【DeNA決算説明会】第2四半期は3四半期連続の営業増益…スポーツやキュレーションなど非ゲーム躍進、任天堂との新作は「予想に織り込まず」


ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>は、11月4日、2017年3月期の第2四半期の連結決算(IFRS)を発表するとともに、東京都内でアナリスト・機関投資家向けの決算説明会を開催した。発表した第2四半期累計(4~9月)の決算は、売上収益765億円(前年同期比2.2%増)、営業利益152億円(同33.7%増)、最終利益112億円(同65.7%増)だった。

7~9月期をみると、売上収益382億円(前四半期比QonQ0.1%減)、営業利益79億円(同6.9%増)と営業増益となった。説明会に臨んだ守安功社長(写真)は、「売上、営業利益ともに順調。好調だったスポーツ事業が利益貢献した。売上面では(キュレーションプラットフォームなど)新規事業も大きくなってきた」と述べ、非ゲーム事業が着実に成長を見せていると総括した(「」内の発言は断りがない限り、守安社長)。
 


以下、7~9月期の状況を中心にみていこう。


 
■スポーツ事業が収益貢献事業に

まず、4~6月期の状況から振り返ると、売上収益が前四半期比9%増の383億円、営業利益が同43%増の74億円だった。これは主にスポーツ事業の売上高がプロ野球のシーズンインにより同3.6倍に伸びたことによる。さらに横浜スタジアムが連結子会社に加わったことで、スポーツ事業の売上・利益をさらに押し上げるものとなった。

続く第2四半期も状況は大きくは変わらない。スポーツ事業を除く売上収益は319億円(3%減)、営業利益が57億円(5%減)と減収減益だったのに対し、スポーツ事業は売上収益63億円(同15%増)、営業利益22億円(24%増)と大きく伸びた。すでに報じたとおり、守安社長は、スポーツ事業の通年での黒字化は確実になったとコメントした。

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■セグメント別の状況 コイン消費の減少続く、欧米の戦略を転換

続いてセグメント別の状況を見ていこう。まず、ゲーム事業は売上収益504億円(7%減)、セグメント利益127億円(8%減)だった。国内外でのコイン消費の減少が続いた。

国内コイン消費は、前四半期比27億円減の370億円で、営業利益も8.1%減の79億円となった。「新作タイトルのの積み上げがなかった。またブラウザに関しては想定の範囲内での減少」だという。また今期は大型既存アプリの運用強化に取り組んでおり、『スーパーガンダムロワイヤル』などで成果が出始めているという。同タイトルは、10月にリリース1年を迎えたが、単月で過去最高の水準になったそうだ。
 


海外のゲーム事業もコイン消費が減少。中国は30億円台をキープし、欧米は減少が続いた。欧米については、10月に海外子会社を解散すると発表し、現地スタジオで開発する戦略から、任天堂を中心とする外部パートナーとの協業によるタイトルを展開する戦略に転換する。このため、欧米については今後、営業損失はゼロとなっていく見通し。また、中国に関しては、前年の第2四半期と第3四半期に大きな赤字を計上したが、マーケティング費用とのこと。「いけると判断したときのみ」行うものだそうだ。
 


なお、欧米での展開するにあたってのパートナーについては、任天堂以外にあるのかという会場での質問に対して、守安社長は「欧米で認知されているIPを保有する会社などを想定している」とのことだった。

EC事業については、売上収益95億円(同2.9%減)、セグメント利益9億円(同22.9%減)だった。ショッピング取扱高が減少する一方で、DeNAトラベルの取扱高が前年同期比14.2%増の177億円と好調に推移した。ショッピング事業のウチ、DeNAショッピングと、auショッピングモールの12月28日でのKDDIへの譲渡が決定しており、今後、トラベルを中心に展開していく。
 



 
■下期の方針:任天堂との協業にリソース割く キュレーションも黒字化

ゲーム事業では、すでに報じたように『Super Mario Run』など任天堂との協業タイトルに大きなリソースを割いていくとともに、既存タイトルの運用強化を図る。任天堂との協業タイトルには開発リソースを「最優先で割り当てている」という。『Super Mario Run』や『ファイアーエムブレム』、『どうぶつの森』に携わっているDeNAの開発者は兼任も含めて100名程度だが、今後、タイトルの増加に合わせて増やす考え。

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また自社タイトルの新作については、日本と中国向けに5タイトルずつ開発を行っているとのこと。ただし、βテストの反応によっては延期もしくは中止となるタイトルが出る可能性があるという。「確実にヒットするとはいえないが、期待している」。またブラウザゲームも減少が続いているが、利益・キャッシュを創出している事業であるため、引き続き運用を強化し、その減少幅を緩やかなものにしていく考えだ。

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新規事業・その他については、キュレーションプラットフォームが売上収益が前四半期比で5億円増の約15億円となり、9月に単月黒字化を達成。第3四半期も四半期ベースで黒字となる見通しで、来期(2018年3月期)には四半期で10億円の利益貢献も可能になるとの見方を示した。

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■第3四半期の見通し 協業の新作は織り込まず

続く第3四半期(10~12月)は、売上収益324億円(前四半期比15%減)、営業利益71億円(同10%減)と減収減益を見込む。第1、2四半期の収益を押し上げたスポーツ事業がオフシーズンとなるが、ショッピングモールの譲渡益(59億円)や、欧米子会社の解散費用(28億円)などが発生するため、営業利益は10%の減少にとどまる。スポーツ事業を除くNon-GAAP利益は60億円と安定的に推移する見通し。
 


なお、任天堂との協業タイトルについては、『Super Mario Run』や『ファイアーエムブレム』『どうぶつの森』などのリリースが予定されているが、すでに配信している『Miitomo(ミートモ)』以外は業績予想には織り込んでいないとのことだった。いわば業績上ブレの要因となるものとみられる。


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(編集部 木村英彦)
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
https://dena.com/jp/

会社情報

会社名
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
設立
1999年3月
代表者
代表取締役会長 南場 智子/代表取締役社長兼CEO 岡村 信悟
決算期
3月
直近業績
売上収益1367億3300万円、営業損益282億7000万円の赤字、税引前損益281億3000万円の赤字、最終損益286億8200万円の赤字(2024年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
2432
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