【決算分析】gumiの決算説明資料より…新作パイプラインは6本、超有力IPタイトル開発が始動 2Qは『ファンキル』CM費用や新作開発費などが先行

9月11日に発表されたgumi<3903>の2018年4月期の第1四半期(5~7月)の連結決算は、売上高70億2300万円(前年同期比31.7%増)、営業利益2億1800万円(同13.7%減)、経常利益2億500万円(同16.3%減)、四半期純利益9500万円(同187.8%増)となった。

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今回はgumiが開示した決算説明資料から、その決算内容の詳細を分析してみたい。


■『タガタメ』のTVCMの放映で広告宣伝費が膨らむ


まずは業績の四半期推移(QonQ)を見てみると、売上高は前四半期比2.5%減、営業利益は同46.7%減、経常利益は同46.2%減、最終利益は同66.3%減だった。売上高は若干の減収にとどまったものの、利益面では『誰ガ為のアルケミスト』(以下『タガタメ』)のTVCMの放映で広告宣伝費が膨らんだことで利益率が低下した。なお、広告宣伝費は前四半期比で40.7%増、前年同期比でも54.7%増となっている。
 


続いて、人員数の四半期推移を見てみよう。第1四半期の人員数は前四半期比42人の増加となっているが、これは新規タイトルの開発ラインの増強に伴うものとなっている。
 
 

■新作3タイトルはユーザーの定着などに向けた今後の取り組みが重要に


続いて、直近リリースされた新作タイトルの状況を見てみたい。7月19日に配信開始となった『スマッシュ&マジック』は、配信後約1ヶ月で早くも1,000万ダウンロードを達成した(ダウンロード数には特定のユーザーが複数回ダウンロードを行った数値も含まれる。以下同)。
 

続いてギークスが開発し、同社がパブリッシングを担当することになった7月24日配信開始の『カクテル王子(プリンス)』は配信後約1ヶ月で30万ダウンロードを達成しており、今後はリアルイベント開催やゲームコンテンツのアップデートなどを実施し、ユーザーベースの拡大を目指していくという。
 

さらに続く第2四半期の期間となる8月16日に配信開始した『セレンシアサーガ:ドラゴンネスト』は、配信後約2週間で50万ダウンロードを達成した。
 

ただし、9月12日に開催された決算説明会では、これら3タイトルの現状について、会社側では「現状芳しい成績ではない」という認識を示しており、今後はユーザーの定着などに向けた取り組みが重要になってきそうだ。


■新作パイプラインはオリジナル5本、IP1本の合計6本


新作のパイプラインを見ると、現在はオリジナルタイトル5タイトル(海外版含む)を開発中であるほか、新たに超有力IPを活用した新規タイトルの開発に着手したことが明らかになった。

また、パブリッシングについては、現状0タイトルとしているが、複数の協業先との取組みを検討中とのことだ。

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■新作貢献で売り上げ増も『ファンキル』広告宣伝費や開発費など費用が先行


なお、2018年4月通期の業績予想は非開示で、同社は第2四半期累計(5~10月)の業績予想を開示。第2四半期の売上高は145億2300万円(前年同期比28.8%増)、営業利益は3億6800万円(同34.6%減)、経常利益は3億500万円(同49.9%減)の見込み。

また、第2四半期期間(8~10月)を見ると、売上高は前四半期比6.8%増の75億円と増収を見込むものの、営業利益は同31.2%減の1億5000万円、経常利益は同51.2%減の1億円を見込んでいる。

QonQで増収を見込むのは、前述の新作3タイトルの売り上げ貢献が見込まれるため。一方、利益面については、『ファントム オブ キル』(以下『ファンキル』)のTVCM放映に加え、新作3タイトルの広告宣伝費の増加、大型タイトルの開発に伴う開発費の大幅な増加により、減益となる見通しだ。
 


■まとめ


『ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス』や『タガタメ』『ファンキル』など既存タイトルは堅調な推移となっており、四半期ベースで5四半期連続の黒字をキープするなど黒字体質がだいぶ定着してきた。

同社は、こうした状況下において、次の柱となるべきヒットタイトルの創出を目指しているが、大ヒットタイトルの後継タイトルとなる『ブレイブ フロンティア2』や“超有力IP”を活用した新作の動向はやはり注目されるところだろう。

特に“超有力IP”の新作タイトルについては、そのIPの正体も含め今後の続報発表が大きな関心を集めることとなりそうだ。


(編集部:柴田正之)

 
株式会社gumi
http://gu3.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社gumi
設立
2007年6月
代表者
川本 寛之
決算期
4月
直近業績
売上高120億6600万、営業損益50億4000万円の赤字、経常損益45億1400万円の赤字、最終損益59億3400万円の赤字(2024年4月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3903
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