【連載企画:f4samuraiマガジン⑥】デザイナー対談~デザインスキルもマネジメント力も、この会社でなら磨けると思った~

「世界に、“一番のワクワク”を届ける」をミッションとし、スマートフォン向けゲームの企画・開発・運営を行っているゲーム会社、f4samurai。

秋葉原に拠点を構える同社は、世界観の構築に強みを持ち、『オルタンシア・サーガ -蒼の騎士団-』(『オルサガ』)をはじめ、『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』(『マギレコ』)、『コードギアス 反逆のルルーシュ ロストストーリーズ』などを手掛け、いずれもヒット作として覚えている人も多いだろう。

そんなf4samuraiのゲーム開発はどのようにして行われているか。今回、gamebizでは、そんなf4samuraiの開発環境を、同社マスコットであるエフフォーくんと探る「f4samuraiマガジン」を特集掲載していく。同社がヒット作を輩出するその秘密について探ってみた。






皆さん、こんにちは! f4samurai・エフフォーくんです。

今回の記事では、f4samuraiのデザイナーによる対談をご紹介します。

新卒からゲーム業界一筋でキャリアを築き、現在はUI/UXデザイナーチームのマネージャーを務めるOhashi(2016年中途入社)と、TVCM制作からキャリアをスタートし、現在はデザイナー系部門の部長を務めるMatsu。

上司部下として、信頼しあえるパートナーとして日々業務を共にしている二人が、UIデザインにかける思い、f4samuraiの開発環境だからこそできることについて語ります。

独学でデザイナーの道を歩みだした二人 

(左)Ohashi・(右)Matsu

ーー:お二人のf4samurai入社前のキャリアについて教えてください。

Matsu
僕は、新卒では全然ゲームとは関係ない会社に入ったんですよ。最初はCM制作のADをしていて……何社か経験する間にだんだんと自分の志向性や仕事内容がものづくりのほうへと寄っていって。そして次第にゲームのUI/UXデザイナーという仕事にたどり着いたという流れです。

Ohashi
デザイナーとしては結構異色の経歴ですよね。デザインスキルはどうやって身につけられたんですか?

Matsu
ほとんど独学でしたね。常に「あ、これいいな」と自分が感じるものに対して、そのデザインの何がいいのかということを分析して、参考にするようにしていました。あとは実践のなかで技術的に分からないことがあれば人に聞いたり。UIデザイナーだと自信を持って名乗れるようになるまで色々と試行錯誤しましたね。

Ohashiさんは、確か新卒からずっとゲーム関連の仕事をされてきたんですよね。

Ohashi
はい。私は新卒で100名くらいの規模のコンシューマゲーム開発会社に入って、それからずっとゲーム関連のデザイナーをしています。

小規模な会社にいたからそう感じただけかもしれませんが、当時は一般的にも「ゲームのUIデザイン」というものがそこまで独立して考えられていなかったような気がします。背景をデザインしたり、キャラクターを描いたりしている人が、片手間にUIも手がける……というケースが多く、私もはじめは背景制作を担当しつつUIデザインも兼務していまいた。

周囲にもUIデザイン専任の人はいなかったので、ひとりで勉強しつつ実践しつつ試行錯誤して……という感じで。そういう意味ではUIデザインを身につけた流れはMatsuさんと近い気がします。

Matsu
最初からUIデザイン専任という感じではなかったんですね。

Ohashi
そうなんです。状況が変わったきっかけは、Nintendo Wiiの発売ですね。当然、私がいた会社でも「Wiiのゲームを作ろう」という話になりまして……Wiiのコントローラーでの操作を、UIでどう表現すれば直感的に伝わるだろうか?どんな操作がユーザーさんにとって迷いがないのか?など考えることが沢山あったので、自然と担当業務がUI専任になっていきました。


Ohashi
専任になって1年くらい経った頃から、社内でも「OhashiはUIデザイナーだ」と見ていただけるようになって、自分でも「UIって楽しいな」と思えるようになって。ただ会社としてはまだまだUIデザイナーのポジションが確立されてはいなかったし、わたし自身も独学じゃなくてちゃんと勉強したいと考えるようになったんです。

それで専任ポジションを設けて、もっと専門的にUIに取り組んでいるコンシューマゲームの会社に転職しました。そこでも一生懸命UIデザインと向き合っていって……8年ほどが経ち、年齢も30歳過ぎたころ「自分はこのままでいいのか」とふと思い、辞めてしまったんです。辞めたあとは、自宅でゲームを作っていました。

Matsu
えっ!UI以外のデザインも、全要素一人で作ったんですか?

