【ドリコム決算説明会②】4QはQonQで黒字転換…内藤社長「収益力改善フェーズは終了」 新規IPタイトルは4~5本がリリース予定 運用体制の拡充も視野に
ドリコム<3793>は、5月12日、東京都内で2016年3月期の決算説明会を開催した。同日発表した2016年3月期の連結決算は、売上高65億3400万円(前々期比10.5%減)、営業損益2億600万円の赤字(前々期3億100万円の黒字)、経常損益2億1700万円の赤字(同2億7800万円の黒字)、最終損益5億3700万円の赤字(同1700万円の黒字)と減収・赤字転落となった。
説明会では、同社の内藤裕紀社長(写真)が2016年3月期の業績概要と、2017年3月期の戦略、第1四半期(4~6月)の見通しについての説明を行った。そのコメントを取り上げつつ、主に業績面の内容について確認してみたい。
■QonQでは増収・黒字転換を達成 収益力改善フェーズは終了
通期では、減収・赤字転落となった同社だが、業績を四半期推移(QonQ)で見ると、第4四半期期間(1~3月)の売上高は16億4600万円(前四半期比5.6%増)、営業利益1億1300万円(前四半期2900万円の赤字)、経常利益1億500万円(同2300万円の赤字)、最終利益1億5200万円(同4億7200万円)と増収・黒字転換を達成している。もともと第4四半期期間は、1月が年末年始の特需の影響を受けやすいことに加え、収益力回復に向けた取り組みが奏功し、結果的に「第1四半期の赤字が2億円だった。オリジナルタイトルの赤字分がそのまま出た」(内藤社長)というところまで回復した。
なお、「収益力改善フェーズは第4四半期までで終わった。今期は収益が回復したところでどう新規タイトルを出していくかになる」(同)ともしていた。
■『崖っぷちバスターズ』はクローズへ 運用体制の拡充も視野に
不採算で運用規模の縮小を行っていた『崖っぷちバスターズ』は、「(サービスを)閉じる方向」(同)だという。ただし、その運用リソースは減損処理を実施したオリジナルゲーム2本とともに新規IPゲームの開発に移転する方針だ。
なお、新規IPタイトルは「2018年3月期の上期までに4~5本をリリースする予定」(同)とのこと。また、今後は「現在5本くらいのタイトルを運用できる体制を常時10本くらいのタイトルを運用できる体制に拡充したい」(同)としていた。
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■ソーシャルラーニング事業はBtoBモデルへ転換
ゲーム以外の分野では、動画広告サービスの「DreeVee」は、新たなマネタイズ手法の導入などによりサービス拡張が進んだ。また、ソーシャルラーニング事業は、事業を手掛ける連結子会社ReDucateが同社と楽天<4755>を引き受け先とする第三者割当増資を実施し、持分法適用会社に異動。今後はこれまでのBtoCのビジネスモデルからBtoBモデルへ転換し、楽天が新領域開拓を主導することになる。
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■今期は新規IPタイトルのリリース以降に焦点
なお、同社は、2017年3月期の業績予想は非開示としており、第1四半期の業績予想のみを発表。売上高15億円(前年同期比8.2%減)、営業利益ゼロ(前年同期2億500万円の赤字)、経常利益ゼロ(同2億1000万円の赤字)、最終利益ゼロ(同1億5300万円の赤字)を見込んでいる。
社内外のリソースを新規IPタイトルの開発に集約するため、「収益面は守りに見える」(同)とのことで、新規IPタイトルのリリース以降にどう変わっていくのかが今期の焦点となりそうだ。
(編集部:柴田正之)
会社情報
- 会社名
- 株式会社ドリコム
- 設立
- 2001年11月
- 代表者
- 代表取締役社長 内藤 裕紀
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高97億7900万円、営業利益9億300万円、経常利益7億9300万円、最終利益1億400万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3793