が影響した。東宝は2026年3月に海外ライセンス事業をTOHO Globalに承継しており、今回の中間期には会社分割に伴う収益計上時期のずれも生じている。
説明資料によると、第2四半期には買収先事業に関する条件付対価の最終決済に伴う一過性費用が約14億円発生。さらに、海外事業の先行投資による販管費が前年同期比で約11億円増加した。会社は、これらの要因が利益を押し下げたと説明している。なお、条件付対価に関する同様の費用は第3四半期以降には発生しない見込みだ。
東宝は、北米やアジア、欧州などで自社の展開網を強化し、映画配給や映像ライセンスにとどまらず、商品化ライセンスや自社商品の販売などへ事業領域を広げる方針だ。足元では先行投資が利益率を押し下げているものの、より多くの海外ファンにIPを届け、早期の収益化を図る考えだ。
■演劇・不動産事業も減益
演劇事業は、営業収入が前年同期比10.4%減の95億8900万円、営業利益が15.2%減の8億4500万円となった。
前年同期には『ナイツ・テイル-騎士物語-』ARENA LIVEや『レ・ミゼラブル』などが業績に貢献しており、今期はその反動もあって減収減益となった。
不動産事業は、営業収入が1.8%増の400億800万円、営業利益が5.4%減の98億9500万円だった。大規模な橋梁補修工事が順調に進捗したことなどから増収となった一方、前年同期に道路事業で発生していた価格スライドの影響が剥落し、減益となった。
また、その他事業は、2026年3月に始動した会員サービス「TOHO-ONE」の会費収入などにより増収となったが、ポイント施策に伴う販売促進費の計上などから営業損失となった。
■通期営業利益予想は620億円を維持
2027年2月期の通期連結業績予想については、営業収入3450億円(前期比4.3%減)、営業利益620億円(同8.7%減)、経常利益670億円(同4.5%減)を据え置いた。親会社株主に帰属する当期純利益は、9月に実施した政策保有株式の一部売却に伴う特別利益を反映し、期初予想から70億円引き上げ、480億円(同7.3%減)に修正した。
・営業収入:3450億円(同4.3%減)
・営業利益:620億円(同8.7%減)
・経常利益:670億円(同4.5%減)
・最終利益:480億円(同7.3%減)
・EPS:57.62円


【通期計画に対する進捗率】
・営業収入:53.7%
・営業利益:49.9%
・経常利益:49.4%
・最終利益:41.7%
中間期は前年同期比で大幅な減益となったものの、会社は業績が概ね計画通りに進捗していると説明している。下期については、『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』や11月公開の『ゴジラ-0.0』の一定のヒットを織り込み済みとしつつ、大型作品の初動を慎重に見極め、営業利益予想などを据え置いた。
『ゴジラ-0.0』については、国内で11月3日に公開するほか、11月6日の北米上映を皮切りに世界約80カ国で展開する計画だ。北米のGKIDS、欧州のAnime Limited、アジアのToho Entertainment Asiaなど、海外の自社配給網を本格稼働させ、世界規模でのヒットを狙う。
東宝は、IP・アニメ事業や演劇、不動産事業を安定した収益基盤としながら、映画などの大型ヒットによる成長を目指す方針を掲げている。前年の大ヒット作品の反動が表れた今回の中間期だが、映画事業では今期もヒット作が生まれ、IP・アニメ事業では海外配信収入が伸びている。今後は『ゴジラ-0.0』をはじめとする大型作品の動向に加え、海外展開への先行投資がどのように収益拡大につながるかが注目される。
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会社情報
- 会社名
- 東宝株式会社
- 設立
- 1932年8月
- 代表者
- 取締役会長 島谷 能成 / 取締役社長 松岡 宏泰
- 決算期
- 2月
- 直近業績
- 営業収入3606億6300万円、営業利益678億8900万円、経常利益701億4000万円、最終利益517億6900万円(2026年2月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9602