Ohashi
はい。モーションとか、キャラクターとか、あらゆるデザインを一通り全部やってみたんです。どこにも勤務はしないで、一年間ひたすら家で制作していました。

そしたら、当たり前ですけど「ああ、ゲーム作るのって大変なんだな」と実感して。

Matsu
うわーすごい!そりゃ大変ですよね。

Ohashi
それで、ゲームのデザインを構成しているあらゆる要素を制作してみて、その中でわたしにとって一番ナチュラルに、苦痛でなく、楽しんでやれることがUIデザインだったんですよね。全部やってみて、「やっぱり自分にはUIデザインなんだな」とそこで腹落ちしたといいますか。

あと、家でずーっと作業していたら、「人の声が聞きたいな」って思ったんですよね。何気ない瞬間に誰かとふっと話したくなるというか。

Matsu
人と働くのが大好き!という訳じゃなくても、考えが煮詰まったときに壁打ちしたり、意見交換したり、というのは必要ですよね。

Ohashi
そうなんです。それで「また会社に入って、人と一緒に働こう」と思って。

これまでにいた企業より少し大きいところがいいけど、大企業だときっと分業制になっていてやれる範囲も狭いだろうし、ほどほどの規模感の会社がいいな~と思って職探しを始めて……f4samuraiに応募したら、トントン拍子で話が進んで、すぐに入社が決まって。それ以来ずっといるという感じです。

自由度が高いモバイルゲームのUIデザイン

Matsu
Ohashiさんはコンシューマーゲームとモバイルゲーム、どちらのUIデザインも経験してこられたんですよね。どんな共通点や違いがありましたか?

Ohashi
まずコンシューマーでもスマホでも共通している点は、「分かりやすく作らないと、正しく使ってもらえない」ということですね。

一番大きな違いは、操作性の自由度でしょうか。コンシューマゲームでは操作するデバイスが決まっていますよね。だいたい、両手または片手で持って、どのボタンにどんな機能を持たせることが多くて、どのボタンをどの指で押すかの想定もつく。ボタンの数に限りがあるので、持たせられる機能や同時押しの組み合わせにも上限があります。

それがスマートフォンやタブレットなどのタッチスクリーンで遊ぶゲームとなると、操作の自由度が桁違いに上がるんです。押せる場所を画面内にいくつ配置するのか、どの位置に置くのか、すべてが自由なんですよ。端末を持つ向きすら、ゲームによって異なりますよね。

そしてすべてが自由だというのは、UI面で考えないといけないことがそれだけ多いということです。

さらに言えば、使用端末やOSだってユーザーごとに異なりますし、デバイスが違うと画面比率さえ変わってきます。そんな条件下でも「どんな人にとっても使いやすくて誤解のないデザイン」を実現しなきゃいけない。だから自由度が高い分だけ、モバイルゲームのUIデザインはとても難しいと思っています。

デザイナーとしても管理職としても刺激し合う

ーー: 日ごろ、お互いの仕事ぶりをどう感じていますか?

Ohashi
Matsuさんは事前準備がすごいんですよ!作業に着手する前、仕事を人に依頼する前の準備が徹底されているなと感じています。

Matsu
それは確かに心がけていることかもしれません。用意周到であろうと努力はしています。新卒で入った会社でTVCMの制作をやっていたので、そのときに学んだことが多いですね。AD時代は、準備が行き届いていないとプロデューサーにものすごく怒られていたので……(笑)。

あらゆる可能性を想定して、色々な材料を用意しておけばうまく回ることが多いというのは、経験から染みついていることだと思います。

Ohashi
異業種で身につけた仕事の基本姿勢が、いまのデザイナーとしてのスタイルにもつながっているんですね。

Matsu
コロナ禍のとき、テキストコミュニケーション中心で業務をしてみて痛感しましたが、言葉だけでは伝わらないことって多いですよね。文章がコミュニケーションツールとして重要なのは言うまでもないですが、常にそれを補う材料を用意するように気をつけています。

