LINE<3938>が展開する新たなゲームサービス「LINE QUICK GAME」。ネイティブアプリとは異なりHTML5で開発が行われているため、「LINE」上で即座にゲームがプレイでき、大容量のアプリインストールやダウンロードが発生しない、手軽さが最大の売りとなるサービスだ。
9月18日から正式オープンし、現在は、『LINEで発見!! たまごっち』や『探検ドリランド ブレイブハンターズ』、『釣り★スタ QUICK』、『にゃんこ防衛軍』そして11月に配信が始まった『koToro_ [コトロ]』など、既に9タイトルを配信している。そこで、Social Game Infoでは、LINE QUICK GAMEに携わる方々を対象に、全6回に渡ってインタビューおよび対談を実施。
いよいよ最終回となる今回は、LINEの河合孝俊氏にインタビュアーとなっていただき、チャット型シナリオゲーム『koToro_ [コトロ](以下、koToro_)』のシナリオコンテンツプラットフォームを開発したデジタルガレージ マーケティングテクノロジーカンパニーの林竜宏氏と中村太門氏、シナリオを制作したインディビジュアルの岩崎雅也氏をお招きして対談を実施。ゲーム内容の詳細や、開発時に苦労したポイント、今後の展開などについてもお話を伺っていただいた。
写真左から、
・林竜宏氏(デジタルガレージ マーケティングテクノロジーカンパニー)
・河合孝俊氏(LINE)
・中村太門氏(デジタルガレージ マーケティングテクノロジーカンパニー)
・岩崎雅也氏(インディビジュアル)
河合孝俊氏(以下、河合):まずは、過去の経歴を含めて皆さんの自己紹介をお願いします。
林竜宏氏(以下、林):デジタルガレージ マーケティングテクノロジーカンパニーのソリューション開発を担当するWebストラテジー部に所属しています。クライアント様の広告業務最適化のために技術開発を行うチームでプロデューサーを務めています。これまでは、広告代理店や人材派遣会社、アプリ開発会社に勤めた後、ゲーム企業でクリエイティブディレクターを担当していました。
中村太門氏(以下、中村):同じく、デジタルガレージ マーケティングテクノロジーカンパニーWebストラテジー部所属の中村太門です。金融機関のスマホアプリ制作を経て、現在は「LINE」に絡んだスマホアプリのディレクションを担当しています。過去には、国会議員の秘書をしていたこともありました。そこから転職してシステム開発に関わるようになり、スマホゲームの事業部を立ち上げた頃に岩崎さんと知り合いました。
岩崎雅也氏(以下、岩崎):インディビジュアルの岩崎と申します。弊社では、コンテンツ制作とシステム開発の2軸を主に運営しており、『koToro_』でもその両面からご協力させていただいています。2011年に女性向けモバイルコンテンツを配信する会社から独立、ゲームアプリの開発会社を立ち上げたのですが、その際に中村さんと知り合いました。そこから、2016年10月3日にインディビジュアルを設立しました。
河合:今回、林さんと中村さんには『koToro_』のコンテンツプラットフォームを開発いただき、岩崎さんにはシナリオを制作いただきました。まずは読者の方々に向けて、開発や制作の視点から、改めて『koToro_』がどういったゲームなのかをご紹介いただけますか。
林:簡単に言うと、「LINE」のトーク画面上で進行するノベルゲームです。ジャンルはミステリーで、「LINE QUICK GAME」のコアユーザー層でもある、10代をメインターゲットに想定しています。
物語としては、とある男女7人が、隔離された場所に閉じ込められ、そこで最後まで生き残って脱出できるかがテーマになっています。
中村:途中で選択肢が出現したり、7人を捕らえた者から逃げるミニゲームも遊べたりします。その結果次第で運命が分岐していき、その後の展開や結末が変化します。
河合:「LINE」のUIをフルに活用している点は、本作の最大の特徴でもありますが、お三方としては、ここからユーザーがどういう体験を得られると考えていますか?
