【アクセルマーク決算説明会②】『ワクサガ』好調で第3四半期は売上倍増・黒字転換に 投資から回収局面入りも新作やVRなどコアサービス創出は継続


アクセルマーク<3624>は、5月10日、第2四半期累計(15年10月~16年3月期)の連結を発表するとともに、東京都内で、証券アナリスト・機関投資家向けの決算説明会を開催した。発表した第2四半期累計の決算は、売上高12億5700万円(前年同期比24.7%減)、営業損益8100万円の赤字(前年同期2200万円の赤字)、経常損益8400万円の赤字(同2600万円の赤字)、最終損益8500万円の赤字(同4900万円の赤字)だった。

また、第2四半期(1~3月期)の業績は、売上高6億3100万円(前四半期比QonQ1.1%増)、営業損益6400万円の赤字(前四半期1700万円の赤字)、経常損益6600万円の赤字(同1700万円の赤字)、最終損益5200万円の赤字(同3300万円の赤字)となり、QonQでは微増収・赤字幅拡大となった。

ただ、『ワールドクロスサーガ(ワクサガ)』の好調を受けて、続く第3四半期は、売上高12億0300万円(前四半期比90%増)、営業利益1億1300万円、経常利益1億1000万円、最終利益9000万円と大幅増収・黒字転換を見込む。尾下順治社長(写真)は、「これまで先行投資を行っており、苦しいときもあったが、回収フェーズに入ったのではないか」と述べ、下期の業績回復に自信を見せた。


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■第2四半期はゲームの売上減少で

第2四半期の業績をあらためて見ていこう。売上高は1.1%増の6億3100万円だった。広告事業は「ADroute」が好調に推移したことで増収増益となったものの、主力のモバイルゲーム事業は不採算の運用タイトル数を減らしたことが響き、減収となった。また、携帯電話キャリアのプラットフォーム上で配信するコンテンツも増加したが、漸減傾向が続いているという。モバイルゲームの減収・赤字幅拡大が響き、同社全体の営業損益も前四半期1700万円の赤字から拡大し6400万円の赤字に拡大した。
 

モバイルゲームは、売上高2億2000万円(同14.3%減)、セグメント損益3500万円の赤字(前四半期2400万円の黒字)だった。2016年3月末の運用中タイトルは、『大乱闘!!ドラゴンパレード』が1月に終了し、4タイトルとなった。さらに自社のパブリッシングタイトルは、『天空のレギオン』1タイトルのみとなっており、ほかは他社パブリッシングであるため、売上はネット計上になる。そのため、利益率は高いが、売上高の数字は小さくなりやすくなっている。
 

また「ADroute」の成長も見逃せない。広告事業は、売上高3億3100万円(同15.7%増)、セグメント利益400万円(同100%増)と四半期ベースで過去最高となった。広告事業については、他のアドネットワークでもみられたが、一時、大手広告主の単価引き下げの影響を受けたものの、2015年4~6月期を底にして再び成長軌道に入ってきたという。尾下氏は、「広告事業は第1四半期と比べても売り上げを伸ばしている。広告はもっと伸ばしていきたい。」とコメントした。

 
▲広告事業はモバイルゲーム事業の売上を2四半期連続で上回った。

 
▲借り入れによる資金調達を行った。現在展開しているサービスのプロモーションのほか、次代を担う新規ゲーム開発に充当するとのこと。


 
■第3四半期は『ワクサガ』の貢献で売上急増・黒字転換

続く第3四半期(4~6月期)の連結決算は、売上高12億0300万円(前四半期比90.6%増)、営業利益1億1300万円(前四半期6400万円の赤字)、経常利益1億1000万円(同6600万円の赤字)、最終利益9000万円(同5200万円の赤字)と、前四半期から一転して大幅増収・黒字転換を見込む。売上高は四半期ベースで過去最高となる。
 

業績予想の前提だが、まず、売上高については、なんといっても『ワクサガ』のヒットが大きい。4月15日にリリースしたタイトルで、四半期業績にフルで寄与するわけではないが、売上の伸長に貢献するとのこと。また、広告事業でも「ADrout」の機能強化ととともに、広告主と媒体主の新規開拓、「BRAND SCREEN」でも案件獲得で増収を目指す。「長らく減少傾向が続いていたが、ようやく増加する」。

また、利益面については、大幅な増収に伴い黒字転換する見通し。売上ほどと大きな伸びではないが、どういった要因があるのか。尾下氏は、『ワクサガ』のプロモーションを強化する考えを示した。「リリース以来、すでに多くの方に遊んでいただいているが、まだ知名度は高い問いは言えない。さらに多くの方に遊んでもらえるようにしたい」。

