「ユーザー視点での物作りを大事に」…『モンスト』等を手掛けるミクシィ XFLAG™スタジオの開発環境や求めている人物像を訊く【とな会】


採用面に力を入れている企業にスポットをあてた、メールインタビュー企画「となりの会社の中の人」、略して「とな会(トナカイ)」。第4回はミクシィの中の人をピックアップ。

ご存知の通りミクシィは、1997年に提供を開始した『Find Job !』をはじめ、SNS『mixi』、家族向けフォトブック作成サービス『ノハナ』、子どもの写真・動画共有アプリ『家族アルバム みてね』といった、数々のサービスを生み出しては世の中を変えてきた企業だ。

ゲーム事業の成長も著しく、『モンスターストライク』(以下、『モンスト』)を筆頭に、『ブラックナイトストライカーズ』(以下、『ブラナイ』)や『マーベル ツムツム』(以下、『マベツム』)など、複数のスマートフォン向けゲームアプリも手掛けている。

今回「Social Game Info」では、ミクシィ XFLAG™スタジオのデザイン室 UIデザイングループ マネージャーを務める輿水氏にメールインタビューを実施し、同社が求めている人物像や社内の開発環境などについて訊いてみた。

 



 

■「ユーザー視点での物作りを大事に」…エックスフラッグスタジオの開発環境



 
株式会社ミクシィ
エックスフラッグスタジオ デザイン室 UIデザイングループ マネージャー
輿水 麻衣 


――:本日はよろしくお願いいたします。はじめに輿水さんのご経歴を簡単に教えてください。

専門学校卒業後、ゲーム開発会社でデコメールの制作を行っていました。その後3年間ソーシャルゲームの開発にUIデザイナーとして携わり、2015年1月にUIデザイナーとしてミクシィに参画しました。

参画後はUIデザイングループのメンバーとして、『モンスト』全体の遷移の改修や北米版『モンスト』で行ったカルチャライズ改修を担当し、現在はエックスフラッグスタジオUIデザイングループのマネージャーとして国内版国外版『モンスト』だけでなく、『ブラナイ』や未発表のゲームタイトルのUIデザインを統括しています。



――:会社全体の雰囲気はいかがでしょうか。

スタジオのメンバー全員が『モンスト』や『ブラナイ』、『マベツム』など自社ゲームを毎日プレイしています。仕事だからという理由ではなく、自分たちが作ったものが好きでついつい遊んでしまっています(笑)。

メンバー全員が1ユーザーとして、仲間と一緒にゲームを楽しみながら仕事をしているので全体的に賑やかで明るい職場です。

職種や役職を意識せずフラットにコミュニケーションがとれるので、意見を交わしやすい風通しのよい環境です。案件を進めていく上で気になることがあれば職種問わず誰でも意見を気軽に言えますし、案件に関わる企画やエンジニアなど全ての人を巻き込んで議論しあえたりもします。

メンバー全員がユーザーとしての視点を持っているからこそ出来ることだと思います。



――:「デザイナー」と一括りにしても様々な職種があるかと思いますが、制作環境・体制としての、御社ならではの特徴はございますか。

エックスフラッグスタジオにはデザイナーの部署「デザイン室」というものがあります。その中にはUI/UXを担当するUIデザイングループや、世界観構築やキャラクターイラスト、演出などを担当するアートグループがあります。

UIデザイングループでは『モンスト』、『ブラナイ』などのエックスフラッグスタジオで開発されているゲームのUI、UXに関わる部分の作成や改修、バナーの作成を担当しています。会社全体にも言えることですがデザイン室の特徴としては、活躍している社員は、本人希望によっては他の分野へのチャレンジが可能です。

デザイン室にはUI/UXデザイナー、イラストレーター、VFXデザイナーなど様々なデザイナーが在籍していますが、デザイナーの中でも部署が細かく分かれているおかげで自身の成果を評価してもらいやすいですし、成果が認められれば様々な事にチャレンジできるということが特徴としてあります。

 


――:UXデザイナーにおいて御社の中でどのようなこだわりをお持ちですか。

担当するゲームを自身でプレイすることで、ユーザー視点での物作りを大事にしています。

例えば『モンスト』の改修を例に挙げると、機能を追加する案件があった場合デザイナーでもターゲットと目的と仕様をしっかり把握しておく必要があります。その上で、『モンスト』をプレイする過程でどこに機能があるべきなのかをゼロベースから考えます。

ただそれだけでは主観によった設計になってしまうので、初心者~上級者の行動パターンを調査・分析し、様々な角度から改善案を作り出しています。

ユーザビリティの向上だけでなく、世界観を体験できるようにするのもUIデザイングループの役目だと思っています。『モンスト』ではホーム画面のクエストボタンが実はレーダーのようになっていて、それをタップするとレーダーが『モンスト』の世界をスキャンし、キャラ(クエスト)を発見するといった設定があります。

このようにUIパーツデザインや演出など遊び心のある表現で、ゲームの世界観をユーザーの皆様により体験していただけるように心がけています。

 


――:デザイナー目線での御社の魅力はどこにあると思いますか。

やはりチャレンジできる環境が一番の魅力だと思います。自分が提案したことが通ればデザイナーでも改修のディレクションを任せてもらうことが出来ます

私の場合ですと入社して半年経たずして『モンスト』の大幅な遷移改修を行うことになりました。全体を通した遷移図の作成やその案出しだけではなく、その案件の責任者として各部署との連携やスケジュールの設定など行いました。

