マイネット<3928>は、10月13日、東京都内で「戦略発表会 2016」を開催した。発表会では、同日に発表したクルーズ<2138>からの子会社(ゲーム事業)取得についてや、今後の事業戦略について、同社の上原仁代表取締役社長が行った。今回はその発表会の模様を紹介したい。
■クルーズのゲーム事業を取得 一挙に16タイトルを獲得
まずは今回のクルーズのゲーム事業の取得の前に、同社が持ち株会社体制に移行することが発表された。これは買収戦略に沿った事業体制を構築するためのもので、マイネット本体に属していたゲーム事業は新たに新設した子会社マイネットエンターテイメントに移管することになる。
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さらに、マイネットは、買収用の子会社となるC&Mを設立し、そのC&Mがクルーズがゲーム事業を新設分割して作った子会社C&Mゲームスを買収して、子会社化する。このC&Mゲームスは、クルーズの『エレメンタルストーリー』以外の全てのゲームタイトル(16タイトル)を保有することになり、マイネットは既存の20タイトルの運営も加えて、合計36タイトルを運営することになる。
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なお、今回のゲーム事業の譲受は、「ゲーム事業を拡大したいマイネット」と「EC事業に注力したいクルーズ」の両社の戦略が合致した結果、成立したとのことだ。
▲クルーズの小渕宏二社長(写真左)とマイネットの上原仁社長(写真右)
■大型タイトルの運営に進出 合計運営タイトル数36タイトルは国内最大級に
今回のM&Aの大きな意義となるのは、「新たな領域として大型タイトルを運営すること」(上原社長)だ。今回の取得タイトルには、クルーズの代表作とも言える『アヴァロンの騎士』なども含まれており、これらの運営スタッフが同社に移ってくることで、その運営ノウハウが蓄積されることは“次”に向けた要素としても大きなプラスになってくる。
また、前述のとおり、合計36タイトルの運営を手掛けることになり、国内最大級の運営タイトル数を手掛けることで、スケールメリットはさらに拡大するとしていた。
■サービス(運営)のナンバーワンを目指す 今後は「月に2本仕入れていくペース」に
次に今後の戦略については、スマートフォンゲーム市場が成長期から成熟期に移っていく中で、今後の市場はかつてのコンシューマゲーム市場のように合従連衡の再編が進んでいくとみているという。
そうした中で、運営を事業の中心とするサービス事業者の存在感が増していくとしており、同社は「サービス(運営)のナンバーワンを目指す」(同)としていた。
また、サービス事業者がユーザーとの接点を持つことで、ユーザーの行動データを複数タイトルによって蓄積していくことが可能になる。このビッグデータを生かしてよりよい運営につなげていくことに取り組んでいくほか、ゲーム運営のAI化についての共同開発もAI関連企業と推進中だという。
なお、同社これまで月1本のペースで新たなゲームを仕入れていたが、今後は「月に2本仕入れていくペース」(同)になっていくとしていた。さらに、今回大型のM&Aが実現したわけだが、「これで終了だとは思っていない」(同)としており、今後新たに大口のM&A案件が生じる可能性もありそうだ。
■上原社長はC&Mゲームスの事業を中心に注力
最後に今後の新体制としては、持株会社となるマイネットの代表取締役社長はこれまで通り上原氏が務めるが、C&Mゲームスについても上原氏が代表取締役社長となる。上原氏は、C&Mゲームスの事業を中心に取り組んでいくとのことだ。
一方、マイネットエンターテイメントとマイネットゲームスについては、ゲームサービス事業の事業統括業務を担う田中亘氏が代表取締役社長に就任する。
▲左から今回のM&Aを担当した久保宗大氏、上原社長、田中亘氏、
C&Mゲームスの事業部長となる仲川航一氏
(編集部:柴田正之)
会社情報
- 会社名
- 株式会社マイネット
- 設立
- 2006年7月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 岩城 農
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高87億1700万円、営業利益1億6800万円、経常利益1億2500万円、最終利益1億4300万円(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3928