【GMOアプリクラウドセミナー②】サイバーエージェントグループのキーマンが語る「AR」とスマートフォンのゲーム市場の今後の展望

GMOアプリクラウドは、11月21日と22日に、GMOインターネットグループが運営するコミュニケーションスペースGMO Yoursにて、『ゲームの未来を考える!<AI、VR、AR、e-Sports>~先駆者たちが最先端技術と最新トレンドを語る~』と題するセミナーを開催した。本稿では11月21日の第一夜AR部門から、株式会社VR Agent取締役の張巧実氏と株式会社サイバーエージェントSGE統括本部 CTOの白井英氏が登壇した「サイバーエージェントグループで取り組んでいる『AR』とスマートフォンのゲーム市場の今後の展望」をレポートする。


▲株式会社VR Agent取締役の張巧実氏


最初に張氏が登壇し、サイバーエージェントグループで取り組んでいる『AR』について発表した。

AR(Augmented Reality/拡張現実)は、人間が知覚している現実世界をベースとして、その一部にデジタルの情報を重ねて改変、拡張された状況や環境となる。IKEAやAppleなども積極的に活用しており、スマホゲームでは昨年大ヒットした『Pokemon GO』が記憶に新しい。

ARの市場に目を向けると急激な成長が見込まれている。直近ではARアプリ、ARkit対応アプリが増えており、Google Lens、ARCoreなど更なる技術が躍進している。また市場予測を見ると、2017年には総支出額114億ドルが2021年には約20倍の2150億ドル、2020年の国内では約400億円と急激な市場拡大が予測されている。




サイバーエージェントでは、敷かれたマーカーを読み取ると画面から文字が浮揚がり、音声入力でブログを投稿できる『アメブロEX』、現実世界にある“黒”を識別し、仮想DJを実現する『P[AR]TY by AWA』など取り組んでいる。ゲームでは、指定のマーカーをかざすと2Dアバターのミニキャラが登場する仕組みを使い、本アプリでは見られないアクションを見ることができる『夢100AR』、本アプリでおなじみのアクションを現実世界で見ることのできる『グリモアAR』などがあり、ARプロモーションアプリの確立やロイヤリティ向上の最大化を行っているという。

次にARの取り組みを通じてわかったユーザーの反応や課題について説明した。ポジティブな点としては、新しい価値の提供、メディアへの露出増加、作り手の楽しみなどがあるが、一方でネガティブな点として熱しやすく冷めやすい、KPIをどこに設定するか、ARはまだ認知されていない部分も多く遊び方を明確にする必要があるなど課題もあるという。




最後に今後の取り組みの中で意識することとして、2D>=3Dの見せ方を模索しプロモーション軸からブレないこと、『Pokemon GO』以外には大ヒットタイトルはなくARスマホゲームはチャンスがあること、画面内で収まらないリアルとの融合した体験を提供すること、またARは手段であり目的ではないことを挙げ、今後もARに取り組んでいきたいと語った。




続いて白井氏が登壇し、スマートフォンのゲーム市場の今後の展望を語った。


▲株式会社サイバーエージェントSGE統括本部 CTOの白井英氏

今後の展望を語る前に、家庭用ゲーム機とiPhoneを例にCPUとメモリの変遷を振り返り、現在のスマホはとても高性能なスペックになっていると語った。スマートフォンのヒットタイトルの推移に目を向けてみるとiPhoneの性能の進化にあわせたヒットタイトルが見られるという。具体的には、2014年のiPhone6以前は『パズドラ』、『モンスト』、『DQMSL』など、「なぞる」「ひっぱる」などのスマートフォンらしさを活かした手軽なゲーム性のタイトルがヒットしたが、2015年のiPhone6s以降はスマホの性能の進化にあわせて、『MOBIUS FINAL FANTASY』、『Pokemon GO』、『リネージュ2 レボリューション』など、家庭用ゲーム機並みのクオリティの高いグラフィックのゲームやGPSなど携帯することを活かしたARなどの新しい体験を提供するゲームがヒットしている。




これはコンシューマゲームの歴史から見ても説明することができ、1995年に発売された3Dゲーム機「バーチャルボーイ」や2005年4月に発売されたニンテンドーDSの『nintendogs』で提唱された機能で、『DQ9』の「まさゆきの地図」など注目されたすれちがい通信は、現在のVRや携帯ゲーム機を持ち歩く習慣の先駆けだという。

最後にスマートフォンのゲーム市場の今後の展望を語った。白井氏によると大きく分けると二つの流れが考えられるという。

ひとつ目は『MOBIUS FINAL FANTASY』、『リネージュ2 レボリューション』に続く流れで、コンシューマゲームと同じ体感のクオリティを提供するゲームだという。TVの前以外でも圧倒的なクオリティを提供することで、以前家庭用ゲーム機で遊んでいた世代がスマートフォンでゲームをすることも見込まれる。

二つ目は『Pokemon GO』に続いて、GPSやARなどスマートフォンの機能を活かした新しい体験を提供するゲームとなる。『Pokemon GO』は人々を家の外へ足を運ばせるという新しい体験を提供した。またiPhone8ではAR用のカメラキャリブレータ―、新しいジャイロセンサーとアクセレータ、精度の高いモーショントラッキングなど拡張現実(AR)の機能が強化されている。現在の対戦やマルチプレイを取り入れたゲームのトレンドを考えると、対戦やマルチプレイにプラスしてARの体験を活かしたゲームがこれから流行するのではないかと語り講演を終えた。

本セミナーの模様は、GMOアプリクラウドより動画にても配信されている。会場の様子や講演内容が気になる人は下記URLより申し込むことで視聴可能だ。

 

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