【インタビュー】株式会社DeNA Games OsakaからDeNAの第六開発部へ―設立の経緯や今後の展開、開発チームが求める人材について吉田氏に聞く


ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>は、昨年10月24日、連結子会社DeNA Games Osaka(以下DeNA Osaka)を2018年1月1日付で吸収合併することを発表した。これにより、DeNA OsakaはDeNAの大阪の開発拠点「第六開発部」となったが、第六開発部とはどのような組織で何を目指すのだろうか。
 
今回SocialGameInfoでは、DeNA第六開発部部長の吉田周太氏にインタビューを実施。あまり語られることのなかった第六開発部の設立に至る経緯や今後の展開、求める人材について話を聞いた。
 
 

◼︎設立の経緯は「規模の拡大」と「チャレンジ領域の拡大」

 
―:本日はよろしくお願いいたします。最初にご自身の自己紹介をお願いいたします。
 
本日はよろしくお願いいたします。私はDeNAにてプランナーやプロデューサーなどを経て、現在は第六開発部を統括し、今後どのようなゲームを企画・開発していくかなどの戦略を考えています。
 
前職は大手の家電メーカーで携帯電話の商品企画を担当していました。当時はスマートフォンへの移行期でもありましたので、ハードウェアやデフォルトで搭載しているカメラなどのソフトウェアの開発の企画をエンジニアやデザイナーと一緒になって考えていました。
 
DeNAに入社した理由は2つあり、一つ目は前職が広島での勤務となっていたのですが地元である大阪での就業を考えていたこと、二つ目は大手の旧態依然とした会社の中で自身の裁量の幅が予め設定されている環境に窮屈さを感じていたので、20代という年齢でも幅広く業務を任せてもらえるDeNAの組織の考え方に共感し、自分のものづくりの経験を活かして幅広い活躍ができると思ったからです。

 
―:DeNAで幅広く活躍できると思ったのは具体的にはどのような部分になるのでしょうか?
 
採用の面接では当時の企画部門のマネジャーをしていた、保積さん(後のDeNA Osaka代表取締役社長)と、片山さん(後の企画開発部長)にお会いしたのですが、20代後半だった私と二人とも年齢が少し上の30歳前半で責任のある立場にあり、自分も責任ある立場を担いたいと明確にイメ―ジできたからです。また楽しそうに仕事の話をしていたことも印象に残っていて、責任や裁量をもって働ける環境をとても魅力的に感じました。
 
 
―:2018年1月1日付でDeNAがDeNA Osakaを吸収合併することによって、DeNAの第六開発部となりましたが、経緯を教えて頂けますでしょうか。

第六開発部の設立の経緯には「規模の拡大」「チャレンジ領域の拡大」という主に二つの理由があります。一つ目は規模の拡大となり、当初十数名という少人数の組織でスタートしたのですが現在では約80人まで拡大しました。今まではDeNA Osakaという子会社のかたちで独立してゲームの開発や運営を行ってきましたが規模が拡大して、組織としてDeNAとの連携がより必要となりました。
 
もう一つの要素である、チャレンジする領域の変化についてですが、今まではDeNAで運用していた案件を大阪に移管しての運用やブラウザゲームやカジュアルゲームのアプリを開発していましたが、「Delight and Impact the World -世界に喜びと驚きを-」というミッションを掲げるDeNAのグループとして、世の中に良いものを提供するために新規のアプリの開発も担っていきたいと考えていました。
 
規模の拡大による組織的な部分と新規アプリの開発における戦略的な部分でのDeNAとの連携がより重要なフェーズとなりました。結果、子会社としての別の事業体ではなく、同じDeNAの中で一緒に物事を進めたほうが世の中に対して良いものを提供できる、インパクトを与えることができると考えて、DeNAの第六開発部となったのが設立の経緯となります。

 
―:第六開発部では今後はどのようなチャレンジを考えているのでしょうか?
 
新しいゲームの開発やその運営も行うことを考えています。もちろん現時点で移管して運用しているタイトルもありますので両方やっていくことになると思います。東京の秋葉原には株式会社DeNA Games Tokyoがあり、現在はDeNAで開発したゲームの運営をメインで担当していますが、大阪の第六開発部は新たなゲーム開発とそのゲームの運営をメインにやっていきたいと考えています。
 
―:大阪に拠点を構えていることでメリットがあれば教えてください。
 
メリットとしては、東京にしか拠点がない場合には、接点を持つことが難しい関西在住の方に対して、採用についてのアプローチができることだと思います。実際に第六開発部のメンバーは大阪にゆかりがあり、大阪に魅力を感じてきてくれる人が多いです。東京だと働けないという優秀なゲーム人材を大阪の拠点があるから確保できるということは大きいと思います。
 
また第六開発部をきっかけとして、例えば将来的には東京に行ってDeNA本社で活躍したいなどキャリアの可能性が拡がることもメリットのひとつだと考えています。

 
―:反対に大阪に拠点を構えることで課題と感じていることはあるのでしょうか。
 
今後の課題でもあるのですが、DeNA本社は東京にあるため、組織運営においても改善していく部分はあります。例えば会社全体の戦略や事業の方向性については、これまでも定期的な情報共有を行うことで、同じ目線で理解ができていましたが、やはり働くのは人なので、会社の文化や人の関わりにおいて物理的な距離が原因となって認識の齟齬が発生しないように気をつけたいと考えています。
 
子会社の場合、DeNAグループとして目指す方向は揃えるものの、方法は会社ごとに特徴を持っていましたが、同じ会社となった以上はDeNAで働くメンバーの意識や意思を統一するために、私自身も積極的にグループのビジョンやミッションを発信して浸透させていきたいと考えています。

