【週刊スマホゲーム批評Vol.01】ブシロード&gloops『トイズドライブ』…タップ操作だけで高い戦略性を実現した"新感覚"ゲームアプリ
今回から毎週水曜日にスマートフォンゲームアプリのレビューの連載を開始する。手軽に遊べるカジュアルゲームから、運用型のオンラインゲームやソーシャルゲームまで編集長の木村が市場の流れを読んで選んだり、もしくは何となく選んだ作品を紹介していく。記念すべき第1回は、『トイズドライブ』を取り上げたい。アニメ『探偵歌劇 ミルキィホームズ TD』の放送がスタートしたこともあり、今回、取り上げてみようと思った次第だ。しばらく試行錯誤が続くかと思いますがよろしくお願い致します。
さて、『トイズドライブ』は、ブシロードとgloopsが昨年12月より提供している新感覚タップバトルRPGで、gloopsの展開してきたカードゲームやバトルゲームの発展形ともいえるタイトルだ。「探偵」と「怪盗」と呼ばれる存在がしのぎを削る大探偵時代を舞台に、特殊能力(トイズ)の「ソングドライブ」を操り「歌の力」で戦っていく。主人公(プレイヤー)は、偵都ヨコハマを舞台に、いとこの3姉妹とともに、歌怪盗により失われた歌と希望を取り戻す戦いに挑んでいく内容となっている。
ブシロードの人気シリーズ最新作『探偵歌劇 ミルキィホームズ TD』と設定もシンクロしており、アニメが1話終了するごとに、それにまつわる特別クエストが配信されるなどアニメとの連動も強く意識されている。クエストには、「ミルキィホームズ」の4人はもちろん、天城茉莉音、明智小衣らが登場する。特別クエストを進めると、ボイス付きのイベントストーリーが楽しめるだけでなく、有料の仮想ポイント「虹の結晶」が報酬としてプレゼントされる。
本作の特徴は、タップによるクエスト進行だろう。カードゲームやバトルゲームではタップで進行するクエストが一般的だが、本作ならではの工夫が施されている。まず、攻撃ボタンをタップすることで進行するが、タップの仕方が重要になる。「攻撃する」をタップすると、攻撃された敵が飛び上がって落ちてくるが、タイミングゲージの赤と黄の部分でタップすると、コンボが発動するとともに、コンボに使える時間が回復する。これをうまく使うことで、時間切れを引き伸ばしつつ、より多くのコンボをつなげて、敵に多くのダメージを与えることができる。慣れてくると、コンボをたくさんつなげるようになるため、独特の爽快感が味わえる。
【落ちてくる敵に合わせてタップする。赤もしくは黄色のゾーンでタップするとコンボがつなげやすくなる。画面にはないが、上部にある青のところでタップすると、コンボに使える時間が減ってしまう】
そして、コンボが一定数に達するとリーダーキャラの「フィニッシュブロー」が発動する。「フィニッシュブロー」は、キャラクターによって異なっており、敵単体または全体にダメージを与えるものものあれば、味方の体力を回復するものまで本当に様々だ。クエスト中にリーダーを変更できるので、どのキャラがどういったスキルを発動するのか試しておくといいだろう。またパーティのキャラクターは、所定のターン数に達すると、スキルを使うことができる。これもキャラクターによって持つスキルは様々で、発動できるターン数もまちまちだ。
【キャラクターによって発動するフィニッシュブローの種類が異なる。掲載したスクリーンショットはいずれも敵単体にダメージを与えるものだ。】
もうひとつ興味深い点とし、本作の売りであるて「音楽」の活用があげられる。声優ユニットのミルキィホームズによるテーマソング「オーバードライブ!」をはじめとする楽曲が歌付きで収録されている。楽曲はパーティ編成時にセットでき、BGMとして機能するだけでなく、クエスト中、様々な効果が付与される。例えば、下の画像にある「オーバードライブ!」の場合、探偵タイプのキャラのHPが1.5倍になる効果が付与される。楽曲の選択もクエストの攻略ポイントになる。
さらにクエスト中、攻撃ボタンの背後に「音符」が流れることがある。このタイミングで音符の色とリーダーキャラの属性が一致すると、属性ボーナスが発動し、「フィニッシュブロー」の威力が上がる。コンボの活用だけでなく、楽曲のタイミングを見ながらバトルを進めていく必要がある。遊び始めた当初、「歌の力」って、能力がプラスになるほか、歌が聞ける以外、メリットがないやんけと思ったが、ヘルプを見て意味が分かった次第だ。音符の色に合わせてリーダーを変更する柔軟さも必要になる。
【音符の色によって、効果の出る属性が変わってくる。変化に合わせてリーダーを変えていくと効率よくクエストが進行できる。音符と属性が合うと属性ボーナスが発生する。】
このように一見するとシンプルなタップゲームに見える本作だが、簡単な操作だけで戦略性の高いバトルが楽しめる。通常のクエスト以外にも育成素材が手に入るクエストや、限定キャラが手に入るクエストもあるのだが、ガッツリと遊びたい人には遊ぶ要素が足りないと感じられるかもしれない。クエストのクリアに要する時間がやや長めなので、はじめはクエストを中心に遊んでほしいという意味を込めたのだろうか。今後、PvP(Player vs Player)やレイド、チームイベント、ランキングイベント、シリーズ他作品とのコラボなどがあればより楽しめるのではないか。
なお、App StoreとGoogle Playにおける売上ランキングの推移を見たものが、下のグラフとなる。いずれも200位台で推移している状況にある。ロケットスタートとは言いがたい。現状をみるかぎり、多額の課金をしなくても遊べる上、レイドやバトル、GvGなど本格的なイベントがまだ行われておらず、致し方なしといったところだろうか。プレイヤーの腕や戦略性が問われる要素もあるので、イベントの内容次第では白熱した内容になりそうだが…。ゲームのアップデートやイベントなどこれからの運営に期待したい。
【App Store売上ランキング(ゲーム)】
【Google Play売上ランキング(ゲーム)】
出所:App Annie
最後にもうひとつ気になったのは、アニメ『探偵歌劇 ミルキィホームズ TD』との関連で、作品のカギとなりそうな要素である「エレメント」がゲーム内にはまだ明示的に出てこないことだろう。第1話で、歌怪盗から歌を取り戻すこととは、優れた歌の源泉たるエレメントを取り戻すことであると説明されていた。今後のストーリーやアップデートで、これがどういった形で入るかも注目点になるだろう。擬人化されたエレメントはとてもかわいいので、実装の予定がまだないようでしたら、ぜひご検討のほどお願いします。
(木村)
■関連サイト
(C)ミルキィTD製作委員会 (C) gloops, Inc. (C)bushiroad
会社情報
- 会社名
- 株式会社gloops
- 設立
- 2005年8月
- 代表者
- 李 仁
- 決算期
- 12月
- 上場区分
- 非上場
会社情報
- 会社名
- 株式会社ブシロード
- 設立
- 2007年5月
- 代表者
- 代表取締役社長 木谷 高明
- 決算期
- 6月
- 直近業績
- 売上高462億6200万円、営業利益8億8200万円、経常利益18億9800万円、最終利益8億400万円(2024年6月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 7803