【発表会】『ドラクエ』の"社会"が作られたリアル脱出ゲーム×ドラゴンクエスト『大魔王ゾーマからの脱出』…SCRAP代表・加藤氏へのインタビューも
SCRAPは、8月2日、新宿にある「東京ミステリーサーカス(TMC)」において、スクウェア・エニックスの国民的RPG『ドラゴンクエスト』とコラボしたリアル脱出ゲーム×ドラゴンクエスト「大魔王ゾーマからの脱出」の発表会が行われた。本稿では、その様子をレポートしていく。
■幕張メッセという広大なフィールドで『ドラゴンクエスト』の世界観を肌で感じられる
最初に登壇したのは、リアル脱出ゲームを手掛けるSCRAPの代表・加藤隆生氏。加藤氏は本作がどのようなゲームに仕上がっているかについて「子どもの頃からずっと遊んできた『ドラゴンクエスト』を、実際の空間で生身の人たちとパーティを組み、広大なフィールドを歩き回りながら、様々な謎や暗号を解き明かして、大魔王ゾーマを倒す……という体験型のゲームイベントです」と紹介した。
▲SCRAP代表の加藤隆生氏。
なお、SCRAPと『ドラゴンクエスト』がコラボするのは2016年5月13~15日に幕張メッセにて開催したリアル脱出ゲーム×ドラゴンクエスト「竜王迷宮からの脱出」以来、今回で2度目となる。前回の体験を振り返り加藤氏は「幕張メッセの広さに翻弄されました(笑)。思いつく限りのことを詰め込んで大混乱のまま開催したのですが、その大混乱が熱を生み、凄くロックンロールなイベントになりました」と語った。
また、前回との違いについて「前回の経験から我々も、どういうことをすれば冒険に熱が入り、お客様が喜んでくれるのかというポイントが分かったので、今回は『ドラゴンクエスト』の豊かな物語をさらに掘り下げていこうと考えました」と自信を覗かせる。そのため、本イベントでは『ドラゴンクエスト』の世界にある「カジノ」や「踊り子のステージ」、「ファッションショー」といった仕掛けを体験できるエリアを各所に用意しているのだとか。これにより、来場者がより『ドラゴンクエスト』の世界に入り込んだような体験が可能になっているという。この30年間、多くの人々にまるで物語の中の人物になったかのような感覚をもたらしてきた『ドラゴンクエスト』の魅力がリアル脱出ゲームの中でどう表現されているのか、是非、会場で実際に確かめていただきたい。
そんな加藤氏も、小学生の頃に出会った『ドラゴンクエスト』には強い思い入れがあるとのこと。加藤氏は「ゲームの中では勇者だけどそこを離れると普通の大学生になる……というところで終わらず、アナログの世界で物語体験をすることにより、その体験を学校や職場、家庭に持ち帰ることで"世界を救ったような気持ち"で日常を過ごせるというのが今回届けたいメッセージだと思っています」と語る。今回のコラボは、ゲーム同士に留まらない、2つの“世界”がコラボしているものだと強くアピールした。
ここで、ゲストとして『ドラゴンクエスト』シリーズの生みの親で、本イベントの監修も務めた堀井雄二氏が登場した。堀井氏は今回のイベントに関して「前回も参加しましたが、今回はより冒険感が出てさらに洗練されたと思います」と回答。本作の事前シミュレーション体験の結果は、堀井氏にとっても満足のいくものであったようだ。
▲実は前回のリアル脱出ゲーム×ドラゴンクエスト「竜王迷宮からの脱出」では、来場者に混じって一般日に訪れこっそり遊んでいたという堀井雄二氏。「今回もこっそりと行こうと思っています」というコメントも。
本作の世界観は『ドラゴンクエストX』がモチーフとなっているが、発表会が行われた8月2日はちょうど『ドラゴンクエストX』発売6周年の記念日でもあった。堀井氏は「この記念すべき日にリアル脱出ゲームとのコラボを発表できることは、すごく嬉しいです!」と笑顔を見せた。
加藤氏は堀井氏の監修について「ずっと震えていたといいますか……。何度かお会いさせていただいたのですが、いつも言葉ひとつひとつが急所を指してくる感じでした。堀井さんに言っていただく全ての言葉の視点がお客様を向いていた。この世界の面白さをいかに分かりやすく適切にお客様に伝えるかという、言葉の整理や情報の出し方をものすごく丁寧に監修していただいて、夢のような時間でした」と振り返った。
