グリー<3632>は、4月27日、第3四半期累計(16年7月~17年3月)の連結決算を発表するとともに、東京都内で証券アナリスト・機関投資家向けの決算説明会を開催した。発表した決算は、売上高461億円(前年同期比15.0%減)、営業利益55億円(同53.5%減)、経常利益71億円(同35.2%減)、最終利益142億円(同124.0%増)だった。
足元の業績を見ると、第3四半期(1~3月)の数字は、売上高158億円(前四半期比QonQ5.3%増)、営業利益15億円(同0.5%増)、経常利益8億円(同29.1%減)、最終利益15億円(同3.2%減)となり、2四半期連続で増収となった。2月発表時の業績予想は、売上高が153億円、営業利益が12億円と減益を見込んでいたが、売上高で5億円、営業利益が3億円上ブレとなった。
経常利益については、大きくマイナスとなったが、為替差損が発生したことによる。また最終利益の減益幅が少ないが、これは特別利益に投資有価証券売却益を計上したためだ。
決算説明会に臨んだ田中良和社長(写真)は、「ネイティブシフトを進め、リリースを加速させた。ユーザーに評価されるゲーム作りができ、手応えを感じている。ここに至るまでに長い時間がかかったが、いいゲームを作るために必要な時間だった。これまで費やした時間を活かし、今後もいいゲームづくりに努めたい」とまとめた(以下、断りのない限り、「」内の発言は田中社長)。
今回の記事では、第3四半期(17年1~3月期)の状況を中心にまとめる。
■第3四半期はネイティブゲームが伸びる
売上高はQonQで5.3%増の153億円だった。Webゲームのコイン消費の減少が続いたものの、ネイティブゲームの伸びでカバーした。第3四半期におけるネイティブゲームのコイン消費はQonQで31.7%増の54億コインと大きく伸長した。『ららマジ』(1月)や『武器よさらば』(4月)が寄与したほか、海外で展開した他社IPタイトルが押し上げた。
ネイティブゲームのコイン消費は、ここ1年で最高だった。アプリストアの売上ランキング上位に入っているだけでなく、ユーザーレビューも総じて良好とのこと。実際、新作は全てレビュースコアが4.5を超えている。「ユーザーに受け入れられるゲームを継続的に作れることが競争力の源泉。今後予定しているタイトルにも期待が持てる」。
また他社のIPタイトルの海外展開についても自信を深めたとのこと。「自分たちでIPを作って売るのは当然のことだが、他社のIPでも全世界で展開できるような会社になることが目標だ。他社のIPを使いながら、全世界でゲームを売ることに関して一定の実績が出ており、再現性のあるやり方だと確信を深めた」という。
利益面を見ると、営業利益は同0.5%増の55億円だった。増収効果に加え、広告宣伝費を抑制が寄与した。ただ、ネイティブアプリの売上の伸びに伴って、アプリストアなどへの支払手数料が伸びたことに加え、3ミニッツのグループ入りに伴いのれんの償却額が増えたこと、新作リリースに伴う外注費の増加などが響き、費用全体では2億円像の89億円となった。
■第4四半期は減益予想も「保守的」
続く第4四半期(17年4~6月期)の業績は、売上高159億円(QonQ変わらず)、営業利益14億円(同6.6%減)、経常利益14億円(同55.5%増)、最終利益8億円(同50.0%減)と、売上高は横ばい、営業減益を見込む。新規4タイトルのリリースに伴う広告宣伝費の増加などを見込んでおり、「保守的に見積もっている」(秋山仁取締役)という。
同社では、第4四半期(4~6月)に『アナザーエデン』をリリースしたが、この四半期中にこれ以外に他社IPタイトル3本をリリースする計画だ。2017年7月以降のリリースタイトルは、承認されているもので6本ある。これから開発承認があがるものもあるので、それに応じて本数は増えていく見通しだ。
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(編集部 木村英彦)
会社情報
- 会社名
- グリー株式会社
- 設立
- 2004年12月
- 代表者
- 代表取締役会長兼社長 田中 良和
- 決算期
- 6月
- 直近業績
- 売上高613億900万円、営業利益59億8100万円、経常利益71億2300万円、最終利益46億3000万円(2024年6月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3632