【エイチーム決算説明会】2Qは計画対比で上ブレに プロモ効果で『三国大戦スマッシュ!』が予想を上回る 『ユニゾンリーグ』は海外配信エリアが拡大へ

 
エイチーム<3662>は、3月11日、東京都内で2016年7月期の第2四半期(8~1月)の決算説明会を開催した。同日発表された2016年7月期の第2四半期累計(8~1月)の連結決算は、売上高100億3100万円(前年同期比46.3%増)、営業利益6億6500万円(同35.0%減)、経常利益6億600万円(同42.9%減)、四半期純利益3億800万円(同54.8%減)と、売上高が100億円を突破する大幅な増収ながら大幅な減益にとどまった。

ただし、売上高と営業利益、経常利益については12月の第1四半期決算時に上方修正した修正予想よりもさらに上ブレしての着地となっている。

決算説明会では、同社の林高生社長が第2四半期の業績概要や、第3四半期の展望などの説明を行った後に、質疑応答が行われた。その質疑応答の内容も踏まえつつ、会見の様子をまとめてみた。
 

■2Qの減益要因は本社移転費用とプロモーション強化


まずは業績を四半期推移(QonQ)で見てみると、第2四半期期間(11~1月)売上高は前四半期比17.6%増の54億2100万円、営業利益は同72.1%減の1億4500万円、経常利益は同77.1%減の1億1300万円、四半期純利益は同94.2%減の1700万円での着地となっている。ただ、この第2四半期期間は、12月7日に本社を大名古屋ビルヂングに移転(関連記事)した費用を計上していることや、『三国大戦スマッシュ!』のプロモーション強化を図ることで当初から大幅減益が想定されており、特にネガティブな印象はない。

あえて言うならば、四半期純利益の減益幅が大きくなっていることが気になるところだが、これはソフトウェア資産の減損損失を実施したことによるものとなる。なお、減損の内容は「開発中のプロトを中止したものと、海外向けの『ビッグバンギャラクシー』の2アプリ」(取締役エンターテインメント事業本部長・中内之公氏)だという。
 

続いて費用の状況を見てみよう。数字として大きく変動しているのはやはりエンターテインメント事業の広告宣伝費で、第1四半期の4億9300万円がこの第2四半期は10億3000万円と倍増している。この約5億円の増加のうち、「約3億円が『三国大戦スマッシュ!』、約1億円は競馬シーズンに合わせて『ダービーインパクト』のプロモーション」(林社長)に充当されたという。

また、オフィス賃料も前述の本社移転の影響により大きく増加している。
 

 

■エンタメ事業はQonQで36%増収、『三国大戦スマッシュ!』はプロモ効果を早くも発揮


次はセグメント別の状況に目を移したい。まずはエンターテインメント事業だが、売上高はQonQで36.2%の増収を達成した。既存タイトルの『ユニゾンリーグ』と『ダービーインパクト』が好調を維持したことに加え、11月からのプロモーション強化の成果が早くも表れてきたことで『三国大戦スマッシュ!』も大きく売り上げを伸ばす格好となった。
 

『三国大戦スマッシュ!』の伸びが思わぬ形で影響したのが海外売上比率だ。『三国大戦スマッシュ!』は国内のみの配信タイトルのため、結果的に国内向け売り上げが大きく伸びる結果となっており、海外売上比率は第1四半期の25.3%から22.2%に低下した。ただし、足元は3月10日から『ユニゾンリーグ』が欧州向けの配信を開始、3月24日からは韓国のPerfect World Koreaを通じて韓国での配信も開始予定(関連記事)で、第3四半期は海外売上の規模が一段膨らむことも予想される。
 
 

■自転車eコマースと金融メディアの閑散期で減収減益に


一方、ライフスタイルサポート事業は、減収減益での着地となった。これは自転車eコマースの「cyma -サイマ-」や金融メディアの「ナビナビキャッシング」が季節要因による閑散期にあたることが大きく影響している。

しかし、続く第3四半期については、引越しの「引越し侍」や「cyma -サイマ-」が繁忙期を迎えることもあり、再び上向きに転じてくる見通しだ。
 
 

■3Qは『三国大戦スマッシュ!』のDAU倍増の影響が寄与へ


なお、2016年7月期通期の予想については、従来予想を据え置いており、売上高200億円(前期比26.4%増)、営業利益21億円(同0.6%増)、経常利益21億円(同3.0%減)、当期純利益14億円(同2.8%増)を見込んでいる。

エンターテインメント事業は、2月19日より放映を開始したCMの効果などにより、『三国大戦スマッシュ!』のDAU(日次アクティブユーザー数)が倍増しているとのことで、第3四半期期間はその好影響が「2.5ヶ月分寄与してくる」(林社長)見通しだという。

そう考えると、据え置きとした今期の予想については、上期に費用が先行して、利益面での通期計画対比の進捗率が低いという点は踏まえててもいささか保守的な数字と言えそうだ。
 
(編集部:柴田正之)

 
株式会社エイチーム
https://www.a-tm.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社エイチーム
設立
2000年2月
代表者
代表取締役社長 林 高生
決算期
7月
直近業績
売上高239億1700万円、営業利益5億6200万円、経常利益6億900万円、最終利益9億5300万円(2024年7月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3662
企業データを見る