当たり前のことかもしれませんが、UIの修正箇所について相手に伝えるときは一緒に画面を見ながら説明するとか、テキストで送る場合でも必ず画像を添付するとか。そういうことを怠らず、お互いの課題感の認識を揃えられるような説明をするのが、自分の仕事だと思っています。

Ohashi
相手に過不足なく伝わるように、資料なども事前にきっちり用意されていて、一緒に仕事をするメンバーは安心だと思います。私はその場のノリで乗り切ろうとしてしまう時が多いので……(笑)、見習いたいです!

Matsu
いやいや、そんなこといったらOhashiさんは、人の心を掴むのが本当に上手いんですよ。会話の言葉選びが絶妙で、相手の心にスッと入っていける。みんなに信頼されていて「Ohashiさんがいうなら、そうなんだろう」ってなるから、羨ましいと思うときすらあります。

Ohashi
Matsuさんが入社されて、マネジメントポジションに就かれて、私はすごく楽になったんです。メンバーとの面談でも、冒頭にメンバーにその場の趣旨や目的とかをさりげなく説明してくれるし。わたしは論理立てて話していくのが苦手で、フィーリングでやってしまうタイプなので。

デザイナーとしてはもちろん、マネージャーとしても勉強させていただいています。

人間として向き合ってくれる会社

ーー: f4samuraiに入社した際の決め手はなんでしたか?

Matsu
選考の過程で、創業役員全員とお話する機会があったんですけど、皆さんすごくフラットで。「審査されている」という感覚ではなく、本当にただ会話しているような面接だったのが印象的でした。技術面の選考ももちろんありましたが、面接ではそれ以上に僕の人柄やパーソナリティに関心を持ってくれているような質問が多く、いいなと思いました。社員一人ひとりに対し、ちゃんと人間として向き合ってくれる会社なんじゃないかと感じました。

他のゲーム会社からも内定は頂いていたんですが、そういった選考での印象や開発環境などで比較した結果、ここに決めました。

Ohashi
わたしは職探しの最初にf4samuraiを受けてそのまま決めてしまったので、あまり他と比較して決めたという感覚はないですね。「秋葉原 ゲーム会社」で検索して、最初に出てきたのがここで、そのまま入社です(笑)。

Matsu
僕と真逆ですね(笑)!僕、ゲーム会社を十何社と受けてここに決めたんですよ。

Ohashi
先ほども言いましたが、前の職場よりは少し大きい規模で、でも大企業じゃなくて……という規模感重視で決めたところが大きいですね。2社目が40名くらいの会社だったので、それよりは大きいところにしようかなという気持ちはありました。

f4samuraiは私が入社した当時90名程度で、今では200名弱と少し大きくなりましたが、やっぱりこれくらいの規模が自分に合っていると感じます。なんとなく社内にいる人たちがどんな人柄で、どんなスキルを持っているか把握できて、今全社でどんなプロジェクトが進んでいるかの全容が分かって……その中でも、自分の専門性をきちんと持てるだけの人数はいる。

さらに手を挙げれば裁量を広く持つことも可能なので、「これ、やります!」といえばやらせてもらえるし、色んなチャレンジができるなって。

Matsu
人数規模に合わせて、最近は組織構造の見直しなども行っています。職種ごとのマネジメント体制を整備して、各メンバーが目の前のタイトル開発だけではなく、長期目線でその専門でのキャリアを積めるよう支援できるようにしたり、より中間マネジメント層が会社の未来を考えていけるよう、マネージャー同士の議論の場も増えました。

メンバーのキャリア支援に関してはどうしてもプロジェクトの状況にも影響されてしまうため、個々の希望を100%叶えられているわけではありませんが、1on1での相談をきっかけにジョブチェンジしたメンバーもいたりと、皆さんの希望を吸い上げやすくなったという変化を感じています。

新規プロジェクトも控えており、今後も組織の変化や拡大があると思いますがOhashiさんが言ったような「これ、やります」「これ、やりたいです」と言える空気感はこれからも守っていきたいですね。

デザインの意図を論理的に説明する
f4samuraiのデザイナー像

ーー: f4samuraiのUI/UXデザイナーには、どんなことが求められるのでしょうか?

