【インタビュー】導入後のCPM実績は2倍以上―トランスリミット社に聞くアプリ収益化におけるFacebook「Audience Network」の真価とは


昨今では、世界のアプリ市場が多様化されており、ゲームの内容はもちろんのこと、アプリ内の収益化についても悩みを抱えているスマホゲーム会社も多いのではないだろうか。
 
そんな中、トランスリミットは海外におけるアプリ展開、収益化に成功している企業と言える。同社は、これまでに提供しているゲームタイトルは海外を中心に累計5000万ダウンロード(海外利用者比率95%)を突破している。
 
その収益化に大きく貢献しているのが、Facebook社が提供している「Audience Network」だという。「Audience Network」はFacebookのデータベースを活用されており、多様なターゲット層に対応した広告配信を行えるアドネットワークだ。全世界10億人以上にもリーチが可能であり、広告主のみならずアプリ収益化を考える立場にとってもありがたいサービスといえるだろう。
 

Audience Network


そこで今回は、「Audience Network」にて高い収益化を実現できたトランスリミット代表の高場大樹氏にインタビューを実施。海外にもユーザーを多く抱えるトランスリミットはどのようにして収益化向上を実現したのか。同社におけるマーケティングの事例から、「Audience Network」を起用したマーケティング手法の利点や、その後の効果などについて話を伺ってきた。

 

◼︎シンプルで受け入れられやすいゲームデザインと配信国を考慮したマーケティング戦略

 
――本日はよろしくお願いします。まずは簡単にトランスリミットについて自己紹介を頂いてもよろしいでしょうか。
 
株式会社トランスリミットの代表を務めている高場大樹です。トランスリミットは2014年に設立された会社で、モバイルゲームの開発からパブリッシングまでを一貫して行っています。私もプロダクトの責任者という立場で、企画、開発、デザイン、プロモーションなど、サービスの開発・運営に必要なこと全てに関わっています。
 

――御社のサービスについてあらためて教えてもらえますか。
 
これまでに『Brain Wars』『Brain Dots』『Craft Warriors』という3つのタイトルを提供しており、初期2作品だけで世界中で累計5000万ダウンロード以上されています。
 
 
トランスリミットでは「世界に響くサービスをつくる」というビジョンのもと、グローバルに向けたゲームの設計、開発をモットーとしており、その結果、海外ユーザー比率は95%、日本のユーザーは僅か5%程度となります。
 
ゲームの特徴として、初期2作品については言語や文化に依存しない子供から大人まで世界中誰にでも理解できる、シンプルかつ直感的なミニゲームを題材にしてきました。

 
(関連記事)トランスリミット、街づくり戦略ゲーム『Craft Warriors』を全世界で配信開始 日本語のほか合計18言語に対応

 
――ユーザーに関して地域間では特徴の違いはあるのでしょうか。
 
『Brain Wars』は日本や中国、『Brain Dots』は米国や韓国、『Craft Warriors』は日本といったようにそれぞれで流行る国は異なっていますが、ゲームプレイに関しては地域によってあまり差はありません。シンプルなゲームなので、どこの国でも受け入れられているのだと思います。
 

――米国では大きな反響もあったかと思いますが、その要因はどのようにお考えですか。
 
『Brain Wars』と『Brain Dots』はやはり国境を超えて誰にでも理解できるシンプルで直感的なルールやデザインがユーザーに受け入れられたと思っています。『Craft Warriors』はシンプルなゲームではないのですが、「クラフト機能」というユーザー自身がゲーム内のモデリングツールで好きな3Dモデルで自分だけのキャラクターやアイテムを作成できる機能があり、それが受け入れられているように感じます。
 
 
――どのようなプロモーション・マネタイズ戦略、そしてプロモーションの課題があったのでしょうか。
 
最近ですと、『Craft Warriors』ではソフトローンチ(※本リリースの前に配信国を絞ってサービス提供を始めること)でまずはニュージーランドで先行配信を行い、ユーザーの反応を見ながら段階的にサービス提供国を広げて行きました。最終的に現在では18言語に対応して全世界で展開を行っていますが、配信国を考慮しながらプロモーションをしていく必要がありました。
 

――具体的にはどのようなマーケティングを実施されていたのでしょうか。
 
マーケティングチャネルのひとつとしてFacebook広告を使ってユーザー獲得を行いました。その際も国別のターゲティングで配信国を限定して広告配信を行い、国ごとの継続率などを見ながら徐々に拡大していきました。
 