 
 
―:大阪の周辺の他のゲーム会社との交流はあるのでしょうか。
 
関西の他のゲーム会社の交流会などは規模も様々で頻繁に行われていて、積極的に参加させていただいています。関西の場合は、世間一般の認識としても、「何か面白いことがやりたいから集まっている」というカジュアルな感じがするので、交流しやすい雰囲気もあります。これは大阪ならではだと思います。
 
大阪にあるゲーム会社の人たちは「大阪からやってやるんだ」、「東京には負けない」という意識も良い意味で持っていると思いますので、周りにそういう人々がいるのも恵まれた環境だと思います。DeNA Osakaが主催となってイベント「DGO Nite」を定期的に開催していましたが、周辺の会社が集まることで、何か生まれるんじゃないか、何か生まれてほしいと感じていますので、このような取り組みを継続して実施していきたいと考えています。



▲「DGO Nite」の模様
 
 

◼︎「新しい観点」を意識したチャレンジを

 
―:昨今のスマホゲーム市場、開発動向についてはどうみられていますか。
 
昨今のスマホゲーム市場については、国内のビッグタイトルはストアのランキング上位に固定化されている中で、『リネージュ2 レボリューション』など海外のディベロッパーのアプリも上位に食い込んできているという印象です。
 
元々日本のプレイヤーは対戦やマルチのオンライン対戦、チャットでの交流などが苦手というイメージがあったのですが、それが徐々に変わってきているのではないでしょうか。日本らしさが良くも悪くも変わってきていて、ずっと続く既存のゲームは変わらず支持される一方で新しいゲームには「新しい観点」が求められていると思います。新しいゲームを開発するうえではこの新しい観点を意識してゲームを開発していかなければいけないと思っています。

 
―:今後は第六開発部やチームをどのようにしていきたいですか?
 
今までは運営を中心にやってきましたが、第六開発部は「新しい観点」を意識して、業界でトップクオリティと言われるようなコンテンツを生み出し続ける組織にしていきたいと思っています。

 
DeNAの本社でできることと第六開発部でできることに違いはあると思っていますが、ゲームを作れる人材が集まって素晴らしいシナジーを生み出せば多くの人に評価いただけるゲームが創り出せると思います。今はその人材を集めること、シナジーを生み出す組織をしっかり作っているところです。
 
また目指すチームとしては、固定概念にとらわれてやる仕事ではないと思っているので、いろいろな人の様々な経験やスキル、考えをぶつけあいながらものづくりができるチームにしていきたいと思っています。

 
―:第六開発部の雰囲気について教えてください。
 
業務の内外に関わらず活気のある職場で、DeNAにきてゲーム作りを楽しもうという文化はあると思います。私個人の考えもありますが、大阪には話のひとつにしてもオチを求めるなど「やるんだったら面白く」という文化や環境があると思うので、ものづくりにおいてもポジティブに働いている点はあると思います。
 
 
―:タイトル毎のチームの規模について教えてください。
 
今は一タイトルあたり約30~40人になっています。私もプロデューサーの経験がありますが、何を目指しているか、どういうチームにしたいかを伝えるためには、このくらいの人数がやりやすく、チームのパワーが最大限に発揮できると思います。
 
ただ一方であまり人数にこだわりはありません。開発体制ありきではなくて、どういうものを作りたいか、それを作ればどのようなことが起きるのかを考えて、それに対して人がたくさん必要であれば人を増やして、あまり必要なければ他のタイトルにあてるなど、一番良いかたちを常に模索してやっていければ良いかなと思います。

 
 

―:現在積極的に採用を行っているとのことですが、第六開発部やチームが求める人材について詳しく教えてください。
 
第六開発部でもゲームメーカーで長くリーダーを経験されてきた方もいて、とても心強いと感じています。一方でキャリアはあくまでもその人のひとつのバックボーンでしかないので、その人がどのような人でどのような強みを持っているかも重要視しています。
 
いろいろな考えを持っている人、面白い人が集まって良いゲームを作るのがベストだと思っているので、求めているのは「受容性の高い人」と言えるかもしれません。
 
過去の実績にあぐらをかいている人ではなく、自分の技術をもっと大きく活かしたい人や新たなチャレンジをしたい人、会社やチームに対して変化を促していける人が適していると思います。

 

―:その人の職種やスキルにもよると思いますが、入社後はどのような活躍を期待されているのでしょうか?
 
第六開発部としてすべてのタイトルに注力しているのですが、最優先で新規タイトルの成功や最大化を目指してやっていきたいと思いますので、活躍できる人にはできるだけすぐに新規タイトルのチームで活躍してもらいたいと考えています。
 
 
―:最後となりますが、読者の方にメッセージをお願いします。
 

DeNA OsakaはDeNAの第六開発部となりましたが、根本の考えには面白いもの、楽しいもの、喜びや驚きを与えるものを作りたいという純粋な想いがあり、これを実現するためにチャレンジできる体制が整ったと思います。
 
DeNAの大阪の開発拠点である第六開発部からスマホゲーム業界を盛り上げていきたいと思っていますので、同じ考えを持った方、ご興味がある方はぜひお問い合わせください。スマホゲーム業界や大阪を一緒に盛り上げていきましょう。

 
―:ありがとうございました。
 

採用サイト

株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
https://dena.com/jp/

会社情報

会社名
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
設立
1999年3月
代表者
代表取締役会長 南場 智子/代表取締役社長兼CEO 岡村 信悟
決算期
3月
直近業績
売上収益1367億3300万円、営業損益282億7000万円の赤字、税引前損益281億3000万円の赤字、最終損益286億8200万円の赤字(2024年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
2432
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