2014年10月9日(木)にリリースされた、ミストウォーカーのスマートフォン向けRPG『TERRA BATTLE(テラバトル)』の勢いが凄まじい。App Store売上ランキング(ゲームカテゴリー)では、大人気タイトルを横目に早々と12位までランクイン、そしてユーザー数も着々と増えて、リリース1週間も満たずに現在50万ダウンロード目前である。
純粋なゲームの面白さはもちろん、様々な要素がユーザーの心に響いていることだろうが、果たして、ここまで爆発的な勢いを見せるのは何故なのか。本稿では、『テラバトル』のゲーム概要とその魅力を紐解いていこうと思う。
■『テラバトル』はなぜ面白い? キーワードは「一手一手で一喜一憂」か
もはや説明不要だが、本作は『ファイナルファンタジー(FF)』シリーズの生みの親でもある坂口博信氏が開発したスマートフォン向けRPG。また、サウンドに同じく『FF』シリーズの楽曲を手掛けてきた植松伸夫氏が担当。言わば本作は、大ヒットファンタジーRPGを生み出したゴールデンコンビによる作品である。
『テラバトル』の物語は、大地が崩壊の一途をたどる世界において、仲間たちと共に神を求める旅を始めていく……という内容だ。基本的なゲーム進行は、マップ上にある章仕立てのクエスト(ステージ)を選択して、バトルをクリアーすることで次のクエストに進めるといったもの。ここは、従来のソーシャルゲームと同様の流れを沿っている。
また、RPGに欠かせないシナリオの部分はというと、じつはバトル前に数行表示されるだけの短い文章のみとなる。少ない言葉ではあるが、その一言一言が重く、そして詩のように響いてくる。ユーザーの想像もかき立てられるほか、何よりもRPG特有の壮大な世界観が垣間見れるだけではなく、スマートフォン向けRPGに合った素早いゲームテンポが実現されているのが特徴だ。
▲シナリオが表示される背景もバラエティに富んでいて、ときには息をのむシーンも……。
『テラバトル』では、碁盤の目状のマップに配されたキャラクターを動かして、敵を挟撃して攻撃を繰り広げるバトルシステムを採用。1体のキャラクターを制限時間内のなかで自由に動かして、ほかのキャラクターと入れ替えながら上手く相手を挟み込む、まさに“はさみ将棋”や“囲碁”、“オセロ”のような戦略性の高いボードゲームのルールに似ている。また、キャラクターには剣、槍、弓、杖の属性が存在。剣、槍、弓には3すくみの関係があり、当然バトルでは敵の弱点をつく属性で攻撃していくことになる。
さらに、挟んだキャラクターと上下左右の直線上に並んだ仲間は「連鎖」が発動する。連鎖することで仲間のスキルが発動し、強力な攻撃や範囲魔法で追撃するだけではなく、味方を回復してくれるなど、様々な恩恵が得られるのだ。また、一定ゲージを溜めることで出現するパワードポイントは、仲間と同じように連鎖させることで、ダメージ量が増えるほか、スキル発動率が100%になる効果がある。ゲージは最大3つまで溜められるため、ここぞというときに利用して敵を殲滅していくことが勝利の鍵に。
本作のバトルにおける面白味は、何よりも制限時間のあるなかで、1回でも多くの攻撃や連鎖を実現させることにある。1体のキャラクターを素早く動かしていくだけではなくて、ときには盤上に存在するダメージトラップをすり抜けながら、自軍の戦陣を形成していく必要があるのだ。これは勝手な想像ではあるが、キャラクターを動かしている際は、敵の攻撃を考慮しながらも、まるで戦場を駆け抜けているような感覚が味わえる。このように一手一手のアクションが重く、それと同時に達成感も味わえるなど、バトルにおいては一喜一憂することが多々ある。
バトル後は、キャラクターごとに経験値がもらえて、レベルが上がることでスキルも取得できる。そのほか、クエストクリアー後にもらえるアイテムを用いれば、1体で最大3つのジョブチェンジをすることが可能。幾多も存在する戦場マップに、迫りくる個性的なモンスターに備えるため、仲間でも属性やスキル、ジョブを考慮して編成を組み合わせることも『テラバトル』の楽しみのひとつではないか。
■その道のプロが手掛ける“ファンタジーの住人たち”は、やはり魅力だ
本作のおもな課金要素は、仮想通貨であるエナジーの購入である。1個100円で販売されており、最大100個セット5800円まで存在。エナジーの用途は、スタミナ回復や真実の契約(プレミアムガチャ)といった従来のソーシャルゲームと同様である。なお、スタミナ回復はエナジー1つ消費で、通常は5分経過で1回復する。
売上寄与は、当然プレミアムガチャが大半ではあるが、現在ガチャにおいては特別なキャンペーンは開催していない。それにも関わらず、App Store売上ランキングでは、リリースから1週間も経たずして最高12位にランクインするなど、驚異的な推移を見せているのだ。
■『テラバトル』はApp Store売上ランキングで最高12位(2014年10月13日記録)
出所:App Annie
新しい仲間を手に入れたい欲求は、キャラクターデザインやバトルを有利に進めるためのステータスの強さはもちろん、個々に用意されたサイドストーリー(プロフィール欄)などにも繋がっているのではないかと思う。また、ジョブチェンジすることで、プロフィール欄の文章が加筆されるところも芸が細かい。
そして、キャラクター同士の合成(強化)が存在しないのも『テラバトル』ならでは。基本的に仲間になるキャラクターは、弱かろうが強かろうがキャラクターリストに残るようになっており、育成するには戦闘を繰り返してレベルを上げるほかないのだ。従来のソーシャルゲームを遊ぶユーザーからは、少々面倒くさいと感じることもあるかもしれないが、本来RPGはレベル上げの段階を経て、育成する楽しみを味わい、そうしてキャラクターにも愛着がわいてくるものだ。
恐らくユーザーは、ソーシャルゲームのようにサクサク進められるゲームテンポの早さを楽しみながらも、随所に散りばめられた“コンソールRPGが持つ独特の趣”を、知らず知らずに堪能しているのではないかと思う。
▲ジョブチェンジ後には、プロフィール欄が加筆される。
そして、『テラバトル』のダウンロード数に応じて、アーティストの参加やゲームの新モード追加、コンサート開催、本・フィギュアの制作などを行っていくプロジェクト「ダウンロードスターター」にも目が離せない。恐らくユーザーたちも「今後の行く末を見守っていきたい」と思い、実際のゲームプレイの継続率にも影響しているのではないか。このように、あらかじめ目標と報酬(追加要素)が提示されたことは、ダウンロード数が増えるたびに夢と期待も広がり、それと同時にユーザー全体からも言い知れぬ一体感が生まれるもの。
まだリリースから1週間しか経過していない『テラバトル』。いやはや、話題が尽きない。
■『TERRA BATTLE(テラバトル)』
(C)MISTWALKER
会社情報
- 会社名
- 株式会社ミストウォーカー
- 設立
- 2004年1月
- 代表者
- 坂口博信