株式を上場している主要モバイルゲーム企業・SAP(ソーシャルアプリプロバイダー)11社の2013年10~12月期(一部9~11月期、9~12月期)決算が出そろった。本業の儲けを示す営業損益が前四半期比(QonQ)で改善したのは、対象とする11社中3社と、前回決算時の5社から減少。増収の企業も6社と前回の8社から減った。ブラウザゲームの売上が減少基調で、ネイティブアプリや広告、EC(ネット通販)など次の収益源を確保できた企業は増収、そうでない企業は減収という傾向が見える。また、ネイティブアプリの開発費などが負担となり、利益が伸び悩む企業が増えている。
11社の決算内容を以下に一覧とした。参考として、Cygamesなどを含むサイバーエージェント(CA)<4751>のSAP事業、gloopsを含むネクソン<3659>のモバイル事業の売上高も掲載した。(※なおKLabは4カ月の変則決算で、3か月に換算した数値では売上高がQonQで10%減った。オルトプラスはこの決算期から連結決算となっている)
増収増益…コロプラ<3668>、ドリコム<3793>、ボルテージ<3639>
増収減益…enish<3667>、ガンホー<3765>、クルーズ<2138>
減収減益…アクセルマーク<3624>、オルトプラス<3672>、KLab<3656>※、ケイブ<3760>、モブキャスト<3664>
この四半期の売上高で注目したいのは、コロプラ(110億円)が初めてネクソンのモバイル事業(67億円)を追い抜いた点だ。ブラウザゲーム時代の2強とされたgloopsを上回り、Cygamesを含むCAのSAP事業(114億円)を射程に捉えた。前の四半期でドリコムを追い抜いたenishだが、この四半期でもその状況が続いている。
四半期として過去最高の営業利益を達成したのは、コロプラとボルテージの2社のみ。ドリコムの営業損益は改善したものの、赤字が継続している。ネイティブアプリで人気作を複数リリースしているガンホーとコロプラが利益面では突出しており、他の企業は多くても2ケタ億円に達していない。
クルーズとenishはネイティブアプリ開発などの費用増、オルトプラスは海外展開の先行投資などが利益の圧迫要因。KLabは新作の不振やリリース延期などが響いた。
ネイティブアプリへの移行が遅れたクルーズやドリコムは、ゲーム事業の売上減少が続く。ネイティブを7タイトルを開発中だと公表したenishのように、各社、ネイティブアプリの開発・リリースに本腰を入れ始めた。一方、ネイティブではこれまでよりもゲーム性が求められると判断する企業も相次ぎ、KLabやgloopsを傘下に持つネクソンなどは数を追わず品質を重視する姿勢を示した。
そのなかで、株式市場の関心が高まったのがIP(知的財産、版権)の活用だ。IP保有者と売上を分けたり、権利使用料を支払ったりするため利益率低下というデメリットはあるが、売上面で大きな「ハズレ」となるリスクは低下する。KLabは収益が見込めるタイトル以外を一斉に減損処理したが、資産として計上を続けたのは『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』と『幽☆遊☆白書 ‐魔界統一最強バトル‐』というIP2作品だった。
市場参加者は決算説明会で、しきりにIPタイトルのリリース予定を質問していたが、ブラウザゲーム時代の記憶から経営者たちの回答には冷静さも見えた。最初期にIPを利用したゲーム『熱血硬派くにおくん』で成功したクルーズの小渕宏二社長は、IPタイトルはARPPU(課金ユーザー1人当たりの平均売上)が高いものの、ファン以外が流入しにくく、「IPにこだわるとDAU(1日あたりのサービス利用ユーザー数)が取れなくなる」と指摘していた。
決算説明会でIPに触れた経営者の主なコメントを一覧にした。
『ドラクエモンスターズ スーパーライト』の「返金問題」のように、IPの力が逆に運営会社に襲いかかる可能性もある。また、新作の情報公開のタイミングについて制限ができるという側面もある。
以下、各社の状況を個別に見ていこう。
データ分析に基づく広告力を発揮。第1四半期(10~12月)の売上高は110.73億円(前四半期比70.1%増)、営業利益48.87億円(同2.1倍)だった。『蒼の三国志』『黒猫のウィズ』が効率的なテレビCMで成長し、第1四半期から通期業績を上方修正。アプリの開発力と広告の相乗効果が出た。リアルタイム通信によるマルチプレイが可能な新作『スリングショットブレイブズ』に期待集まる。