林:『koToro_』では、"LINE to WEB"、"WEB to LINE"という様に、APIをフル活用して情報共有をしています。トーク画面上の指令でHTML5のゲームが起動し、その結果が「LINE」のトーク上に返ってきます。これにより、「LINE」という区切られた空間から、外への繋がり感じられるコンテンツになっています。トーク画面はユーザーも普段から見慣れている部分なので、より日常的な親近感や没入感も強く感じられ、ノベルゲームとしては存在感の強いものに仕上がっていると思います。
岩崎:どうしてもトーク画面上で物語を進行させたいというのは、我々がこだわったポイントのひとつです。一時は他社と同じように、HTML5を通してトークを再現するという手法も検討しましたが、最後まで我々はトーク画面上で作りたいと主張し続けました。
中村:WEB上で作るのであれば、実現可能な機能は増えます。音を出せたり、ビジュアルもリッチに表現できます。それを制限されたトーク上で展開するところに大変苦労しました。河合さんをはじめとしたLINEの皆さんの協力のおかげで、LINEならではの多様な新機能を実装できています。今では、トーク画面上でもできることは充分にあると感じています。
林:トーク画面にこだわった理由はもうひとつあります。読み物系のゲームは、RPGなどに比べてコンテンツの消費スピードが速くなりがちです。しかし、『koToro_』は「LINE」のトーク画面上で読めるという仕組みを提供するものなので、シナリオや画像を変えることでコンテンツを再現しやすいという点も非常に重要です。
河合:我々としても、『koToro_』から得られる没入感はプレイしてみないことには分からないくらい斬新だと考えています。「LINE」のトーク画面上で物語が展開するので、もしかして本当に起こっているのではないかという感覚に襲われますよね。
林:没入感についてもチャレンジでした。シナリオにしないといけないので、ただのチャットではないという点には注目してほしいです。読む側としては、相手はチャットBOTなので完全な会話形式で来ると分かっていると思いますが、会話形式のみで進めると情景を描くことが難しくなるんです。例えば、「お前の右手で俺の左頬を殴るのか!」とは発言させられませんから。
河合:それはその通りですね(笑)。
林:これが、小説やノベルゲームなど本来の読み物であれば「憤怒して力を込めて殴った」とト書きに書いて、会話を続けられるのですが、トークでこれを演出するのが難しかったです。
岩崎:実は、モックの段階では吹き出しで効果音を入れたりもしました。
中村:そんなバージョンもありましたね(笑)。ですが、そうして悩んで作り上げたものをLINEさんに認めていただき、画像や動画を添えられるようになったことで表現力も一段パワーアップしました。
林:今は、読み進める楽しさを絵でも動画でも表現できるようになったことで、飽きない読み物に仕上がっていると思います。
河合:ちなみに、『koToro_』の企画は、弊社の中田と中村さんが雑談を含めた会話がきっかけと聞きましたが、その時の詳しい経緯を教えていただいてもよいでしょうか。
中村:時期としては今からちょうど1年半前の冬ですね。中田さんとは、前職のゲーム事業で共に働いていたので個人的に繋がりがありました。
林:弊社でソリューション開発をしていく中で、お客様のニーズを聞いているだけでは本質的なものが作れないという話になりました。「もっと楽しいことをしよう」と思った際に、LINEさんのお力を借りたいと考えたんです。
中村:元々、我々は「LINE」を通じて金融会社向けのソリューションを作れないかと模索していました。それは、ユーザーの金融リテラシーを上げるためのソリューションが欲しいという相談があったからです。
林:なので、当時は「金娘(きんむす)」という金融に関するチャットBOTを作ろうとしていました(笑)。
中村:そこから紆余曲折を経て、リテラシーを高めるなら読み物が良いだろうという結論に至り、中田さんに相談させていただいたのが『koToro_』企画発足の経緯です。その後は河合さんも知っての通り、今の『koToro_』に至るまでに4本ほどモックを作りました。
林:最初は探偵ものからスタートして、弁護士ものも作りました。これはこれで面白い内容でしたよね。
中村:このネタは『koToro_2』まで温めておきましょう(笑)。
河合:弊社としても出したい気持ちはありますので、そのためにも、まずは『koToro_』の魅力をお届けしなければいけませんね。
林:読み物に至る経緯にも紆余曲折がありました。ターゲット層を「LINE QUICK GAME」と合わせるために、まずは自分たちが10代の頃に流行っていたものが何かを考え、ノベルゲームという発想に至りました。ですが、ただの読み物では活字に抵抗がある層に受け入れられないという懸念もあったため、ゲームとして何ができるかを考えていくうちに『koToro_』が誕生したんです。
