オルトプラス決算説明会 有力IP活用した新作を順次投入。中韓ゲーム会社と共同でネイティブも。ベトナム投資一巡し下期攻勢へ

オルトプラス<3672>は、5月9日、第2四半期(2013年10月~2014年3月期)の決算説明会を開催した。上期の累計では、売上高は従来計画を0.7%下回る14億6300万円だったものの、営業利益は97.5%上回る2億2900万円での着地となった。経常利益も74.7%上回る2億0100万円、最終利益も67.4%上回る8800万円となり、利益面では従来計画を大幅に上回った。

ベトナムの現地法人の立ち上げに伴う先行費用で、利益は前年同期との比較ではマイナスとなったものの、ベトナム人エンジニアの採用が予想より進んだことで日本人エンジニアの採用が抑制され、人件費や人材紹介会社に支払う手数料などが減ったことが主な要因だった。さらに広告宣伝費や外注費が予想を下回ったことも増益要因となった。
 
なお、9月通期の計画に対する上期の進ちょく率は、売上高が37.2%、営業利益が23.8%と、売上・利益ともに50%に届いていないが、決算説明会に臨んだ石井武社長(写真)は、「この半年間、売り上げが伸びなくてもあえて踊り場を作り、今後の成長の原動力となる運営・運用力の構築に費やしてきた」と振り返りつつ、ベトナム法人の本格稼働と、ベトナム法人の立ち上げ準備でリリースできなかった新作タイトルが収益に寄与することにより、通期計画は達成できるとの見方を示した。
 


今回の記事では、上期ではなく、第2四半期(1~3月期)の動向をまとめつつ、下期の取り組みについてレポートしていきたい(上期の状況についてはこちらを参照のこと)。



■ベトナム法人関連の先行投資で営業減益

オルトプラスでは、『バハムートブレイブ』や『精霊ファンタジア』などオリジナルタイトルを展開するとともに、『サモンナイトコレクション』や『エンペラーズサガ』、『聖闘士星矢』など他社IPタイトルの運営、そして、他社の開発したソーシャルゲームのパブリッシングを展開している。またネイティブアプリとしては、『スーパー戦隊バトベース』などの開発・運営も担当している。
 
第2四半期の売上高は、前四半期比(2013年10~12月期)で9.5%増の7億6400万円と伸びたが、これは既存のソーシャルゲームの売り上げが伸びたことによる。さらに、オルトプラスの開発する新作のリリースはなかったものの、パブリッシングタイトルと運営移管タイトルが増えたことも売り上げを押し上げた。
 

【四半期別売上高・営業利益の推移(単位:億円)】


 
この四半期にリリースしたのは2タイトルで、ひとつは、フジテレビとの協業タイトル『アイドルジャムZ-プリンセスと緋竜の王冠-』だった。これはもともとフジテレビとエディアが協業タイトル『IDOL☆J@M(アイドルジャム)』の運営を引き継いだものである。もうひとつは、アクセルマークとの協業タイトル『レギオンバトル-蒼き聖戦-』で、オルトプラスがパブリッシングを担当している。
 
既存タイトル主導で売り上げが伸びた一方、営業利益については同2.3%減の1億1300万円と減益だった。減益となった理由は、ベトナム現地法人Altplus Vietnamの開発・運営体制の整備を行うため、人件費や地代家賃などの先行費用が引き続き発生したことがあげられる。この一環として、ベトナム法人の開発スタッフに既存タイトルの運営業務の引き継ぎを行ったという。「日本人の運営チームのそばに、同じ人数のベトナム人エンジニアを配置し、日本人チームと全く同じことをやらせることでソーシャルゲームの開発・運営ノウハウを伝えていった」(石井社長)。今後、引き継ぎの完了した日本人スタッフが新作の開発に着手していく予定だ。

また、東証1部への市場変更に伴い、上場関連費用3000万円が営業外費用に計上されたため、経常利益は同19.7%減の8300万円と営業利益に比べて減益率が大きくなった。