ドリコム<3793>
スマホ向け広告事業が好調。第3四半期(10~12月)の売上高は17.13億円(同1.8%増)、営業損益9200万円の赤字(前四半期は2.32億円の赤字)と、業績がやや改善した。ブラウザゲームの減収が続くなか、広告事業の成長が業績全体を支えている。1月リリースのネイティブアプリ『フルボッコヒーローズ』はフライングガチャの効果もあってか、滑り出しは上々。
ボルテージ<3639>
恋愛ドラマアプリ好調。第2四半期(10~12月)の売上高は25.44億円(同10.9%増)、営業損益3.77億円の黒字(前四半期は1.12億円の赤字)と、ともに過去最高を更新。ネイティブアプリの売上成長と広告の効率化が業績改善につながった。通期業績も上方修正したが、修正後の業績予想は「ネイティブアプリはウェブと勝手が違うので保守的な計画」とのこと。
色々と物入り。第4四半期(10~12月)の売上高は17.77億円(同4.4%増)、営業利益6500万円(同80.1%減)だった。ネイティブアプリ開発に向けての外注費や、六本木ヒルズへの本社移転費用、決算賞与などの各種コストが増加した。なお12月に東証1部に上場市場を変更。社長も杉山全功氏から安徳孝平氏に代わる。7本開発中のネイティブアプリに注目。
ガンホー<3765>
『パズドラZ』の販売好調。第4四半期(10~12月)は売上高が467.99億円(同12.4%増)、営業利益227.13億円(同2.8%減)だった。3DS向けソフト『パズドラZ』の販売好調で売上は伸びたが、広告宣伝費がかさみ利益率が低下。『サモンズボード』などの新作やM&A(合併・買収)、『パズル&ドラゴンズ』への新要素追加、スーパーセルとの連携強化など「3本の矢」で、次の成長ステージを目指す。
クルーズ<2138>
ネイティブ移行の遅れをECが補う。第3四半期(10~12月)の売上高は61.36億円(同1.1%増)、営業利益8.02億円(同15.8%減)だった。ブラウザゲームの減収を、EC事業『SHOPLIST.com』の成長が埋め、増収を確保。ただ、ネイティブアプリの開発強化で人件費・外注費が増加し利益を圧迫。待望のネイティブアプリレーシングゲーム『ACR DRIFT』の世界配信が2月に始まった。
コスト削減で黒字確保。第1四半期(10~12月)決算は売上高が8.66億円(同8.8%減)、営業利益2700万円(同45%減)だった。マルチプラットフォーム展開などでブラウザゲームは底堅いものの、協業先からの開発収入が減った。新規ネイティブアプリの開発に人員投下、下期(4~9月)にフルネイティブアプリ1本をリリース予定。
オルトプラス<3672>
既存タイトルの売上減少を新作で補い切れず。第1四半期(10~12月)の売上高は6.98億円(同6.1%減)、営業利益1.15億円(同47.2%減)だった。引き続きマルチプラットフォーム展開と協業タイトルのリリースに取り組む。今期から連結を始めたベトナム子会社の貢献を確認したい。
KLab<3656>
『ラブライブ!』が頼みの綱。第5四半期(9~12月)の3ヵ月換算売上高は41.28億円(同10.2%減)、営業損益は2.22億円の赤字(前四半期は1.26億円の黒字)だった。前四半期にリリースした新作や海外事業が振るわず、ゲーム性見直しのため新作のリリースを延期。結果、売上が減少した。『ラブライブ!』と『幽☆遊☆白書』以外のタイトルを減損処理したほか、大幅なコスト削減も実施。ブラウザの売上減少を『ラブライブ!』の成長で補いながら、黒字を確保する方針だ。『天空のクラフトフリート』など新作アプリの寄与に期待。『Age of Empires』も待ち遠しい。
ケイブ<3760>
新作寄与の顕在化待ち。第2四半期(9~11月)は売上高が4.25億円(同5.1%減)、営業損益は1.09億円の赤字(前四半期は6000万円の赤字)に悪化。既存タイトルの売上減少が続く。話題の新作『ジャグラー×モンスター』と『ハローキティのパズルチェイン』のリリースは11月以降。新作が本格的に業績に寄与してくる第3四半期を見極めたい。なお、昨年12月にグリーとの資本業務提携を解消した。
モブキャスト<3664>
