【ドリコム決算説明会】「立て直しフェーズを終えた」 第2四半期は3四半期連続の黒字 5周年『トレクル』好調、不採算タイトル整理やenza先行投資一服



ドリコム<3793>は、10月31日、第2四半期累計(2019年4~9月)の連結決算を発表するとともに、東京都内で証券アナリスト・機関投資家向けの決算説明会を開催した。売上高44億8800万円(前年同期比19.3%減)、営業利益3億3200万円(前年同期は5億7800万円の赤字)、経常利益は2億9500万円(同8億2400万円の赤字)、最終利益2億1300万円(同6億5500万円の赤字)と、第1四半期に続き黒字転換を達成した。

決算説明会に臨んだ内藤裕紀社長(写真)は、「提供している既存タイトルの運営が想定よりも順調に進んだ。また、見込みに入れていなかった『スーパーロボット大戦DD』が8月下旬にリリースされて、業績に貢献してくれたことも大きかった。赤字からの立て直しフェーズを終えた。」と振り返った。

既存タイトルは、採算性の高いタイトルに絞ったことで、ゲーム全体の収益性が改善傾向にあるほか、「enza」への先行投資についても一服した。今後は、「伸びるタイトルを伸ばしていく一方、リリースタイトルを絞ることで質を担保して売上を積み上げていきたい」と述べた。また、今期終わりと来期にかけて、今後の成長ドライバーをどうするか考えたいとも語った。


 
■黒字転換した第2四半期
 


第2四半期(7~9月)の業績をみると、売上高が前年同期比で19.3%減の22億3500万円だった。5周年を迎えた『ONE PIECE トレジャークルーズ』が好調に推移したことに加え、『スーパーロボット大戦DD』が貢献したものの、前年同期にあった開発売上高が今期はなかったことが響いた。製作委員会に納品するゲームの開発売上で、同額の売上原価も計上するので利益への影響はないという。
 


また、営業利益は2億0300万円(前年同期は1億6100万円の赤字)と大きく改善した。主力の既存タイトルが好調だったことに加えて、不採算タイトルをクローズしたことによる採算性の改善、前年同期はサービス開始直後で投資局面にあった「enza」の赤字幅が縮小したこと、運用体制の見直しに伴うコストの最適化などが奏功したとのことだった。
 


経常利益は、1億4300万円(同3億1100万円の赤字)と黒字転換した。営業利益が黒字だったことが大きいが、前年同期にあった「enza」関連の損失といられる持分法による投資損失1億4000万円がこの四半期では1700万円に大きく減った。他方、一部フロアからの退去に伴い、営業外費用3000万円を計上した。

さらにこれに伴い、最終利益についても、9100万円(同1億5000万円の赤字)と黒字転換を果たした。一部フロアからの退去に伴い、特別損失5200万円を計上したとのこと。


 
■第3四半期も黒字転換を見込む

第3四半期は、売上高23億1200万円(前年同期比3.1%減)、営業利益1億1900万円(前年同期1億2600万円の赤字)、経常利益1億0600万円(同4億5800万円の赤字)、最終利益8700万円(同7億1700万円の赤字)と引き続き黒字転換を見込む。

この四半期では、『ダービースタリオンマスターズ』が中心となる。リリース3周年を迎えるだけでなく、秋~冬のGIシーズンに入ることで盛り上がりが期待される。8月リリースの『スーパーロボット大戦DD』がフル寄与するが、予算上は寄与は想定していないそうだ。
 


『ダービースタリオンマスターズ』は、パートナーではなく、ドリコムが運営しているタイトルとなるため、「ネット計上」ではない。このため、売上高のほか、プラットフォーム手数料や広告宣伝費などの費用が増える見通しだ。他方、一部フロアからの退去に伴う家賃は下がる。

また経常利益については、前年同期と異なり、「enza」事業関連の先行投資が減る上、多額の持分法投資損失が計上とならない見通しで黒字を見込む。不採算タイトルの減損処理も発生しない見通しで、最終利益もプラスとなる。


 
■新作ゲームの動向

新作については、2020年3月期では1本、2021年3月期では1本の合計2本を予定しているとのこと。クオリティを重視して開発を行っているそうだ。今期の1本はIPタイトルとなるが、第3四半期中に出せるかどうかはわからないという。

開発費や広告宣伝費の高騰が続いているなか、巨額の予算で開発した中国系のアプリが存在感を高める中、原則として自社で開発する方式から、相互に弱みを補完できる他社との共同で開発を行っているという。
 


その他、以下の取組を行っている。


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株式会社ドリコム
http://www.drecom.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社ドリコム
設立
2001年11月
代表者
代表取締役社長 内藤 裕紀
決算期
3月
直近業績
売上高108億円、営業利益22億8100万円、経常利益21億9200万円、最終利益11億5900万円(2023年3月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
3793
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