【決算説明資料より】ケイブ、第1四半期の営業損失は2.4億円と直近で最大に 新作『三極ジャスティス』振るわず 減価償却や広告宣伝費も重し



ケイブ<3760>が10月11日に発表した第1四半期(6-8月)の決算は厳しい内容となった。四半期ベースの赤字幅は2億円を超え、直近では最も大きい赤字幅となった。『三極ジャスティス』(以下、サンジャス)の収益が想定を下回っただけでなく、広告宣伝費と減価償却費の負担が増えたためだ。

まず、売上高を見ていくと、前四半期比(QonQ)で7.4%減の5億7700万円と減収となった。同社の開示した決算説明資料によると、6月にリリースした『サンジャス』の売上が想定に達しなかったことに加えて、その他スマートフォンゲームの売上が落ち込んだという。
 


営業損益については、前四半期2600万円の赤字から2億4600万円の赤字に拡大した。売上の落ち込みに加えて、『サンジャス』の減価償却費が発生したこと、リリース後の広告宣伝費が負担となった。費用を見ると、売上原価が61%増の3億6400万円、販売費及び一般管理費が9増の4億5900万円とそれぞれ増えた。
 
▲2010年3-5月以降、四半期ベースの営業損失は最大となった。


業績不振の一因となった『サンジャス』については、スタートこそ順調だったものの、ユーザーのプレイ継続率が低迷したとのことだった。7月にゲームバランスの調整、10月に大型アップデートを行ったうえで、11月以降も継続してゲーム内容の改善を行い、KPIの改善を図っていく。
 


主力タイトルの『ゴシックは魔法乙女~さっさと契約しなさい』(以下、ゴ魔乙)については、「シューティングゲーム」への原点回帰への第三弾として「スコアを競う楽しさのパワーアップ」をコンセプトに新機能を実装した。esportsを意識したアップデートが行われた。

【アップデート内容】
◆新ボス攻防の追加
◆スコアタレギュレーションの追加
◆「真少年編」ステージ一部リニューアル
◆コンボ上限の変更
◆チャンピオンシップ、複数ステージの総合大会機能の追加


『ゴ魔乙』については海外展開も行っている。韓国のKM BOX社を通じて、韓国語版を9月にリリースした。今後、韓国オリジナルイベントやオリジナル使い魔の登場が予定されているという。セールスランキングを見ると、Google Playで300位台、App Storeでは400~1200位で推移している。

 
【Google Play】



【App Store】
出所:AppAnnie


『サンジャス』については、10月5日に大型アップデートを実施した。新章【北関東戦役】の開幕と同時に、既存プレイヤー向け所属陣営の再選択ができるだけでなく、新規プレイヤー向けキャンペーンを実施したという(関連記事)。

【アップデート内容】
◆ダクシス陣営に、新秘書『ダッグ』追加&新戦術『オートマタ』『コンバート』を実装
◆カスミガセキ陣営に、新要塞機『蔵王』を実装
◆ヤオヨロズ陣営に、新武器『レールガン』を実装
◆各陣営のプレイヤーの階級名を変更
◆勢力報酬の分配方法を陣営ごとに変更
◆作戦制圧点の名称および集計方法を変更
◆各種UIおよび演出の変更


『ロード・オブ・ダンジョン』については、10月4日に大型アップデートを実施し、テコ入れを図っている。新機能「村デコ」を実装し経営機能を大幅に強化、村をデコレーションすることで集客や収益をアップすることができ、よりゴールド稼ぎの戦略性が向上したとのこと(関連記事)。
 


このほかのトピックスとして、韓国NGELGAMESの開発する新作ゲーム『デビルブック』の日本国内における独占配信契約を取得した。全世界に先駆けて日本国内向けに2019年初春サービスを配信する予定だ。「鉛筆で描いたようなグラフィック」と「セルアニメーション」が特徴のアクションMMORPGになる。『デビルブック』については、開発にあたったNGELGAMESのパク・ジフン代表と、スターターのクォン・サング代表にインタビューを行っているので、こちらも確認しただけると幸いだ(関連記事)。
 


ケイブといえば、シューティングゲームの会社というイメージが強いが、フィーチャフォンの公式コンテンツプロバイダーとして業績を伸ばし、大証ヘラクレス(当時)に上場した経緯がある(関連記事)。その後、PCオンラインゲーム『女神転生IMAGINE』、位置情報ゲーム『しろつく』、そして『ゴ魔乙』と主力サービスをリリースし、激変する環境の変化に柔軟に対応してきた。スマホゲーム市場が成熟化するなか、ケイブが今後、どのような方向性を歩んでいくのか、次の一手が注目される。
株式会社ケイブ
http://www.cave.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社ケイブ
設立
1994年6月
代表者
代表取締役社長 秋田 英好/代表取締役CFO 伊藤 裕章
決算期
5月
直近業績
売上高122億7400万円、営業利益18億7000万円、経常利益19億4300万円、最終利益14億4100万円(2024年5月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
3760
企業データを見る