ここで、加藤氏から初出し情報として、「大魔王ゾーマからの脱出」に出演する声優情報が発表された。発表された主要キャストは下記の通り。
・勇者姫アンルシア……早見沙織さん
・大魔王ゾーマ……大塚明夫さん
▲アンルシア(CV:早見沙織さん)。
▲ゾーマ(CV:大塚明夫さん)。
キャスト陣についてコメントを求められた加藤氏は「大塚さんの声であの台詞を言っていただけると思うと、僕の中の中学2年生の心が騒いでいます」と興奮を隠しきれない様子。一方、堀井氏も「アンルシアの早見さんは、実は『いただきストリート ドラゴンクエスト&ファイナルファンタジー 30th ANNIVERSARY』でもアンルシアのボイスを担当していただいているんです。大塚さんは初めてですが、迫力ある声でゾーマの威厳を表現して下さると期待しています」と楽しそうに語った。
ここで加藤氏と堀井氏は降壇。特別ゲストの安田大サーカスの3人とキンタロー。さんが登壇し本イベントに関するトークを繰り広げた。『ドラゴンクエスト』シリーズのプレイ経験に関しては、安田大サーカスの3人は小学生~中学生の頃にプレイしていたとそれぞれ回答。団長の安田さんはスライムの貯金箱で家族貯金をしていたり、HIROさんは何百回と倒したドラキーがお気に入りキャラだったりと、それぞれに思い入れを語った。
▲キンタロー。さん渾身の、おどるほうせきものまね。
一方、リアル脱出ゲームとなると全員初体験となるという。謎解きが苦手というキンタロー。さんに対し、「僕は短大卒で高学歴なので(謎解きも)得意です」とクロちゃんさんがアピール。グループ内でも最も高学歴であると胸を張った。
▲クロちゃんさんを炎上させるため、このやり取りはカットせず使って欲しいとリクエストする安田さん。
▲謎解きに自信のある方もいるということで練習問題が出題された。解答は本稿の最後に記載するので、読者の方々も是非挑戦していただきたい。
▲謎を解いたのはクロちゃんさん。会場の期待を裏切り、謎解きが得意ということを証明した。
謎が解けたクロちゃんさんは「謎解きは楽しい! 分かった瞬間に、早く答えをみんなに伝えたい気持ちになります」と、率直な感想を述べた。その後、会場では謎が解けたお祝いとして、何故かキンタロー。さんが「さそうおどり」を披露した。
▲キレがある「さそうおどり」の効果で、次々と安田大サーカスのメンバーが誘われて踊り出す。
▲最後はおなじみのオチで盛り上がった。
最後に特別ゲストから本イベントを楽しみに待っているファンへのコメントも。安田さんが「皆さんおなじみの『ドラクエ』の世界に入れる、そしてそこから脱出するというのは絶対に楽しいです!」と話すと、キンタロー。さんは「さっきみんなで謎解きをしたのですが、みんなでやるとすごく楽しかったです。夏休みはまだまだありますし、友だち同士で来たり……あとは新婚さんも来て楽しんで下さいね。フライングゲット!」とコメントを残した。
▲ものまねで発表会を締めたキンタロー。さんに「お前それが言いたかっただけやろ!」と団長がツッコみが入り、笑いも渦巻く中、記者会見は終了した。
■作り込まれた町だからこそできる、これは戦闘のない『ドラクエ』
さらに、今回は特別に発表会終了後に時間をいただき加藤氏にインタビューを実施。本公演について、さらに深く伺うことができたので、是非ご一読いただきたい。
――:『ドラゴンクエスト』とのコラボは今回で2回目となりますが、その経緯を教えて下さい。
前回のイベントの打ち上げで、僕らも含め、スクウェア・エニックスのプロデューサーさんや堀井さんからも「こんなに面白いんだったらまたやろう」という話は出ていました。前回は初めてのことばかりで色々ありましたが、とてつもない盛り上がりもある中、僕たちとしては「もっと面白くなる!」と感じたので今回の公演が決まりました。
――:「ゾーマ」をテーマに据えた理由はいかがでしょうか?