岩崎:モックでいう3本目辺りからLINEさんの反応もかなり前向きになったように思います。
河合:正直な話をすると、当時、実際に1本目に作っていただいたモックを見たときは「これは駄目かもしれない」と思いました。LINE側の機能が揃っていなかったこともあり没入感が薄く、挿絵ひとつに関しても限られたUIの中でどのように組み込んでいくかを模索しているように見えたんです。その後、改良を経てだいぶ型が出来上がってきたと感じたのですが、それでもまだまだ厳しいとも思いました。ですが、その段階でチャットBOT機能を入れればもっと良いものができそうな余地が見えたので、BOT機能のサポート担当として色々とご提案させていただきました。
林:LINEさんとテクノロジーパートナーになった際、色々なAPIに触れさせていただけたことで、こちらもやれることが増えたんです。『koToro_』は、それらの機能をモックに活用することで洗練されていったのだと思います。なので、今の『koToro_』は「LINE」上で行えることが集約されたタイトルになっています。
岩崎:今の『koToro_』では、ひとつの公式アカウント内でBOTの名前とアイコンを変えられるようになっているのですが、これは当初の段階では実現不可能な機能でした。しかし、開発を経る中で実現できるようになっていて驚いたことを覚えています。
林:この機能が実装できたおかげで本当にグループチャットをしているような体験が得られるようになりました。
中村:開発自体は1年以上かかっていますし、お互いに使える技術が増えていきましたね。
岩崎:開発初期は、吹き出しの頭に発言しているキャラの名前を入れて、発言内容を「」で括ったりもしていました。今にして思うと、見た目にも粗が目立っていたと思います。
中村:ユーザーは、こういった読み物を色々なアプリで既に体験されていますし、従来の形から外れすぎても没入感が無くなってしまうという懸念もありました。その差異を軽減しつつ、新しい型をどう作っていくかは今も模索し続けています。
岩崎:クイックリプライという機能があるのですが、この機能のおかげで、見た目がかなり洗練されました。これまで自分の発言をする際にかなり大きいUIが表示されていたのですが、クイックリプライで簡略化できたおかげでトーク画面がすっきりしました。
林:こうしたら使える!と発見したのが夜中3時くらいでしたが、LINEさんにもご協力いただいたおかげで、一気に実装まで漕ぎつけられました。
中村:より自然なトーク画面に見えるので、没入感はさらに上がったと思います。
河合:「LINE」のBOT機能については、各社のエンジニアには知られていても、一般的に普及していないものが多いんです。今回は、それらの機能をコンテンツとして昇華しているので、遊んだ方にも新鮮な驚きがあるはずです。また、これらの機能が周知されることで「こういったことをしてみたい」と思われる企業様もいらっしゃると思います。
林:アイコンスイッチ機能も含め、『koToro_』のUIは新しいので、ユーザーにとって馴染みのない部分もあるかもしれませんが、そこも含めて新しい体験だと思っています。まずは、「LINE」のプラットフォーム上で「こんなことができるんだ!」と驚いてほしいです。
河合:モックや本番の開発段階を確認しながら、弊社からも様々な要望を出させていただきましたが、ここは譲れなかったというポイントや特に気を配ったポイントはどこですか?
岩崎:トーク画面上で物語を進行させるうえでは、よりグループチャットが展開されているように見えるようにするため、人は何秒でこの発言を入力できるか、という点について時間をかけて考察していました。「はい」という返事だけなら即答できるけど、これだけ長い返信を送るなら10秒はかかるよねという具合です。そこで色々と試してはみたのですが、これについては最終的にユーザー側で選べるようにしました。
中村:LINEさんで社内アンケートを取っていただいた際も、「早すぎる」、「遅すぎる」という回答が人によってまちまちなので、こちらでコントロールするより、速度を3段階に分けて選択していただく形式の方が良いと判断したんです。
林:僕の方は、特に気を配っていた点として「やれたらいいな」という想いを先行させて、どうすればそれを実現できるかを考えてきました。検証をしながら何度も作り直していたので、この作業が一番大変でした。
岩崎:でも、動画が全面で出せるようになったのはその努力のおかげです。開発初期は、動画をトーク画面上に置くことしかできず、小さい画面のまま見ることしかできませんでした。次に、動画は横表示にしていましたが、ゲームへの没入感を保つために縦表示に変更しました。
ただ、縦画面で動画を作るとなると、どのサイズが最適なのか、文字の表示領域は合っているかという点も気にしないといけません。視線が上下に散ると見辛くなるので、自然に読めるような文字の置き方を意識しています。
中村:逆に、河合さんはどういった点にこだわって意見を出していただけていたのですか?
