【エイチーム決算説明会】第1四半期の営業益69%減 新サービスへの投資と既存ゲーム不振響く 通期進捗率15%も下期挽回で計画達成へ



エイチーム<3662>は、12月6日、第1四半期(2019年8月~10月)の連結決算を発表するとともに、東京都内で証券アナリスト・機関投資家向けの決算説明会を開催した。発表した決算は、売上高81億4800万円(前年同期比8.7%減)、営業利益1億4900万円(同69.1%減)、経常利益1億4400万円(同71.6%減)、最終利益7500万円(同70.5%減)だった。ゲーム事業の売上減に加えて、ライフサポートで新規サービスへの先行投資を行ったことが響いた。

大幅減益となったうえ、営業利益の通期計画に対する進捗率は15%に満たないが、林高生社長(写真)は、「進捗は予想どおり」と計画に沿った着地だっと強調した。同社の引っ越しやエアコンなど、生活関連の情報サービスの収益は、季節要因などもあって、例年、下期(2月~7月)に収益が集中する傾向にあるためだ。
 


 
■サブセグメントの変更

決算説明に先立ち、ライフスタイルサポート事業のサブセグメントの区分変更を行ったことを明かした。サービス内容の違いで分けていたが、今後は、ビジネスモデルで区分けしていく方式に変更するとのこと。

引越しや自動車、ブライダル、金融メディアをそれぞれ独立したサブセグメントとしたが、「デジタルマーケティング支援ビジネス」としてまとめる。自社メディアを通じて提携事業者に見込客を送るビジネスで共通しているためだ。

一方、Qiitaやlaluneなど、その他サービスを「プラットフォームビジネス」とした。個人の利用者に基本無料でサービスを提供し、パートナー企業に利用者を見込客として紹介することで紹介手数料と成約報酬を稼ぐビジネスとなる。
 


 
■ライフスタイルサポート新規サービスへの先行投資で減益に

売上高は55億2100万円(同6.7%増)、セグメント利益は4億7100万円(同26.6%減)と増収・減益となった。既存サービスが安定的に成長する中で、新規で立ち上げた複数のサービスにおける投資費用が先行したという。またブライダル関連が繁忙期を迎えることもあり、広告宣伝費が増えたことも減益要因となった。
 


ライフスタイルサポートの新規サービスは、売上は同11.3倍の1億6900万円と大きく伸びたが、投資を拡大した結果、赤字幅は1億7000万円から2億8300万円に拡大した。ナビナビ住宅ローン、ファインドプロ、すまいうる、minorie、Qiita Jobsなど2018年7月期以降に立ち上げたサービスが該当する。
 


新規サービスは、特にリスティング広告で集客できるサービスを中心に伸びたそうだ。「現在、フェーズとしてはシェアを伸ばすところで、広告費などを強く踏み始んだ。全てではないが、うまくいくものが出始めた」(林社長)と手応えをつかんだ様子だった。ただ、自然検索で伸びるサービスについては時間がかかるとした。


 
■エンターテインメント事業

売上高は19億8900万円(同38.7%減)、セグメント利益は4300万円(同84.1%減)と売上、利益ともに大きく落ち込んだ。大型タイトルの売上が落ち込み、既存ゲームアプリが引き続き減収傾向となったが、中小型のタイトルは堅調だったという。これまで資産計上していた協業ゲームの開発費を一部先行して計上したことも響いたが、広告宣伝費を削減することで利益を確保した。
 


広告宣伝費については、抑制を続けており、この四半期では1億7900万円まで低下した。ライフスタイルサポート事業に比べると抑制ぶりがわかるだろう。サーバーやインフラなどの費用も抑えることで利益確保を狙う。
 


気になる新作については、今期中に1タイトルをリリースする予定だ。いわゆるIPタイトルだが、マルチデバイスではなく、スマートフォン向けのカジュアルゲームとして配信する予定。詳細は近々発表する予定だ。

また、すでに発表されたように、新作については、IPタイトルをグローバルかつマルチデバイスで展開する方針だが、新しい方針に基づく新作については、1タイトルを開発しているそうだ。「過去最大規模のチーム」(エンターテインメント事業本部長の中内之公氏)で取り組む。「先方との関係でどういった開発状況にあるのかは言えない」が、2021年7月期以降にリリースするという。

もう一つのタイトルがあることも明かしたが、これについては企画段階にあるそうだ。具体的には、協業相手と交渉を行っている最中とした。2021年7月期中のリリースは難しいとの見方も示した。
 


 
■EC事業

売上高は6億3700万円(同24.8%増)、セグメント損益は5000万円(前年同期は6300万円の赤字)となった。仕入・物流・販売等オペレーションの改善が奏功したことに加え、消費税増税前の駆け込み需要の影響もあり、前年同期比で増収となった。
 


同社では、在庫回転率をKPIに設定しているという。在庫回転率は、商品が何回転したかを示す比率で、高いほど良好な状況を示す。この四半期では大きく改善したとのことだった。
 
株式会社エイチーム
https://www.a-tm.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社エイチーム
設立
2000年2月
代表者
代表取締役社長 林 高生
決算期
7月
直近業績
売上高275億5200万円、営業利益5億4300万円、経常利益7億1100万円、最終利益1億4300万円(2023年7月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3662
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