ゲーム版サッカーワールドカップ(W杯)で再生目指す。第4四半期(10~12月)の売上高は12.72億円(同2.7%減)、営業損益3.01億円の赤字(前四半期は2.04億円の赤字)となった。長期固定の広告費が利益を圧迫、コスト改善も進まず。サッカーゲームへの注力と、プラットフォームを「負けず嫌い男性」向けに改良することで再生目指す。海外対戦機能を強化し、ゲーム版W杯の開催を計画。
【四半期業績の推移、単位:億円】
ネクソンのモバイル事業とCAのSAP事業を加えた13社の合計売上高は948.1億円と、前四半期に比べて13%増加した。ガンホーとコロプラの売上増加がけん引した。ガンホーとコロプラの2社以外の合計売上高も4%伸びている。
▼上のグラフをネイティブ専業2社(ガンホー、コロプラ)とそれ以外で分けたグラフ
数値が判明している11社の営業利益を合計すると279.7億円で、前四半期から5%増えた。ガンホーを除いた10社の合計は52.5億円と同58%増。こちらはガンホーの減益を、コロプラとボルテージの増益が補う格好となった。費用面では原価、販売費及び一般管理費の増加基調は続いている。
11社の決算内容を以下に一覧とした。参考として、Cygamesなどを含むサイバーエージェント(CA)<4751>のSAP事業、gloopsを含むネクソン<3659>のモバイル事業の売上高も掲載した。(※なおKLabは4カ月の変則決算で、3か月に換算した数値では売上高がQonQで10%減った。オルトプラスはこの決算期から連結決算となっている)
▲売上規模順に並べた。前四半期との比較(QonQ)で、%表示のないものは実績
売上高と営業利益の増減別に分けると、以下のようになる。
(※以下、KLabは3か月換算した数字を用いる)
(※以下、KLabは3か月換算した数字を用いる)
増収増益…コロプラ<3668>、ドリコム<3793>、ボルテージ<3639>
増収減益…enish<3667>、ガンホー<3765>、クルーズ<2138>
減収減益…アクセルマーク<3624>、オルトプラス<3672>、KLab<3656>※、ケイブ<3760>、モブキャスト<3664>
■売上高:過去最高が5社、コロプラが初めてネクソンのモバイル事業を上回る
四半期として過去最高の売上高を達成したのは、コロプラ、クルーズ、ボルテージ、enish、ガンホーの5社だ。コロプラ、ガンホー、enish、ボルテージはゲーム事業を着実に伸ばした。クルーズはネイティブアプリへの移行に遅れ、ブラウザゲーム中心のソーシャルゲーム事業が減収となったものの、EC事業が成長した。引き続き、ガンホーが圧倒的な売上規模を誇っている。この四半期の売上高で注目したいのは、コロプラ(110億円)が初めてネクソンのモバイル事業(67億円)を追い抜いた点だ。ブラウザゲーム時代の2強とされたgloopsを上回り、Cygamesを含むCAのSAP事業(114億円)を射程に捉えた。前の四半期でドリコムを追い抜いたenishだが、この四半期でもその状況が続いている。
■営業利益:コロプラとボルテージが最高益更新、ネイティブアプリ開発費が負担の企業も
四半期として過去最高の営業利益を達成したのは、コロプラとボルテージの2社のみ。ドリコムの営業損益は改善したものの、赤字が継続している。ネイティブアプリで人気作を複数リリースしているガンホーとコロプラが利益面では突出しており、他の企業は多くても2ケタ億円に達していない。クルーズとenishはネイティブアプリ開発などの費用増、オルトプラスは海外展開の先行投資などが利益の圧迫要因。KLabは新作の不振やリリース延期などが響いた。
■ブラウザの減収基調が明確に…ネイティブシフトが本格化…IPタイトルへの関心も強く
ブラウザゲームの減収基調が明確となり、ネイティブアプリへの移行の重要性が一段と意識されたと感じる四半期決算だった。ネイティブアプリへの移行が遅れたクルーズやドリコムは、ゲーム事業の売上減少が続く。ネイティブを7タイトルを開発中だと公表したenishのように、各社、ネイティブアプリの開発・リリースに本腰を入れ始めた。一方、ネイティブではこれまでよりもゲーム性が求められると判断する企業も相次ぎ、KLabやgloopsを傘下に持つネクソンなどは数を追わず品質を重視する姿勢を示した。
そのなかで、株式市場の関心が高まったのがIP(知的財産、版権)の活用だ。IP保有者と売上を分けたり、権利使用料を支払ったりするため利益率低下というデメリットはあるが、売上面で大きな「ハズレ」となるリスクは低下する。KLabは収益が見込めるタイトル以外を一斉に減損処理したが、資産として計上を続けたのは『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』と『幽☆遊☆白書 ‐魔界統一最強バトル‐』というIP2作品だった。