2つ理由があって、ひとつは「竜王迷宮からの脱出」が終わった際に次のテーマをどうしようかと考えたのが『ドラゴンクエストX』にゾーマが登場した頃で、そのときに見た映像がめちゃくちゃ格好良かったというのがあります。
もうひとつは、8月10日からのお盆期間で幕張メッセを借りることができたことですね。担当の方にも「この時期に幕張メッセを抑えられることは二度とないですよ」と言われました。それまでは『ドラクエ』シリーズを順に、2年に1度ずつくらいのペースで開催しようと考えていたのですが、「こんないい機会は今後ないよ」と言われたので、それなら一番好きな『ドラゴンクエスト』作品でコラボしたいと思いました。そこで、僕がシリーズの中で好きな『ドラゴンクエスト3』で、一番思い入れのあるラスボスのゾーマを登場させました。
――:『ドラゴンクエスト』とのコラボというところで、最も意識された点はどこでしょうか。
4人で力を合わせるゲームを作りたかったのですが、『ドラクエ』が4人で協力している部分は戦闘なんです。なので、リアル脱出ゲームでは戦闘以外でキャラクターが力を合わせる、もしくはそのキャラクターでないとできないことを徹底的に作ろうと思いました。踊り子でないと解けない謎、行けない場所、商人でないとできないこと、というものがふんだんに入っています。
戦闘だと「戦士は剣で攻撃」、「魔法使いは魔法を唱える」ということができるのですが、町はある程度コミュニティができ上がっていないと、特定の職業でしかできないことを作るということができません。そのため、「自分はこの職業だ」と意識できるように凄く気を付けましたし、そのために社会が必要だと思ったので、そこを作り込んでいきました。
――:苦労された点や手応えを感じた点を教えて下さい。
まだ手応えはなく、ただ不安です。もちろん僕らは最高なものを作っていて、絶対に面白いと感じているのですが、お客様が入って初めて社会ができます。村の形や建物は僕らが作っていますが、まだそこには命が吹き込まれていないんです。ですが、手応えというのは、これから間違いなく感じるだろうなと思っています。
苦労した点はなく、『ドラゴンクエスト』のリアル脱出ゲームを作れるということが夢みたいな話でただただ嬉しかったです。ましてや、自分たちが一番得意とする、空間に物語を埋め込むということを『ドラゴンクエスト』の世界でやらせていただけるんですから、喜びでしかないです。作っているときも「もっとあんなことやりたい」、「こんなことやりたい」というアイデアが山ほど出てきて、その中からそぎ落として完璧に計算されたものだけを残したというイメージです。
――:発表会でも語っていただきましたが、改めて今回ならではの見所を教えて下さい。
前回の発展系であるということは確かなので、あらゆる面でレベルアップしています。先程も言ったように今回は社会を作るので、例えば本当に踊り子が踊らなくちゃいけないステージがあったり、旅芸人が歩くランウェイがあったり、商人じゃないとできないようなことがあったり、カジノがあったり。本当に町に多様性があるんです。
色々な施設があって、そこには色々な物語があって、色々な登場人物がいます。『ドラクエ』の登場人物もいますし、実際のNPCが衣装を着ていることもあります。そこで豊かな人が暮らしているコミュニティもあります。そんな舞台を冒険をする、戦闘のない『ドラゴンクエスト』を体験するということが前回と一番違うところではないかと思います。一言で言うなら、本当にそこに『ドラゴンクエスト』の空間や世界、物語があるということです。
――:謎解きだけでなく、プレイヤーが参加するものもあるのは楽しそうですね。
ゲームの『ドラゴンクエスト』でキャラクターがやっていることを、実際にあなたが体験しなくちゃいけないわけです。
――:最後に、公演を楽しみにしている方々に一言お願いします。
『ドラゴンクエスト』好きの方であれば間違いなく楽しめます。デジタルで『ドラクエ』を遊んでいる方は、その中でいくつかの部分を自分の想像で補っていると思うんです。その補った部分を実際の空間に置き換えて、実際に歩いて自分の肉体で感じられるんですから、本当に楽しいと思います。
そして、『ドラゴンクエスト』をまだデジタルで遊んだことがない人は、この幕張メッセの『ドラゴンクエスト』をきっかけに大好きになってもらえるくらい凄い体験を用意しています。巨大な空間に大量のアイデアと、とてつもない量の物語が埋め込まれています。誰が来ても絶対に面白いと思っていただけるようになっていますし、ましてやそれが『ドラクエ』の世界観であるというのは最高だと思います。是非、皆さんで遊びに来てもらいたいと思います。
――:本日はありがとうございました。
謎の解答:まほうつかい
謎の解説:謎が書かれたマスをよく見ていただきたい。どこかで見たことはないだろうか。これは、50音の表になっており、右からあいうえお、かきくけこ……と入っていく。あとは表に書かれた数字の部分に入る文字を1から順番に読んでいくと、「まほうつかい」となる。
【リアル脱出ゲーム×ドラゴンクエスト『大魔王ゾーマからの脱出』開催概要】
■会場
幕張メッセ 展示ホール 9~11
〒261-8550 千葉市美浜区中瀬2-1
■開催期間
2018年8月11日(土)・12日(日)・13日(月)・14日(火)・15日(水)・17日(金)・18日(土)・19日(日)
■チケット
【プレミアムチケット】
一般:8,200円
学生:7,700円
小学生:6,200円
【通常前売券】
一般:4,200円
学生:3,700円
小学生:2,200円
(取材・文 ライター:谷山ヒロト)
■関連サイト
リアル脱出ゲーム×ドラゴンクエスト『大魔王ゾーマからの脱出』
© 2012-2018 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
会社情報
- 会社名
- 株式会社スクウェア・エニックス
- 設立
- 2008年10月
- 代表者
- 代表取締役社長 桐生 隆司
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高2428億2400万円、営業利益275億4800万円、経常利益389億4300万円、最終利益280億9600万円(2023年3月期)