河合:僕はプロジェクトを進める中で「正直に言うこと」をポリシーにしていました。皆さんは、年齢的にも経歴的にも大先輩ですが、例えばアンケートの中に辛辣な意見があっても正直にお伝えさせていただきました。皆さん、そうした意見も吸収して前向きに受け止めてくださったうえで、ここは改善すべきという点と、信念だから変えられない、という点を振り分けていただけたので、本当に良いチームだと思っています。
中村:その点に関しては、こちらも感謝しています。社内アンケートの結果やAPIについてとことん教えていただけるので、こちらも正直に対応しやすいです。一緒にお仕事をしてみて、我々はどういうチームに見えましたか?
河合:あくまでも僕個人の印象ですが、ゲームの事前登録などでも「LINE」の機能をとても上手に使われていて、社内スタッフより「LINE」の機能に詳しいのではないかという印象があります。
あとは、チャットBOTの機能についてはこちらからお教えすることが多いのですが、『koToro_』の開発では逆に林さんから教えていただくこともありました。マーケティング的なブラッシュアップは、このチームだからできたことだと思います。
林:どんな機能があるか知っているからこそ『koToro_』でやりたいことが尽きなかったんだと思います。ユーザーのニーズと企業のニーズを、LINEさんとはまた違った目線で預かってきた立場でしたので、そこで得たものや感じたことを、このコンテンツに活かしたいと考えていました。
河合:では、逆にデジタルガレージさんとインディビジュアルさんから見たLINEの印象はいかがですか?
中村:前職での経験から、以前はLINEさんとコンテンツを作るのはハードルが高いという印象がありましたが、このチームでは全然違っていました。先ほども話されていたように、APIを含めて色々なことを隠さずオープンにしていただけるので、とても開発しやすい環境だと感じました。
岩崎:弊社とは比べ物にならない位の大企業でありながら、我々からの意見もしっかりと聞いていただけるのは嬉しいです。一緒に開発を進めていても、良いものを作ろうという意識をしっかりと共有していただけるので凄く組みやすかったです。
河合:そんな中で最も大変だと感じたのはどの部分でしょうか?
岩崎:私個人としては、やはりシナリオの執筆です。今回、男性主人公と女性主人公の2パターンのシナリオを用意しています。大まかな話の流れは一緒ですが、男性と女性でそれぞれにどういったことを考えているかという点で大きく違っています。出現する選択肢も異なりますので、ある場面では男性版でしか知り得ない真実があったり、それを知っていることで女性版をプレイした際の理解が深まるという造りになっています。そうした相互作用の調整には大変苦労しました。
河合:確かに、かなりボリュームがあって読み応えのあるシナリオになりましたね。
岩崎:新たにノウハウを積み上げながら進めてきたのですが、これだけの量のテキストを執筆したのは初めてなので良い経験になりました。
河合:『koToro_』では実写のシーンも登場することから、今田美桜さんをはじめとしたタレントの起用を提案させていただきましたが、これについてはいかがですか?