安定した伸びを続けている広告事業についても、先行投資を行っていく。つまり、「ADrout」と「BRAND SCREEN」の拡販を行う営業人員とともに、機能強化のためのシステム人員を増強していくという。「ゲームと広告の事業で投資を加速していく」。
 

続いて、今後の事業戦略の説明を行った。まず、次代を担うコアサービスを生み出すための取り組みを説明した。尾下氏は、ローリスクローリターン、ミドルリスクミドルリターン、ハイリスクハイリターンなど複数のサービスをバランスよく組み合わせていく考えだ。同社では、新規事業の評価にあたってはROIを最重要指標にしているという。
 

ハイリスクハイリターンの新サービスとして、『ワクサガ』をあげた。リスクが大きいものの、ヒットするとその分、収益も大きくなる。自社開発サービスで、自社パブリッシングを行っている。「今のところ順調に立ち上がってきており、事業の柱になってくれるのではないか。大事に育てていきたい」とコメントした。

また、ミドルリスクミドルリターンとして、flaggs社が開発する『NOROSHI』がある。これはプロジェクトファイナンスとしての取り組みで、現在、日本とインドの配信パートナーが決まった。現在のフェーズは、ベータ開発とのこと。

「ME」は、新しく登場したプロジェクトとなる。こちらはプロトタイプ開発の段階で、開発パートナーに1社迎えたという。参加パートナーについての開示はなかった。もちろん、ゲームだそうである。「SWEEP」もベータ開発の段階にある。現在、大手パブリッシャーと開発を進めている案件だそうだ。

最後に事業トピックスを紹介した。まず、『ワクサガ』は、4月15日に配信開始となったが、累計ダウンロード数は5月9日に200万を突破した。ゲーム内の売上もイベントによってで変動するが、App Storeで最高33位、Google Playでも40位にランクインした。

ゴールデンウィークには、初の共闘イベントを実施するとともに、新ユニットと新章を追加したという。「リリース直後は多少の不具合があったが、現在は解消し、順調なスタートを切れた」とのこと。

2016年夏にかけて大型アップデートを行う予定。リリースしてみたところ、ユーザーから意見・要望が多数届いており、運営の参考にしているという。まず、ゲーム内の人気コンテンツ「闘技場(PvPコンテンツ)」にリーグ戦を導入する。「長く楽しんでもらえるタイトルに育てたい」。
 

次に「NOROSHI」を紹介した。リリースで発表したが、日本国内の配信はAiming<3911>が担当する。リリース時期は未定。2Dアニメーション技術を使い、様々なヒーローがそれぞれの物語を進んでいく高いストーリー性とカジュアルかつ奥深いゲームシステムを両立する作品だ。今後、3社で最後の総仕上げに入っていく。

「NOROSHI」に関しては、インドで配信することも決定した。日本のスマートフォンゲーム会社のトピックスとしては非常に珍しい。インドのマーケットは人口増加や経済成長の相まって期待されているものの、まだまだ人口に比してゲームのマーケットは小さい状況だ。それでも取り組む理由として、尾下氏は、「世界中で起きたことを振り返ると、運用型のゲームマーケットでは、先行者メリットが多い。」と述べた。
 

なおインドでは、インド初のモバイルゲームの専業パブリッシャーFLIXY GAMESが配信を行う。FLIXY GAMESは、Zyngaでゲーム運営の経験を積んできたスタッフが立ち上げた会社で、アクセルマークも出資するアジア向けスタートアップファンドが投資しているという。
 

広告事業については、BRAND SCREENの拡販に取り組む。まず、自社タイトルの『ワクサガ』のプロモーションを実施する予定。「単純なバナー広告ではなく、どんなゲームが一目でわかるような広告を出すことで、ユーザー数の増加に貢献するのではないか」と期待を示した。自社ゲームでの事例を活用して、今後、ゲーム会社への営業を強化し、ゲームの広告配信を増やしていく考えだ。
 

(編集部 木村英彦)
アクセルマーク株式会社
http://www.axelmark.co.jp/

会社情報

会社名
アクセルマーク株式会社
設立
1994年3月
代表者
代表取締役社長 松川 裕史
決算期
9月
直近業績
売上高21億4400万円、営業損益9800万円の赤字、経常損益1億円の赤字、最終損益1億200万円の赤字(2023年9月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
3624
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