なお、東証1部上場で調達した約10億円の使途については、ベトナム現地法人の運転資金に充当し、開発・運営体制を整備していく。現在は、既存タイトルの運営や、日本法人との共同での開発・運営がメインとなるが、将来的にはベトナムチームのみでの運用体制を目指していく。
 




■下期はIPタイトルやハイブリッドアプリで収益を伸ばす

2014年9月期は、売上高39億2800万円(前期比51.4%増)、営業利益9億6300万円(同30.7%増)、経常利益9億6100万円(同34.4%増)、当期純利益5億8800万円(同30.7%増)を見込む。上期段階での進ちょく率は低めだが、下期では、大手ゲーム会社などの有名IPを使ったタイトルやApp StoreやGoogle Playで提供するハイブリッドアプリ(いわゆる側ネイティブ)を投入して計画達成を目指していく。
 


今回、同社のアプリで使われた有料の仮想通貨「コイン」の消費額のデータも公開された。第1期(2010年9月期)は5000万円、第2期(2011年9月期)は7億円、第3期(2012年9月期)は18億円、そして、第4期(2013年9月期)は67億円だった。今期は、通期で69億円を計画しているとのこと。上期では30億円となっており、下期で39億円に増やす計画だ。第3四半期で毎月1億円、第4四半期で2億円増やす計画となっている。
 



以下、売り上げを伸ばしていくための具体的な施策をみていこう。
 
(1)他社IPタイトルの活用
 
他社のIPを活用したタイトルについては、新規タイトルのリリースを行うとともに、ネイティブアプリを含めたマルチプラットフォーム展開を行っていく方針。これが下期の収益拡大の柱となる。従来、「GREE」を中心にソーシャルゲームを提供していたが、最近では『エンペラーズサガ』を「Mobage」や「dゲーム」で提供し(関連記事1関連記事2)、『サモンナイトコレクション』も「Mobage」で提供している(関連記事)。今後、ベトナム法人立ち上げに関わったスタッフが新作の開発に携われるため、新作はリリースしやすい状況となる。
 


 IPタイトルについては、ブラウザゲームだけでなく、ハイブリッドアプリも配信する予定。現在、アプリストアでは、国内外を問わず開発力の高い会社が多くあるが、イベントやアップデートなど「運用」を行える会社は少ないという。リリース直後に売上ランキングで上位に入るものの、すぐに順位を落とすケースが目立っているが、その原因は運用力の不足といえるかもしれない。石井社長は「当社は1つのアプリを2~3年と継続的に運用している実績があり、業界内でも抜きん出たもの。こうした点が評価され、有力なIPを任せてもらっている。今後も積極的に増やしたい」と語った。

 
(2)運営移管・パブリッシングタイトル
 
運営移管タイトルも増えていく計画だ。『アイドルジャムZ』がそのひとつだが、「ブラウザゲームでは優勝劣敗が明確化し、一定規模のユーザー数や売り上げがあっても本業に回帰する開発会社が増えている。一方、2-3年前にソーシャルアプリに参入するIPホルダーが増えたが、権利許諾の契約期間が切れるタイトルが増えている。そうしたなか、当社も運営移管先候補としてお声がけいただいている。採算が取れるかチェックした上で引き受けることになるが、安定した収益の取れるビジネスとして取り組む」という。
 

 
パブリッシング案件についても増やしていきたいとのこと。「GREE」プラットフォームでは新規参入した会社が一から顧客を集めるのは厳しくなっており、オルトプラスの顧客プールを活用することで集客も比較的、容易になるからだ。また、オルトプラスとしても新しいタイトルが出せるため、これまでアプローチできなかったユーザー層にゲームを提供でき、顧客プールがさらに充実するメリットもある。開発会社、オルトプラス双方にメリットがある。
 

 
これらに関連して、グリーとの合弁子会社オルトダッシュを通じて、「GREE」でゲーム展開を行うSAP向けのソリューションも開始した。ソーシャルゲーム各社はユーザー獲得単価や開発・運営費の高騰、ブランディングが難しいといった問題があり、オルトプラスグループがパブリッシングや運営業務、コミカライズなどを引き受けていくとのこと。