Ohashi
私自身いちデザイナーとして感じたことで言うと……これまでの職場と比べて何かがすごく大変!みたいなことはないけれど、やっぱり求められるクオリティが高いとは感じます。

さらにIPものの作品だと、原作の先生や版権元の企業様が作り上げてこられた世界観を、いかにゲームとして忠実に再現するか、という観点も必要です。そこのすり合わせや調整が大変なこともありますね。それはいわゆるデザインの大変さとは違うかもしれないですが、仕事として成長させられる。

仕様書を見て考えて、作って、「いいデザインができたぞ」と満足して終わりじゃない。できあがったデザインに対して、「どうしてここはこうなんですか?」という質問や指摘が入るわけです。ディレクションする人の傾向にもよりますが、「このフキダシはどうしてこの形でこの色なんですか?」という解像度で質問や指摘が入ることもあります。

それに対して「ここはユーザーさんにゲームを体験していただく上で、こういう意図があって、この機能を誤解なくお伝えするために、この形、この色にしています」というのを明確に答えられなければいけません。

Matsu
デザインスキルはもちろんのこと、デザインの意図を伝えられる説明力や論理力も必要かもしれませんね。特に外部からのフィードバックに対しては、感覚的な判断を言語化して伝えなければいけない機会がありますから。

Ohashi
そうですね。自分の意図を相手に伝わるようにアウトプットする練習はかなりさせてもらいました。

もちろんUIデザインだけでなく、シナリオ、音楽、ゲームの仕様などすべての要素に関して、そんなふうに丁寧にやり取りして構築しています。

メンバーの「やりたい」を応援できる職場に

ーー: マネジメント職にも就いているお二人ですが、これからのメンバー育成についてはどうお考えですか?

Ohashi
私達は、年齢的にはいわゆるベテランですよね。

Matsu
僕とOhashiさんは、キャリアの歩みはかなり違いますが、実は同い年なんですよ。

僕は今年の春から複数のデザイナーセクションをまとめる部長という立場を任せていただいたので、これから部門の未来をマネージャー陣と一緒に考えていきたいと思っています。f4samuraiのデザイン部門はどうあるべきなのか、どんなデザイナー集団を目指すのか……などのビジョンをまとめているところですね。

メンバーの育成については、会社全体として若手育成や研修に力をかける動きが増えてきたと感じています。UI/UXデザイナーセクションでは、マネージャーであるOhashiさんが主体となって取り組まれていますよね。

Ohashi
そうですね。UI/UXデザイナーチームでは数年前までキャリア採用を中心としていたため、新卒など若手の方を採るようになってから、探り探りで徐々に育成に力を入れてきました。

f4samuraiを選んで入社してくれたからには、その方々を育成する責任があると思っていますし、みんなが自分がデザイナーであることを誇れるように導きたいと思っています。

具体的な取り組みとしては、1on1での個別フォローのほか、月1回のペースで勉強会を実施したりしています。プロフェッショナル志向の方、ジェネラリスト志向、マネジメント志向の方など、色んな方が活躍できるようにサポートしていきたいですね。

Matsu
そうですね。いろんなキャリアパスが描ける職場ではあると思いますし、思ったことが言えるというか、「やりたい」と発言することが咎められることはないと言い切れる環境です。

自由度が高い分、ある程度固まったステップを提示してほしいという方に向いているのかはわかりませんが、少なくとも「自分のキャリアをこうしたい」という思いのある方が窮屈な思いをすることがないようにしていきたいです。

Ohashi
私自身、代表の金さんからよく「好きにやっていいよ」と言っていただいています。そして実際にそれが言葉だけではなく、色んな「やりたい」を実現させてもらえていると感じます。もちろんそれがユーザーさんのためになることなのかを考えて、よりよいデザインを模索しながらの「好きにやる」ってことですけど。

そういう自由度があるっていうのが、やっぱり楽しく仕事ができる一番の理由だと思います。



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