埼玉消費者被害をなくす会、「モバゲー」の利用規約の差止訴訟 消費者法で無効とする内容が含まれるため

埼玉消費者被害をなくす会は、7月9日、ディー・エヌ・エー(以下、 DeNA)に対してさいたま地方裁判所民事部への提起を発表した。同会は、DeNAが運営するポータルサイト「モバゲー」のサービス利用契約に対して、消費者契約法第8条第1項で無効とする内容が含まれている条項があるとして、該当する規約の使用差止を求めている。
 

■差止の対象となった条項及びその理由
 
第4条 携帯電話

3 携帯電話及びパスワードの管理不十分、使用上の過誤、第三者の使用等による損害の責任はモバゲー会員が負うものとし、当社は一切の責任を負いません。


 
文言上、パスワードの管理不十分、使用上の過誤、第三者使用という事態が生じるに至った責任の所在が限定されておらず、すなわち被告に故意過失がある場合も含め、文言上、「被告が一切責任を負わない」条項であり消費者契約法8条1項1号もしくは3号に抵触する。


 
第7条 モバゲー会員規約の違反等について

3 当社の措置によりモバゲー会員に損害が生じても、当社は一切損害を賠償しません。


 
当社の措置をとる事由として、同条1項に「c.他のモバゲー会員に不当に迷惑をかけたと当社が判断した場合」「e.その他、モバゲー会員として不適切であると当社が判断した場合」を含む5つの事由が列挙されていますが、「措置」をとるにあたって、その故意過失に基づき誤った判断をし、その結果、会員に損害を与える事態が生じた場合などを除外することなく、文言上、被告が一切損害を賠償しなくともよいという規定となっており、消費者契約法8条1項1号、3号に抵触する。


 
第10条 料金

1 モバゲー会員は、当社の定める有料コンテンツを利用する場合には、当社の定める金額の利用料金を当社の定める方法により当社の定める時期までに支払うものとします。また、当社は理由の如何にかかわらず、すでに支払われた利用料金を一切返還しません。


 
モバゲー内におけるシステムトラブルによる二重課金や、コンテンツ内においてアイテム購入後にアイテムの性能の大幅な変更をすることなど、被告側の過失や債務不履行が想定される事態などを除外することなく、文言上、被告は受領した料金を返還しないという規定になっており、消費者契約法8条1項1号、3号に抵触する。


 
第12条 当社の責任

4 本規約において当社の責任について規定していない場合で、当社の責めに帰すべき事由によりモバゲー会員に損害が生じた場合、当社は1万円を上限として賠償します。


 
1万円の支払い対象として、「本規約において当社の責任について規定していない場合」との条件を付しており、そうすると、本件利用規約内で責任を規定している条項、すなわち「一切責任を負わない」と規定している上記条項(同4条3項、7条3項、10条1項)1万円の賠償対象とならないと解釈できる。したがって、同項はその前段部分「本規約において当社の責任について規定していない場合」について、消費者契約法8条1項1号、3号に抵触する。


なお、同会のホームページには、今回の訴状やDeNAとのやり取りその全文も公開している。


​■関連サイト
 

埼玉消費者被害をなくす会