林:今田美桜さんになりきって遊べるというのは、没入感を高める意味でも強みになるはずです。主人公の名前も変更可能で、トーク画面にはちゃんと付けた名前が反映されます。ただ、表示される画像は今田さんなので、あたかも自分が今田さんになったかのような感覚を味わえます。これは10代の女性にとって魅力的な要素になると思います。
中村:10代女子に興味を持ってもらうという意味では、これ以上ないキャスティングだと思います。こちらとしても、かなり具体的なご提案をいただけて非常に嬉しかったです。
【関連記事】
・【発表会】「LINE」のトーク上で遊べる新感覚ミステリー『koToro_[コトロ]』が本日よりサービス開始…女優の今田美桜さんが初主演
林:コンテンツを受け入れてもらうには、認知と共感が重要です。企画が動き出した段階の『koToro_』では、その部分が弱かったと思います。今田さんという認知・共感を得られるモチーフを得られたことで、より楽しんでもらえるコンテンツに昇華できたのではないでしょうか。タレントの起用は我々も熱望していたところですが、今田さんを提案していただけたのは、期待をしていただいているという表れだと感じました。
中村:実は、タレントの起用はもっと先の展開になると考えていました。まずは、今回『koToro_』をリリースすることで世の中の方々に認知していただき、ノウハウを溜めながら2作目や3作目でそうして展開を実施して大きく広げていこうというプランを持っていたんです。それが、1作目からいきなりここまでやらせていただけたので、その期待に応えないといけないというプレッシャーはあります。
河合:撮影当日も朝の6時から始めて夜中0時までかかっていて、結果的にショートムービーを1本作れるほどのカットとコンテが入っていますよね。
岩崎:今まで文字だけだったところに写真が投稿されるだけでなく、物語のハイライトとして動画も入ったことで、かなりリッチな方向へと進化しました。
林:今田さんだけでなく、他にも美男美女の魅力的な方々が出演されていますので、それぞれの苦悩や喜びなど文字だけでは表現できない部分を絵で見せられるようになったことは大きいです。
中村:ちなみに、何故タレントの起用を快諾していただけたのでしょうか?
河合:「LINE QUICK GAME」は、手軽さが特徴のプラットフォームとして、気になったらすぐに遊べることが強みもまっています。なので、フックになる要素が多いことが重要だと僕は考えています。その一環として、タレントの起用という施策は非常に強力です。これを機に「LINE QUICK GAME」のユーザー数が増えれば、そこから他のゲームに繋がっていくことも期待できますし、本サービスにとっても大きな試みです。
中村:将来的には、こうしたタイトルを2本、3本と作っていきたいので、『koToro_』以外への遷移だけでなく、『koToro_』内でも繋がっていくことができれば、いつかひとつの大きな本棚ができあがるかもしれません。
河合:『koToro_』が生み出した型は、将来的にも様々なものが乗ることで初めて形になるジャンルだと思いますので、まずは多くの方に見ていただいて、様々な作品にチャレンジしていきたいですね。
では、最後に読者の皆様にメッセージをお願いします。
中村:我々は『koToro_』を1本配信して終わらせるつもりはありません。今後も新たな物語体験を作り続けていきたいと考えておりますので、そのためにも一緒にコンテンツを作っていただけるパートナーさんを募集しています。もし、『koToro_』から何かを感じていただけることがありましたら「LINE QUICK GAME」というプラットフォームで一緒に新しいジャンルを作り上げていきましょう。
河合:『koToro_』は新しいことに挑戦しているタイトルなので、この作品を見たときに「自分の会社ならもっとこんなことができる!」と思う人は多いはずです。もちろん、技術的なサポートに関しては弊社からもさせていただきます。
岩崎:今の「LINE」、ないしはチャットBOTのAPIについては、大よそ1年の開発を経たことで我々は何でも知っていると言っても過言ではありません。シナリオについても1年という時間をかけて練りに練って試行錯誤してきましたので、心ゆくまで『koToro_』を楽しんでいただきたいです。
林:皆さんには、『koToro_』から色々な可能性を感じていただき、そこから生まれたご意見を吸収することで、さらに昇華させていきたいと思っています。まずは手に取っていただき、『koToro_』の世界を存分に楽しんでください。
河合:本日はありがとうございました。
9月18日から正式オープンし、現在は、『LINEで発見!! たまごっち』や『探検ドリランド ブレイブハンターズ』、『釣り★スタ QUICK』、『にゃんこ防衛軍』そして11月に配信が始まった『koToro_ [コトロ]』など、既に9タイトルを配信している。そこで、Social Game Infoでは、LINE QUICK GAMEに携わる方々を対象に、全6回に渡ってインタビューおよび対談を実施。
