【決算説明会速報3】AbemaTVとタップル誕生の貢献でメディア事業は増収に 番組の充実とサービス改善を優先、本格的なマネタイズは時期尚早
サイバーエージェント<4751>の藤田晋社長(写真)は、この日(4月26日)、東京都内で開催した決算説明会で、「AbemaTV」と「タップル誕生」の貢献で、メディア事業の増収基調が続いていることを明らかにした。ただ、AbemaTVの収益は、月額課金制のAbemaビデオや広告販売がメインだが、ユーザーに視聴してもらうことを優先しているため、本格的なマネタイズはまだ先になるとのこと。
AbemTVは拡大を続けている。話題性のある特番に加え、恋愛リアリティ番組やオリジナルドラマなど独自の番組制作を強化したことが奏功し、月次アクティブユーザー数(MAU)は1000万人を超え、週次アクティブユーザー数(WAU)についても500~600万人まで拡大した。「地固めしながら地層が積み重なるように伸ばしている。大きな番組を放送して一気に伸ばすのではなく、日々、しっかりといい番組を作りつつ、サービスを改善することに注力している」。
▲広告商品は、スポットCM、タイムCM、長尺CM、1社提供番組などを用意している。広告を出したいという需要が増えてきて、枠も増やせるが、視聴者からすると広告が目立ち空いてしまう。新しいサービスでもあり、広告主と知恵を絞りながら成功パターンを探している最中にあるとのこと。
▲恋愛リアリティ番組は若年女性から支持を集めており、ユーザーの若年化と女性の利用増につながっている。現在、AbemaTVの利用者の男女比は半々になった。新たに6番組を始める。「多いのでは、との指摘も受けたが、若い女性は見てくれている」。
▲オリジナルドラマ第3弾「会社は学校じゃねぇんだよ」。藤田社長がサイバーエージェントを創業した時の話がベースになっているという。主人公のモデルは、番組名と同じセリフをブログに書いた子会社の社長とのこと。原作を担当した藤田社長は(少し照れ笑いをしながら)「面白いと評判をもらっており、手応えを感じている」と述べた。
また、アプリのダウンロード数は2900万件を突破したが、最近ではほとんど広告宣伝を行っていないと述べた。リリース当初は宣伝を行っていたが、特番や新番組が各所で話題になるだけでなく、番組出演者のファンがAbemaTVの利用を始めるなど、多様なルート、きっかけで認知されるようになり、ダウンロードを増やしているそうだ。
今回、新しい指標として、視聴時間も公開となった。2018年3月においては5072万時間となった。視聴時間については、Amazon Fire TVやテレビデバイスなどでの利用を促していく考え。藤田社長は、「スマートフォンでの長時間視聴は厳しいが、PCやタブレット、テレビなどを利用することで長時間視聴してもらえるようになっている」とコメントした。
今後の新しい取り組みとして、AbemaTVに40%出資するテレビ朝日との連携をさらに強化していく考え。毎週日曜日夜8時から「バラエティステーション」という枠を設けて、テレビ朝日が制作した番組を放送する。
このほか、転換社債で調達した400億円についてはAbemaTVに関連する企業の買収やコンテンツに投資を行う。M&Aについては、買収対象は検討している最中で具体的には言えない状況だが、「例え」として、公営ギャンブルのネット販売を行う会社を買収し、AbemaTVでその放映権を取得してその模様を放送するなど、番組放送とシナジーが生まれるような会社が考えられるとコメントした。
なお、AbemaTVの来期(2019年9月期)の業績見通しが気になるところだが、会場から質問を受けた藤田社長は「まだ何も考えていない」とコメントするにとどまった。マスメディアとしてのポジションを確立することを目指しているが、その目安として、WAUが1000万人に到達していることをあげた。今期においてどこまでWAUを伸ばせるかがポイントになりそうである。
会社情報
- 会社名
- 株式会社サイバーエージェント
- 設立
- 1998年3月
- 代表者
- 代表取締役 藤田 晋
- 決算期
- 9月
- 直近業績
- 売上高7202億0700万円、営業利益245億5700万円、経常利益249億1500万円、最終利益53億3200万円(2023年9月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 4751