【2015年4~6月のゲーム関連株動向】ボルテージの株価は3ヶ月で2.5倍に…新作期待が株価押し上げ 一転大幅赤字のイグニス、enishは失望売りに押される

2015年も7月に入り、早くも半年が経過した。そこで今回は、前回の2015年1~3月期間に続き、2015年4~6月期間におけるゲーム関連株の動きを振り返ってみたい。

下の表は、現在上場しているゲーム関連株の主だったものをピックアップし、4月1日の始値から6月30日の終値までの騰落率をまとめたものになる。なお、今回から今年3月上場のAiming<3911>とモバイルファクトリー<3912>を新たに加えている。
 
 

■上昇率トップはボルテージ ネプロジャパン、アエリア、クルーズが上位に並ぶ


今回、期間中の上昇率が最大となったのは、ボルテージ<3639>だ。同社は、5月半ばごろから大きく動意づいてきたが、そのきっかけは大人気コミック「花より男子」の恋愛ドラマアプリ化を発表(関連記事)したことだ。さらにその動きに拍車をかけたのが、「LINE GAME」において初の恋愛ドラマアプリとなる『LINE 悪魔と恋する10日間 Heaven’s Kiss』を今夏に配信する予定であることを発表(関連記事)したことで、株価は上昇前と比べ、2.5倍まで上昇した。なお、現時点でも高値圏での推移が続いている形で、動きに変化が出てくるとすると、実際に両タイトルがリリースされる辺りだろう。期待通りのスタートが切れるのかどうか、非常に注目されるところだ。
 

続いて2位となったのが、ネプロジャパン<9421>で、同社はゲーム事業を軸とした新中期経営計画を策定(関連記事)したことが市場の関心を集めている。モバイル&ゲームスタジオに続き、『スターオーシャン』シリーズや『ヴァルキリープロファイル』シリーズなど数多くのヒットタイトルを手掛けてきたトライエースを今年3月に子会社化しており、グループのゲームの開発能力は確実に強まったと言えるだろう。課題はモバイル&ゲームスタジオ、トライエースともモバイル領域よりもコンシューマゲーム領域の方を得意分野としており、モバイル領域での実績、実力をどう高めていくかということだろうか。
 

さらに続けて見ていくと、アエリア<3758>やクルーズ<2138>、ガーラ<4777>といったあたりが上位に並んでいる。これらの共通項は新作タイトルへの期待感で、アエリアは子会社リベルの『アイ★チュウ』、クルーズは開発を手掛ける『FFグランドマスターズ』、ガーラは『Flyff All Stars』がそのけん引役となった格好だ。ただし、ガーラは『Flyff All Stars』のリリースを通過し、6月末時点では株価上昇のピークを超えた感が強い。
 

また、今回初登場となるAiming<3911>も3ヶ月間で43.6%の上昇を演じた。Aimingは3月の上場時の初値が公開価格比12.1%高の1032円と、事前の期待値と比べると伸び悩んだことも結果的にはその後の株価の上昇余地という点でプラスに働いたようだ。

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■アクセルマークが下落率トップ…2014年上昇の反動続く 一転赤字転落のイグニスも大幅下落


一方、期間中の下落率が最も大きかったのは、アクセルマーク<3624>だ。アクセルマークは2014年に年間で498.3%の上昇を演じた反動が大きく、1~3月の40.4%の下落に続き、この4~6月も43.2%の下落となった。続いて下落率2位となったのがモバイルファクトリー<3912>。こちらはAimingの値動きと間逆と格好で、3月の上場時の初値が公開価格比2倍、そこからさらにIPO銘柄物色の流れに乗り、大きく上昇したところで3月末を迎えていたことから、結果的に大きく下げる形になったようだ。ただし、直近は2000円台前半での落ち着いた株価推移となっている。
 

4~6月期間における悪材料で急落を演じたのが、下落率4位となったイグニス<3689>だ。同社は5月半ばに大きくマドを空ける形での急落となった。その要因は、5月13日に発表された2015年9月期通期の業績予想の下方修正で、売上高が半減、各利益項目は一転赤字転落というその内容が市場の失望につながった状況だ。無料ネイティブアプリによるビジネスモデルが今後も継続していけるのかどうか、大きな試練を迎えていると言えるのではないか。

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同様に業績予想が一転、大幅赤字転落となり、ショック安の動きとなっているのがenish<3667>で、こちらはまさにこの6月末の段階でその下落局面を迎えている。そのため、表中の下落率は15.9%にとどまっているが、7~9月も厳しい値動きが続くことは否めないだろう。
 
 

■ガンホーとミクシィの時価総額が徐々に接近…ここでも両社の競い合いに!?


なお、下の表は主なゲーム関連株を6月30日現在の時価総額で並べ、その上位20社を抽出したものになる。株価の大幅上昇でクルーズが大きく順位を上げてきたほか、初登場のAimingも上位20社に入ってきた。そうした中で、1つ注目したいのはガンホー<3765>とミクシィ<2121>の時価総額の差が縮まったことだ。『パズドラ』vs『モンスト』のランキングでの競争、接近しつつある両社の業績に加え、ここでも1つ両社の競い合いが今後繰り広げられる可能性が出てきたと言えそうだ。
 
(編集部:柴田正之)
 


【過去記事】
【2015年1~3月のゲーム関連株動向】提携の任天堂・DeNAはともに上昇率上位に 任天堂は時価総額が約7000億円増加 3月にバッドニュースが相次いだgumiは下落率3位に
 
株式会社ボルテージ
http://www.voltage.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社ボルテージ
設立
1999年9月
代表者
代表取締役社長 津谷 祐司
決算期
6月
直近業績
売上高34億5600万円、営業損益9400万円の赤字、経常利益1500万円、最終利益500万円(2024年6月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
3639
企業データを見る
株式会社イグニス
http://1923.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社イグニス
設立
2010年5月
代表者
代表取締役社長 銭 錕(センコン)/代表取締役CTO 鈴木 貴明
決算期
9月
企業データを見る