『Brain Wars』と『Brain Dots』に関しては広告収益が主な収益源で、3作目の『Craft Warriors』で初めて本格的な課金にチャレンジしたのですが、ここでも課金+広告収益のハイブリッドでのマネタイズで、ユーザー体験を損なわずに収益を得られる動画リワードを実装しています。Facebook広告のユーザー獲得での活用に加え、Facebook Audience Networkを広告マネタイズに利用しています。
 
 

◼︎その成果は2倍以上…「Audience Network」の真価とは


 
――Facebook Audience Networkを選んだ理由について教えてください。
 
先ほどお伝えしたようにグローバルに向けたゲーム開発、サービス展開をしている為、海外ユーザー比率は95%と世界中のユーザーがゲームをプレイ頂けています。
そのためゲームの収益化を行う上では、ゲーム内課金と広告収益によるマネタイズのバランスを検討し、全世界に広告在庫を持ち世界中からのリクエストを網羅的に満たすことができるネットワークが必要でした。
 
また、Facebook広告のユーザーターゲティングに即した多様なターゲット層に合わせたパーソナライズ広告を掲載できるということも理由の一つです。広告マネタイズについてもできる限りユーザー体験を阻害せずに収益化を図りたいと思っていました。開始前からFacebook Audience NetworkのCPMは高いという評判を聞いていたので、高単価を期待していたということもあげられます。
 

――提供作品でFacebook Audience Networkを実施してみての感想をお願いします。
 
現在、Facebook Audience Networkは、弊社で提供しているタイトル全てに導入しておりますが、期待していた通り、高い効果が出せました。当社が利用しているアドネットワーク4社のうち最も高いCPMがでておりますし、その中でも、他のアドネットワーク に比べて2倍以上のパフォーマンスを出しています。
 
 
実装面でいうと、工夫した部分としてはMoPubメディエーションを使って各アドネットワークを連携させ、さらに同一ネットワーク内でも複数の価格アイテムを細かく設定することで、高い広告在庫があればしっかりとその価格でフィルされるよう機会損失をなくし、より高い価格帯での落札率を上げることで全体収益の最大化を行いました。ここでも、Audience Networkはパフォーマンスが高いためどのタイトルでもFirst fillで設定しています。
 
 
――Facebook Audience Networkの運用に関してサポート面についてはいかがでしょうか。
 
実装を検討した当初からFacebookのアカウント担当者に相談を行い、実装や運用面に関して話ができたのでスムーズに導入が進められました。定期的に打ち合わせを行い、追加実装の相談も受けて頂いております。
 
また、機能面ではAudience NetworkはMoPubなどの主要メディエーションと連携もしているので、実装もしやすい、といった印象です。
 
日々の運用については収益化マネージャーというFacebookの提供する管理画面にアクセスしてレポート数字の確認や広告主のブロックリストの追加を行っています。広告の出稿も行っているのですが、ビジネスマネージャーという企業アカウント上で広告出稿用の管理画面(広告マネージャー)へもログインができるので、一元管理ができて使いやすいです。
 
 
――Facebook Audience Networkを具体的にはどのように利用しているか。どういった使い方が御社の作品では適しているとお考えでしょうか。
 
先ほどもお話したように弊社で提供しているタイトル全てにAudience Networkを導入しておりますが、その中でもリワード動画とインターステシャルのフォーマットをよく利用しています。
 
やはりCPMが最も高いので、各価格帯でフロアプライスを設定し、まずAudience NetworkをFirst Callで呼び出し、フィルできなかった場合は次のネットワークにリクエストされるようにメディエーションを組んでいます。
 
例えば50ドルの価格アイテムの中でまずFacebook Audience NetworkをCall、在庫がなければ次点のネットワーク、そのまた次、という風に呼び出し、50ドルの価格帯でどこのネットワークにも落札されなければ次は40ドルの価格帯の中でFacebook、次点にネットワーク・・という具合いです。
 
Facebook Audience Networkは全世界に在庫を持っているため、世界向けのタイトルには欠かせないネットワークだと思います。
 
 
――最後にアプリサービスにて海外展開を考えている方や読者の方へのメッセージをお願いします。
 
スマートフォンのアプリ市場は、自分たちが作ったものを簡単に全世界に配信できます。私たちは「日本向けでなく世界向けに作る」という考え方でサービスを提供しています。
 
 
世界に向けてサービスを提供し、世界で成功させるためには、それぞれのマーケットの特性を掴み、市場にあったマーケティングを行っていく必要があります。例えばユーザーあたりの課金額が低い国々でも売上を上げていく為には、収益源を課金だけに絞らず、広告も含めて総合的にマネタイズをすることが重要だと思っています。
 
一緒に日本から、世界的ヒットタイトルをつくりましょう!
 
 
――ありがとうございました。


 

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