 
(3)ネイティブアプリは中韓の開発会社と協業
 
オリジナルタイトルについては、まず、韓国Emagine(現AZA GAMES)と提携し、4月1日に『精霊ファンタジア』を韓国でリリースした。日本型の運用方式を導入し、様々なテストを行っている。石井社長は、「成功の法則を見出すことができれば、国内で培った運用ノウハウを韓国だけでなく、さらには中国にも適用したい。中国や韓国に多くの日本のソーシャルゲームがリリースされたが、日本式の運用スタイルを貫いたケースは少ない」と語った。
 
さらにネイティブアプリの開発に関しては、リスクをとれる範囲内で行っていく方針で、中国や韓国の会社と共同開発を行っていくとのこと。Cocos2d-xやUnityなど開発ツールが進化し、日本で開発するメリットが薄れていることがその背景にある。役割分担としては、オルトプラスが運用、マネタイズに関するノウハウ、世界観の作り込みを担当し、中国・韓国の開発会社が開発業務を担当することでそれぞれの強みを活かしていく。最初から3カ国で展開するとことも可能であり、第4四半期(6~9月期)から来期にかけてリリースしていく方針。
 


 
(4)ベトナム法人の体制整備進む、さらに拡大へ
 
これまで半年かけて整備を進めてきたベトナム法人については、『精霊ファンタジア』の開発・運営チームをベトナムに派遣し、現地のエンジニアへの引き継ぎを行い、まもなく終了するとのこと。戻ってきた日本人スタッフが新作タイトルの開発や、他社との協業タイトルの開発に取り組む。また、他のタイトルについても、ベトナムの運営チームが日本に滞在して、日本人チームからの引き継ぎを受けており、完了次第、ベトナムに戻ることになる。
 

 
なお、ベトナム現地法人については引き続き増員する。人員計画では、第3四半期に日本196名に対し、ベトナムは129名、第4四半期には日本208名、ベトナム191名に増やす。エンジニアの人数については日本と同じ規模になる予定。ベトナム人エンジニアについては、4月、5月に十数名のエンジニアが入社するなど採用が活発に進んでいるそうだ。その一方で、利益の上ぶれ要因となった日本人エンジニアの採用はベトナム人との代替が進んでおり、チームリーダーやディレクションなどに絞って採用していく。
 




会場からは通期計画の達成を目指すにあたって、足元のコイン消費の状況に関して質問があった。それに対し、石井社長は、「既存のブラウザゲームは底堅い。競争環境については一時の競争が厳しかった頃に比べると、競合他社による新作リリースが緩やかとなる一方、既存タイトルの運営・運用に力を入れる会社が減っている。下期の予算も保守的だったが、上振れて推移している。」とし、ブラウザゲームの競争環境が改善し、同社にとって追い風になっていることを明かした。

また興味深い点として、石井社長は、フィーチャーフォンに取り組むメリットについても説明したこともあげられる。1年前にはフィーチャーフォンはすぐにもなくなるかのようにいわれてきたが、オルトプラスの売り上げのうち、フィーチャーフォン経由の売り上げはいまだに3割を占めるという。競合他社がネイティブアプリやスマートフォン専用タイトルに注力する中、フィーチャーフォン向けのゲームが減っており、そうしたなかでオルトプラスのタイトルが選択されているようだ。
 
さらに、ソーシャルゲーム業界では、大手SAPがネイティブにシフトする一方、ブラウザゲームに注力する会社が減少しているが、オルトプラスは、数少ないブラウザゲームに注力する有力SAPとして、大手ゲーム会社などから大型IPタイトルの開発を打診されるケースが増えているそうだ。石井社長は、「ブラウザゲームは、ネイティブアプリのように爆発的に伸びるということはないが、きちんと業績を積み上げることができる。ブラウザゲームは今期と来期も確実に存在するマーケットであり、当社の収益もきちんと確保できていける」と語った。

株式会社オルトプラス
http://www.altplus.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社オルトプラス
設立
2010年5月
代表者
代表取締役CEO 石井 武
決算期
9月
直近業績
売上高72億9100万円、営業損益5億5400万円の赤字、経常損益3億4800万円の赤字、最終損益3億8800万円の赤字(2021年9月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
3672
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