大阪市に拠点を構える株式会社Razest【ラゼスト】(2006年7月設立)。これまで同社は、海賊カードバトル位置ゲー『ジョリーロジャー』をはじめ、6年続くモバイルオンラインRPG『ルナティックレイド』や恋愛ノベルSLG『僕らの恋のはじめかた』シリーズなど、多彩なジャンルのゲームを開発してきた。
現在はシリーズ最新作『ジョリーロジャーII』を鋭意製作中。そこで本稿では、同シリーズに関する開発秘話や最新情報、ラゼストの社風などについて、取締役の中田淳平氏とグラフィック部の星野樹(いつき)氏のおふたりにメールインタビューを試みた。
■『ジョリーロジャーII』鋭意製作中。ラゼストが次に目指す針路とは
――:現在のお仕事をお聞かせください。
中田氏(上写真):サーバーネットワーク、プログラム、アーキテクト、データベースなど、CTO(最高技術責任者)として社内の技術的な方向性をリードしています。
星野氏(下写真):『ジョリーロジャー』のカードイラスト、演出、インターフェイスデザイン、3Dデザイン、キャラクター設定など、アプリ開発のグラフィック全般を担当しています。
――:2年近いサービスになる『ジョリーロジャー』ですが、運営面でのこだわりなどはございますか。
中田氏:独特なのかどうかは分かりませんが、「プレイ時間」を重点的に意識して、設計して運営しているのは、私達の特色かもしれません。時間をつかって遊んで頂いているという感覚を大切にしております。それもあってか、5年目とか8年目とか、長期間運営が続けられることも珍しくありません。
星野氏:開発チームのメンバーも『ジョリーロジャー』を熱心にプレイすることで、プレイヤーさんと同じ目線で感じて、それを運営面に活かすように心がけています。
――:昨今、ネイティブアプリへ参入される企業が増えておりますが、御社としては、ネイティブアプリに対して今後どう取り組まれるでしょうか。
中田氏:ネイティブアプリといっても、対戦やコミュニケーションを支えるサーバサイドの仕組みは、ブラウザベースのゲームと大きく変わるわけではありません。ただし、スマートフォンならではの表現力や操作感といったところが、とても大事になってくると捉えています。今まで培った経験やノウハウを活かして、チャレンジを続けたいと思います。
星野氏:グラフィックで表現できる幅も広がるので、開発は大変ですが、スタッフみんな試行錯誤するのを楽しみながら作っています。実際に作ったものが動くと感動しますし、出来上がったものをスタッフみんなで遊びながら開発を進めています。
▲『ジョリーロジャー』紹介画像
――:現在、大ヒットしている『ジョリーロジャー』のアプリ版(『II』)を開発中とのことですが、どういったゲームになるのでしょうか。
中田氏:『ジョリーロジャー』は、一見、普通のカードゲームに見えますが、かなりオリジナリティ溢れるゲームになっています。海賊島を育てたり、チーム戦争をしたりと盛りだくさんですが、そのヒットした部分を正当に進化させながらも、アッと驚くような、笑顔が見られそうなものを盛り込んでいきたいと思います。
星野氏:色々と試行錯誤していく中で、アニメーション演出の幅が広がることから、3Dになってしまったんです。このあたりがラゼストらしさでもあるのですが、作っている過程の中でスタッフ一人一人が発案して相談してゲーム開発の方向性が決まっていくんです。3Dの経験があるスタッフがたくさんいる訳でもないのに、研究して練習して納得がいくまで何度もトライして作っています。
▲『ジョリーロジャーⅡ』開発中画像
――:制作環境としての、御社ならではの特徴はございますか。
中田氏:8年前からリアルタイム対戦形式のモバイルゲームを提供しており、サーバやネットワーク周りでは相当鍛えられてきた歴史があります。今では本番、開発環境含めてすべてクラウド上に構築しており、インフラとしてのクラウドも高いレベルで使いこなしているとの自信があります。
星野氏:それから、機材がとても充実しています。これはいざ働くとなると、とても有り難いことです。新しい技術や機材を取り入れることに、会社自体が積極的なんです。社員の中から提案することもありますし、自分たちで働きやすい環境を作ることが出来ます。
また、とても会話が盛んな会社です。話しの中で出たアイデアが採用になったり質問や提案がしやすかったりと、とても風通しの良い社風ですので、職種関係なく全員と仲良くなれるのも魅力の一つだと思います。
▲社内風景
――:会社全体としての目標や課題はどういったことがありますか。
中田氏:弊社のゲームを楽しんでくださっているファンの皆さんの期待にこたえられるようなゲームを今後も作り続けていきたいです。そのために、世の中の皆さんが望んでいるゲームの少し先を走っていきます。ご期待ください。
星野氏:色んな人に愛される作品を作りたいと思っています。まだ漠然としていますが、いつかプレイする人たちの人格にまで訴えられる作品が作りたいなあと思っています。そのための課題はいくらでもありますが、楽しみながら、夢を追いかけています。
星野氏も語っているように、ラゼストでは職種の垣根を超えて意見が飛び交うなど、各スタッフの想い描く「オモシロイ」がひとつに繋がることで、次々と新しいゲームが生まれていくようだ。また、同社は長期的なサービスを続けられる“運営力”でも注目。シリーズ正統進化を遂げる『ジョリーロジャーII』を開発中の同社は、今後どのような針路をとるのか……引き続き追っていきたい。