市場参加者は決算説明会で、しきりにIPタイトルのリリース予定を質問していたが、ブラウザゲーム時代の記憶から経営者たちの回答には冷静さも見えた。最初期にIPを利用したゲーム『熱血硬派くにおくん』で成功したクルーズの小渕宏二社長は、IPタイトルはARPPU(課金ユーザー1人当たりの平均売上)が高いものの、ファン以外が流入しにくく、「IPにこだわるとDAU(1日あたりのサービス利用ユーザー数)が取れなくなる」と指摘していた。
決算説明会でIPに触れた経営者の主なコメントを一覧にした。
CA・藤田社長 | 「有力IPがすべて成功するわけではない。ガラケーのときもIPタイトルだらけになり、そんなに長く持たなかった。IPをやればいいという株式市場の幻想は続くだろうが、そんなに甘くはないと思う。積極的にIPばかりをやる方針ではない」 |
コロプラ・馬場社長 | 「ゲームの面白さとIPの面白さは、足し算ではなく掛け算。ゲームが面白くないと、0.5(ゲームの魅力)×1(IPの魅力)=0.5で総合力が下がる。ゲームとIPの両方に面白さが必要で、実はヒットの確率は低い」 |
クルーズ・小渕社長 | 「最初にIPブラウザゲームで成功事例をつくった自負があるが、IPに笑い、IPに泣いた。『くにおくん』はARPPUが高かったが、 DAUがそこまでとれなかった。IPはファンは必ず遊んでくれるが、それ以外のユーザーが入ってきにくい。他社がIPを使わず『くにおくん』に似たシステムのゲームを出した際、幅広い層に受け、DAUをとられた。IPにこだわるとDAUがとれなくなる」 |
ボルテージ・横田社長
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「基本的にオリジナルタイトルに取り組んでいく。IPタイトルで短期的に収益が出るより、社内でゼロからつくる力を育てていくことを考えている」 |
『ドラクエモンスターズ スーパーライト』の「返金問題」のように、IPの力が逆に運営会社に襲いかかる可能性もある。また、新作の情報公開のタイミングについて制限ができるという側面もある。
以下、各社の状況を個別に見ていこう。
■増収増益組
コロプラ<3668>データ分析に基づく広告力を発揮。第1四半期(10~12月)の売上高は110.73億円(前四半期比70.1%増)、営業利益48.87億円(同2.1倍)だった。『蒼の三国志』『黒猫のウィズ』が効率的なテレビCMで成長し、第1四半期から通期業績を上方修正。アプリの開発力と広告の相乗効果が出た。リアルタイム通信によるマルチプレイが可能な新作『スリングショットブレイブズ』に期待集まる。
【四半期業績の推移、単位:億円】
ドリコム<3793>
スマホ向け広告事業が好調。第3四半期(10~12月)の売上高は17.13億円(同1.8%増)、営業損益9200万円の赤字(前四半期は2.32億円の赤字)と、業績がやや改善した。ブラウザゲームの減収が続くなか、広告事業の成長が業績全体を支えている。1月リリースのネイティブアプリ『フルボッコヒーローズ』はフライングガチャの効果もあってか、滑り出しは上々。
【四半期業績の推移、単位:億円】
ボルテージ<3639>
恋愛ドラマアプリ好調。第2四半期(10~12月)の売上高は25.44億円(同10.9%増)、営業損益3.77億円の黒字(前四半期は1.12億円の赤字)と、ともに過去最高を更新。ネイティブアプリの売上成長と広告の効率化が業績改善につながった。通期業績も上方修正したが、修正後の業績予想は「ネイティブアプリはウェブと勝手が違うので保守的な計画」とのこと。
【四半期業績の推移、単位:億円】
■増収減益組
enish<3667>色々と物入り。第4四半期(10~12月)の売上高は17.77億円(同4.4%増)、営業利益6500万円(同80.1%減)だった。ネイティブアプリ開発に向けての外注費や、六本木ヒルズへの本社移転費用、決算賞与などの各種コストが増加した。なお12月に東証1部に上場市場を変更。社長も杉山全功氏から安徳孝平氏に代わる。7本開発中のネイティブアプリに注目。
【四半期業績の推移、単位:億円】
ガンホー<3765>