いよいよ最終回となる今回は、LINEの河合孝俊氏にインタビュアーとなっていただき、チャット型シナリオゲーム『koToro_ [コトロ](以下、koToro_)』のシナリオコンテンツプラットフォームを開発したデジタルガレージ マーケティングテクノロジーカンパニーの林竜宏氏と中村太門氏、シナリオを制作したインディビジュアルの岩崎雅也氏をお招きして対談を実施。ゲーム内容の詳細や、開発時に苦労したポイント、今後の展開などについてもお話を伺っていただいた。
写真左から、
・林竜宏氏(デジタルガレージ マーケティングテクノロジーカンパニー)
・河合孝俊氏(LINE)
・中村太門氏(デジタルガレージ マーケティングテクノロジーカンパニー)
・岩崎雅也氏(インディビジュアル)
■トーク画面で読み進める”新感覚デジタルノベル”
河合孝俊氏(以下、河合):まずは、過去の経歴を含めて皆さんの自己紹介をお願いします。
林竜宏氏(以下、林):デジタルガレージ マーケティングテクノロジーカンパニーのソリューション開発を担当するWebストラテジー部に所属しています。クライアント様の広告業務最適化のために技術開発を行うチームでプロデューサーを務めています。これまでは、広告代理店や人材派遣会社、アプリ開発会社に勤めた後、ゲーム企業でクリエイティブディレクターを担当していました。
中村太門氏(以下、中村):同じく、デジタルガレージ マーケティングテクノロジーカンパニーWebストラテジー部所属の中村太門です。金融機関のスマホアプリ制作を経て、現在は「LINE」に絡んだスマホアプリのディレクションを担当しています。過去には、国会議員の秘書をしていたこともありました。そこから転職してシステム開発に関わるようになり、スマホゲームの事業部を立ち上げた頃に岩崎さんと知り合いました。
岩崎雅也氏(以下、岩崎):インディビジュアルの岩崎と申します。弊社では、コンテンツ制作とシステム開発の2軸を主に運営しており、『koToro_』でもその両面からご協力させていただいています。2011年に女性向けモバイルコンテンツを配信する会社から独立、ゲームアプリの開発会社を立ち上げたのですが、その際に中村さんと知り合いました。そこから、2016年10月3日にインディビジュアルを設立しました。
河合:今回、林さんと中村さんには『koToro_』のコンテンツプラットフォームを開発いただき、岩崎さんにはシナリオを制作いただきました。まずは読者の方々に向けて、開発や制作の視点から、改めて『koToro_』がどういったゲームなのかをご紹介いただけますか。
林:簡単に言うと、「LINE」のトーク画面上で進行するノベルゲームです。ジャンルはミステリーで、「LINE QUICK GAME」のコアユーザー層でもある、10代をメインターゲットに想定しています。
物語としては、とある男女7人が、隔離された場所に閉じ込められ、そこで最後まで生き残って脱出できるかがテーマになっています。
中村:途中で選択肢が出現したり、7人を捕らえた者から逃げるミニゲームも遊べたりします。その結果次第で運命が分岐していき、その後の展開や結末が変化します。
河合:「LINE」のUIをフルに活用している点は、本作の最大の特徴でもありますが、お三方としては、ここからユーザーがどういう体験を得られると考えていますか?
林:『koToro_』では、"LINE to WEB"、"WEB to LINE"という様に、APIをフル活用して情報共有をしています。トーク画面上の指令でHTML5のゲームが起動し、その結果が「LINE」のトーク上に返ってきます。これにより、「LINE」という区切られた空間から、外への繋がり感じられるコンテンツになっています。トーク画面はユーザーも普段から見慣れている部分なので、より日常的な親近感や没入感も強く感じられ、ノベルゲームとしては存在感の強いものに仕上がっていると思います。
岩崎:どうしてもトーク画面上で物語を進行させたいというのは、我々がこだわったポイントのひとつです。一時は他社と同じように、HTML5を通してトークを再現するという手法も検討しましたが、最後まで我々はトーク画面上で作りたいと主張し続けました。
中村:WEB上で作るのであれば、実現可能な機能は増えます。音を出せたり、ビジュアルもリッチに表現できます。それを制限されたトーク上で展開するところに大変苦労しました。河合さんをはじめとしたLINEの皆さんの協力のおかげで、LINEならではの多様な新機能を実装できています。今では、トーク画面上でもできることは充分にあると感じています。
林:トーク画面にこだわった理由はもうひとつあります。読み物系のゲームは、RPGなどに比べてコンテンツの消費スピードが速くなりがちです。しかし、『koToro_』は「LINE」のトーク画面上で読めるという仕組みを提供するものなので、シナリオや画像を変えることでコンテンツを再現しやすいという点も非常に重要です。
