上場準備が進んでいるSAPの見分け方(コラム)

エイチームが4月4日に東証マザーズに新規上場し、初値が公募価格の2.7倍となり、その後も連日のストップ高となるなど、非常に人気となっている。上場予備軍もしくは上場を目指す会社にとっては勇気づけられるニュースといえよう。今後のソーシャルゲームの国内市場の成長性や、海外市場の立ち上がりなどを考えると、今年から来年にかけてソーシャルゲーム系企業の新規上場が多くなるものとみられる。

この記事では、公開されている情報をベースに、上場が進んでいる会社のチェックの仕方をまとめてみた。あくまで記者個人がチェックする際に使っている方法なので、もっと良いやり方があるかもしれない。上場準備が進んでいることがわかったところで、どうということはないのだが、転職先を探す際の材料にはなるだろう。ストックオプションがもらえるかもしれないし、自分の勤め先への社会からの注目度が著しく向上する。

(1)VCなどが出資

これはよく言われる確認方法である。ベンチャーキャピタルが出資先を公開していたり、あるいは会社自身が出資を受けた旨のプレスリリースを出していたり、会社概要で株主構成を公開していたりするので、そのあたりを見ると良いだろう。最近では、アーリーステージでの出資も多いため、上場を目指していることはわかるが、上場準備が進んでいることを確認する有力材料にはならない。

(2)上場準備スタッフの募集

上場準備スタッフを募集しているか否かという場合だろう。ただ、おおっぴらに上場準備スタッフを募集しているケースは少なく、人材紹介会社の非公開案件になっていることが多い。このため、重要な目安にはなるのだが、情報を見つけづらいという問題がある。経理もしくは財務スタッフを募集している場合、上場準備の初期段階が多いという印象を持っている。

(3)常勤監査役がいてかつ監査役が3人以上いる

意外と有力なのは、会社の役員構成を見ることだろう。記者が一番初めにチェックし、かつ重視するのはこの点だ。大雑把に言えば、上場準備会社は、直前期の期首までに、常勤監査役を設置するほか、監査役3名以上でかつその半数以上が社外監査役とする監査役会を設置・運用することが求められる(と記憶している)。したがって、会社概要で監査役会設置会社になっていると、それなりに上場準備が進んでいると見てよい(※)。常勤監査役として、銀行やVC関係者など金融関係者を迎え入れることが多いが、当然、人件費もそれなりに高くなるため、会社が上場のための覚悟を決めたシグナルともいえよう。

(※)ただし、監査役が3名いるからといって監査役会設置会社になっているわけではない。この点は登記簿をチェックする必要があるが、そこまでやる必要があるのかという気もしている。

(4)株式分割

株式分割を行っているケース。上場時に100株単位で売買できるようにするため、株式分割を行うことがある。必ず上場直前にやらなくてはならないというものでもないので、あくまで目安程度といえる。日経新聞や官報などに掲載される「公告」でチェックできるが、記載自体が小さいため、見逃す可能性が高い。

もちろん、これらの条件は、会社の業績が伸びていることが前提条件。運営するアプリの会員数や、プラットフォームのランキングで上位に入れているか、といったことが見分けるための目安にはなる。コーポレートサイト上などで公開されている決算公告などをチェックするのもいいだろう。会社法上の大会社ではないため、たいていは純利益や貸借対照表が確認できる程度にとどまる。

以下は、監査役が3名以上いる未上場のソーシャルゲーム関連企業を列挙してみた(4月8日現在)。かつて上場していて、すでに上場廃止となった会社は載せていない。目についた会社を機械的にピックアップしただけなので、上場準備しているかどうかは不明である。

・株式会社ウインライト

・株式会社カヤック

・株式会社gumi

・株式会社コロプラ

・株式会社Synphonie

・株式会社Speee

・株式会社バタフライ

・株式会社モブキャスト

株式会社gumi
http://gu3.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社gumi
設立
2007年6月
代表者
川本 寛之
決算期
4月
直近業績
売上高120億6600万、営業損益50億4000万円の赤字、経常損益45億1400万円の赤字、最終損益59億3400万円の赤字(2024年4月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3903
企業データを見る
株式会社バタフライ

会社情報

会社名
株式会社バタフライ
設立
2007年2月
企業データを見る
株式会社エイチーム
https://www.a-tm.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社エイチーム
設立
2000年2月
代表者
代表取締役社長 林 高生
決算期
7月
直近業績
売上高239億1700万円、営業利益5億6200万円、経常利益6億900万円、最終利益9億5300万円(2024年7月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3662
企業データを見る
株式会社ウインライト
http://www.winlight.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社ウインライト
設立
2003年7月
代表者
藤本勝寛
決算期
3月
直近業績
非公開
上場区分
非上場
企業データを見る
株式会社コロプラ
https://colopl.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社コロプラ
設立
2008年10月
代表者
代表取締役会長 チーフクリエイター 馬場 功淳/代表取締役社長 宮本 貴志
決算期
9月
直近業績
売上高309億2600万円、営業利益28億5800万円、経常利益32億7600万円、最終利益18億9300万円(2023年9月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3668
企業データを見る
株式会社Speee
https://speee.jp/

会社情報

会社名
株式会社Speee
設立
2007年11月
代表者
代表取締役CEO 大塚 英樹
企業データを見る