『パズドラZ』の販売好調。第4四半期(10~12月)は売上高が467.99億円(同12.4%増)、営業利益227.13億円(同2.8%減)だった。3DS向けソフト『パズドラZ』の販売好調で売上は伸びたが、広告宣伝費がかさみ利益率が低下。『サモンズボード』などの新作やM&A(合併・買収)、『パズル&ドラゴンズ』への新要素追加、スーパーセルとの連携強化など「3本の矢」で、次の成長ステージを目指す。
【四半期業績の推移、単位:億円】
クルーズ<2138>
ネイティブ移行の遅れをECが補う。第3四半期(10~12月)の売上高は61.36億円(同1.1%増)、営業利益8.02億円(同15.8%減)だった。ブラウザゲームの減収を、EC事業『SHOPLIST.com』の成長が埋め、増収を確保。ただ、ネイティブアプリの開発強化で人件費・外注費が増加し利益を圧迫。待望のネイティブアプリレーシングゲーム『ACR DRIFT』の世界配信が2月に始まった。
【四半期業績の推移、単位:億円】
■減収減益組
アクセルマーク<3624>コスト削減で黒字確保。第1四半期(10~12月)決算は売上高が8.66億円(同8.8%減)、営業利益2700万円(同45%減)だった。マルチプラットフォーム展開などでブラウザゲームは底堅いものの、協業先からの開発収入が減った。新規ネイティブアプリの開発に人員投下、下期(4~9月)にフルネイティブアプリ1本をリリース予定。
【四半期業績の推移、単位:億円】
オルトプラス<3672>
既存タイトルの売上減少を新作で補い切れず。第1四半期(10~12月)の売上高は6.98億円(同6.1%減)、営業利益1.15億円(同47.2%減)だった。引き続きマルチプラットフォーム展開と協業タイトルのリリースに取り組む。今期から連結を始めたベトナム子会社の貢献を確認したい。
【四半期業績の推移、単位:億円】
KLab<3656>
『ラブライブ!』が頼みの綱。第5四半期(9~12月)の3ヵ月換算売上高は41.28億円(同10.2%減)、営業損益は2.22億円の赤字(前四半期は1.26億円の黒字)だった。前四半期にリリースした新作や海外事業が振るわず、ゲーム性見直しのため新作のリリースを延期。結果、売上が減少した。『ラブライブ!』と『幽☆遊☆白書』以外のタイトルを減損処理したほか、大幅なコスト削減も実施。ブラウザの売上減少を『ラブライブ!』の成長で補いながら、黒字を確保する方針だ。『天空のクラフトフリート』など新作アプリの寄与に期待。『Age of Empires』も待ち遠しい。
【四半期業績の推移、単位:億円】
ケイブ<3760>
新作寄与の顕在化待ち。第2四半期(9~11月)は売上高が4.25億円(同5.1%減)、営業損益は1.09億円の赤字(前四半期は6000万円の赤字)に悪化。既存タイトルの売上減少が続く。話題の新作『ジャグラー×モンスター』と『ハローキティのパズルチェイン』のリリースは11月以降。新作が本格的に業績に寄与してくる第3四半期を見極めたい。なお、昨年12月にグリーとの資本業務提携を解消した。
【四半期業績の推移、単位:億円】
モブキャスト<3664>
ゲーム版サッカーワールドカップ(W杯)で再生目指す。第4四半期(10~12月)の売上高は12.72億円(同2.7%減)、営業損益3.01億円の赤字(前四半期は2.04億円の赤字)となった。長期固定の広告費が利益を圧迫、コスト改善も進まず。サッカーゲームへの注力と、プラットフォームを「負けず嫌い男性」向けに改良することで再生目指す。海外対戦機能を強化し、ゲーム版W杯の開催を計画。
【四半期業績の推移、単位:億円】
■業績集計:全体で増収増益に…売上高はガンホーの増収が寄与、利益はコロプラ・ボルテージが支え
最後に、各社の売上高と営業利益の合計額を記載し、業界全体の方向感をつかんでおきたい。ネクソンのモバイル事業とCAのSAP事業を加えた13社の合計売上高は948.1億円と、前四半期に比べて13%増加した。ガンホーとコロプラの売上増加がけん引した。ガンホーとコロプラの2社以外の合計売上高も4%伸びている。
▼上のグラフをネイティブ専業2社(ガンホー、コロプラ)とそれ以外で分けたグラフ
数値が判明している11社の営業利益を合計すると279.7億円で、前四半期から5%増えた。ガンホーを除いた10社の合計は52.5億円と同58%増。こちらはガンホーの減益を、コロプラとボルテージの増益が補う格好となった。費用面では原価、販売費及び一般管理費の増加基調は続いている。