株式を上場している主要モバイルゲームSAP13社の7~9月期(一部6~8月期)決算が、前週末(11月8日)までに出そろった。ソーシャルゲームインフォが集計したところ、13社合計の7~9月の売上高は、前四半期(4~6月)に比べて1.4億円(0.2%)増の842億円と微増にとどまる結果となった。営業利益は、数値が判明している11社を合計したところ7~9月は266億円と同32億円(10.8%)減った。『パズル&ドラゴンズ』を擁するガンホー・オンライン・エンターテイメントの減収減益が響いた。7~9月はこれまで急成長を続けてきたSAPの売り上げがほぼ横ばいとなり、収益面で頭打ちの兆しが見え始めている。業界全体の収益が単なる踊り場なのか、それとも成長が一巡したのかは見極めが必要だが、今後も売り上げ・利益を伸ばしていけるかは、海外展開の成功やヒット作の登場が必要となってきそうだ。
(13社は10企業+3事業部門。ケイブとKLabは6~8月期を7~9月期、3~5月期を4~6月期とみなして集計し、モブキャストもSAPに含めた。CAはサイバーエージェントの略。SAP全体の動向をみるにはエイチームを含めた方が適切だが、直近の決算期である8~10月期が未発表のため、除外して速報値として集計した。グリーなど大手プラットフォームを含めた業界全体の集計は後日行いたい)
なお、gloopsを買収して売上高が膨らんだネクソンのモバイル事業を除外した12社で、より長い期間を見ると以下のようになる。こちらも微増を維持しているが、長期で見ると成長ペースの鈍化が目立つ。
上の2つのグラフをネイティブ専業2社(ガンホー、コロプラ)とそれ以外でわけたところ、以下のようになる。ネイティブ専業2社もそれ以外も、7~9月はほぼ横ばいの状況だ。ネイティブ専業2社はガンホーの落ち込みをコロプラがカバーした格好となる。その他の企業群も、ブラウザゲーム市場の成長が一服したなか、既存タイトルの踏ん張りやネイティブアプリへの段階的な移行で、売上規模を維持しているとみることができる。
なお、新規上場のタイミングや大型買収の影響で連続性は無いが、2010年4月以降の上場SAPの売上高推移は以下のようになる。
業界全体の費用は増加傾向が続いている。ネイティブタイトルへの移行を進めるなか、各社とも人件費や「App Store」「Google Play」への支払い手数料が増加し、売上原価の拡大が続く。ヒットの確率を上げるために他社IP(知的財産)を使用したタイトルに注力する企業もおり、権利使用料の増加も原価上昇に響いているようだ。販売費及び一般管理費(販管費)の増加ペースも加速している。各社とも広告宣伝費が増えているようで、テレビCMを積極的に展開したガンホーとコロプラ、クルーズで販管費の増加が目立った。
(13社は10企業+3事業部門。ケイブとKLabは6~8月期を7~9月期、3~5月期を4~6月期とみなして集計し、モブキャストもSAPに含めた。CAはサイバーエージェントの略。SAP全体の動向をみるにはエイチームを含めた方が適切だが、直近の決算期である8~10月期が未発表のため、除外して速報値として集計した。グリーなど大手プラットフォームを含めた業界全体の集計は後日行いたい)
■売上高:ガンホーの落ち込みをコロプラやKLabが埋める、ブラウザ主力組も善戦
連続して比較可能な13社の合計売上高をみると、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの落ち込みを、コロプラとKLabの成長が埋めた格好となった。コロプラは『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』、KLabは『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』と、ネイティブアプリのヒットで増収を達成した2社が無ければ、業界全体では減収に転じていたことになる。なお、gloopsを買収して売上高が膨らんだネクソンのモバイル事業を除外した12社で、より長い期間を見ると以下のようになる。こちらも微増を維持しているが、長期で見ると成長ペースの鈍化が目立つ。
上の2つのグラフをネイティブ専業2社(ガンホー、コロプラ)とそれ以外でわけたところ、以下のようになる。ネイティブ専業2社もそれ以外も、7~9月はほぼ横ばいの状況だ。ネイティブ専業2社はガンホーの落ち込みをコロプラがカバーした格好となる。その他の企業群も、ブラウザゲーム市場の成長が一服したなか、既存タイトルの踏ん張りやネイティブアプリへの段階的な移行で、売上規模を維持しているとみることができる。
なお、新規上場のタイミングや大型買収の影響で連続性は無いが、2010年4月以降の上場SAPの売上高推移は以下のようになる。
■利益:ガンホーを除いても減益 CM・ネイティブ移行・IP重視で費用は増加傾向
利益面ではガンホーの落ち込みを業界全体で補い切れなかった。利益額が文字通り「桁違い」のガンホーを除いた10社の営業益は33.2億円にとどまり、前四半期(33.75億円)と比べて微減となった。KLabの黒字転換、コロプラとオルトプラスの増益がプラスに寄与したが、その他企業の利益減に押された。
業界全体の費用は増加傾向が続いている。ネイティブタイトルへの移行を進めるなか、各社とも人件費や「App Store」「Google Play」への支払い手数料が増加し、売上原価の拡大が続く。ヒットの確率を上げるために他社IP(知的財産)を使用したタイトルに注力する企業もおり、権利使用料の増加も原価上昇に響いているようだ。販売費及び一般管理費(販管費)の増加ペースも加速している。各社とも広告宣伝費が増えているようで、テレビCMを積極的に展開したガンホーとコロプラ、クルーズで販管費の増加が目立った。