実装までの流れの把握や実装工数の見積もり等、デザイン業務以外のことに初めて挑戦したので、凄くハードでしたが毎日が刺激的でとても充実していました。

このようにエックスフラッグスタジオでは経験者・未経験者問わず行動次第でどんなことにでも挑戦できます。わからないことがあれば誰でも気さくに相談できますし、気になることは徹底して議論しあえます。ちなみに社内で3Dモデル製作研修やVRの体験会等が頻繁に開催されるので、インプットを増やす機会も多く、デザイナーにとって非常にいい環境です。



――:仕事をしていて印象的だったことがあれば教えてください。

前の質問でお話しした『モンスト』の遷移の大幅改修は、ホーム画面に「マルチ参加ボタン」を配置することでマルチに参加するユーザーのコストを下げ、ソロプレイ・マルチプレイ分岐時の遷移を整理し迷いをなくすことで、押し間違えなどで積み重なる小さなストレスを軽減し、より使いやすくするという目的でした。ただ実はそのことがユーザーにとって大きな支障があった箇所ではなく、操作に慣れているユーザーは再度学習しなければいけないようなリスクの高い改修でした。

正直なところ私自身とても不安でしたがリリースまで慎重に遷移図やデザインを練り、改修前に比べて改修後の方が今では快適に使っていただけているかと思います。ここまで成長を続けているゲームで、リスクが高い改修を行うことはそう簡単なことではないはずですが「失敗を咎めず、チャレンジすることを評価する」といった考えがメンバー全員にあるからこそ実行できるのだと思います。

この会社でなら、ユーザーに対してより良いものをのびのびと作り出していけると確信した瞬間だったので、とても印象に残っています。

 


――:チーム内の社内の雰囲気はいかがですか。

会社全体の雰囲気と被りますが、仕事中でも関係なく『モンスト』や『ブラナイ』、『マベツム』など、みんなでゲームをして遊んでいます。プレイしながら「この画面はこうしたほうがよくない?」などの真剣な議論が突然始まったりもします。この流れでUIデザイングループから改善提案として企画チームに持って行き、次のバージョンアップに向けてデザイナー主導で本格的に動くこともよくあります。圧迫感はありませんが、程よい緊張感があり、尚且つ楽しんで開発できるバランスのとれた職場です。


――:目標や課題としてどういったことがありますか。

スタジオ全体が心がけていることでもあるのですが、世の中に驚きを与えるような体験を提供していくことを大事にしています。そのためには固定観念に囚われない自由な発想で面白さを作り出していくことが目標としてあります。

例として、以前ホーム画面のデザイン改修をした際に、『モンスト』のキャラのステータスのスピードの項目だけkm/hという単位がついていることに疑問を感じ、上長に訊ねてみました。「スピードを表すのにただの数字を並べてもスピード感を体感できない。日常的にスピードを表す表記としてkm/hを使っているのでそれを使用することで体感的に速いということがわかる」と上長は言っていて、その言葉を聞いて心底感銘を受けた記憶があります。

UIデザイン観点だと項目の統一を図るべきかと思うのですが、キャラのステータスがユーザーに対してどのように作用しているかを、ゲーム性と合わせて本質的に理解している必要があります。ユーザーにより楽しんでもらうため、柔軟に変化してきたことが『モンスト』が成長し続けているポイントの一つだと思いますので、企画のみならずUIデザインに関しても変化することを恐れずに、いろんなことに挑戦していきたいと思っています。


――:そちらを実現していくにあたり、どういった人物と働きたいといった考えはございますか。

情報設計やデザインスキルが備わっていることが前提としてもちろんありますが、コンテンツに触れる際のわかりやすさ・楽しさ・面白さの根源がどこにあるかを常に理解しようとし、過去の経験則や固定観念に囚われない柔軟な考え方で新しいことにチャレンジできる人と働きたいと思っています。

また、仕事上どうしても上長の確認が必要になりますが、その確認フローの中でも「誰に向けて作っているのか」を忘れず、疑問があれば納得できるまで議論し、提案できるような責任感のある人がいいですね。

「上長や会社の確認を通すために従う」だったり「会社が決めたことなので従う」という考えは持たず、その先にいるユーザーに対して何が一番いいのかを考え、時には上長とも徹底的に議論できるような人はどんな環境でも活躍できると思います。

自主的に行動することでどんなことにでもチャレンジできる環境なので、自分からユーザーに向けてサービスを提供し喜ばせたいという人にとっては理想の開発環境だと思います。



――:今後どのような事にチャレンジしていきたいですか。

UIデザイングループでは今まで『モンスト』に関わるものを中心的に見てきましたが、今後は国内版国外版『モンスト』だけでなく『ブラナイ』やその他未発表のゲーム
タイトルのUIデザインにも力を入れていきます。特に『ブラナイ』は次のステップに向けて進化を遂げようとしている段階で、ユーザビリティの向上だけではなく、『ブラナイ』の独特な世界観に更なる魅力を加える改修を行っています。

『モンスト』で得た経験を活かしつつ、『ブラナイ』ならではの楽しさや面白さを増幅させ、新たな遊びや価値をユーザーの皆様に提供したいと思っています。ぜひ一緒に面白いサービスを作りましょう!

 



■株式会社ミクシィ
 
株式会社MIXI
https://mixi.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社MIXI
設立
1997年11月
代表者
代表取締役社長 木村 弘毅
決算期
3月
直近業績
売上高1468億6700万円、営業利益248億2000万円、経常利益182億5000万円、最終利益51億6100万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
2121
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