河合:我々としても、『koToro_』から得られる没入感はプレイしてみないことには分からないくらい斬新だと考えています。「LINE」のトーク画面上で物語が展開するので、もしかして本当に起こっているのではないかという感覚に襲われますよね。
林:没入感についてもチャレンジでした。シナリオにしないといけないので、ただのチャットではないという点には注目してほしいです。読む側としては、相手はチャットBOTなので完全な会話形式で来ると分かっていると思いますが、会話形式のみで進めると情景を描くことが難しくなるんです。例えば、「お前の右手で俺の左頬を殴るのか!」とは発言させられませんから。
河合:それはその通りですね(笑)。
林:これが、小説やノベルゲームなど本来の読み物であれば「憤怒して力を込めて殴った」とト書きに書いて、会話を続けられるのですが、トークでこれを演出するのが難しかったです。
岩崎:実は、モックの段階では吹き出しで効果音を入れたりもしました。
中村:そんなバージョンもありましたね(笑)。ですが、そうして悩んで作り上げたものをLINEさんに認めていただき、画像や動画を添えられるようになったことで表現力も一段パワーアップしました。
林:今は、読み進める楽しさを絵でも動画でも表現できるようになったことで、飽きない読み物に仕上がっていると思います。
■「LINE」の機能を余すことなく活用
河合:ちなみに、『koToro_』の企画は、弊社の中田と中村さんが雑談を含めた会話がきっかけと聞きましたが、その時の詳しい経緯を教えていただいてもよいでしょうか。
中村:時期としては今からちょうど1年半前の冬ですね。中田さんとは、前職のゲーム事業で共に働いていたので個人的に繋がりがありました。
林:弊社でソリューション開発をしていく中で、お客様のニーズを聞いているだけでは本質的なものが作れないという話になりました。「もっと楽しいことをしよう」と思った際に、LINEさんのお力を借りたいと考えたんです。
中村:元々、我々は「LINE」を通じて金融会社向けのソリューションを作れないかと模索していました。それは、ユーザーの金融リテラシーを上げるためのソリューションが欲しいという相談があったからです。
林:なので、当時は「金娘(きんむす)」という金融に関するチャットBOTを作ろうとしていました(笑)。
中村:そこから紆余曲折を経て、リテラシーを高めるなら読み物が良いだろうという結論に至り、中田さんに相談させていただいたのが『koToro_』企画発足の経緯です。その後は河合さんも知っての通り、今の『koToro_』に至るまでに4本ほどモックを作りました。
林:最初は探偵ものからスタートして、弁護士ものも作りました。これはこれで面白い内容でしたよね。
中村:このネタは『koToro_2』まで温めておきましょう(笑)。
河合:弊社としても出したい気持ちはありますので、そのためにも、まずは『koToro_』の魅力をお届けしなければいけませんね。
林:読み物に至る経緯にも紆余曲折がありました。ターゲット層を「LINE QUICK GAME」と合わせるために、まずは自分たちが10代の頃に流行っていたものが何かを考え、ノベルゲームという発想に至りました。ですが、ただの読み物では活字に抵抗がある層に受け入れられないという懸念もあったため、ゲームとして何ができるかを考えていくうちに『koToro_』が誕生したんです。
岩崎:モックでいう3本目辺りからLINEさんの反応もかなり前向きになったように思います。
河合:正直な話をすると、当時、実際に1本目に作っていただいたモックを見たときは「これは駄目かもしれない」と思いました。LINE側の機能が揃っていなかったこともあり没入感が薄く、挿絵ひとつに関しても限られたUIの中でどのように組み込んでいくかを模索しているように見えたんです。その後、改良を経てだいぶ型が出来上がってきたと感じたのですが、それでもまだまだ厳しいとも思いました。ですが、その段階でチャットBOT機能を入れればもっと良いものができそうな余地が見えたので、BOT機能のサポート担当として色々とご提案させていただきました。
林:LINEさんとテクノロジーパートナーになった際、色々なAPIに触れさせていただけたことで、こちらもやれることが増えたんです。『koToro_』は、それらの機能をモックに活用することで洗練されていったのだと思います。なので、今の『koToro_』は「LINE」上で行えることが集約されたタイトルになっています。
岩崎:今の『koToro_』では、ひとつの公式アカウント内でBOTの名前とアイコンを変えられるようになっているのですが、これは当初の段階では実現不可能な機能でした。しかし、開発を経る中で実現できるようになっていて驚いたことを覚えています。
林:この機能が実装できたおかげで本当にグループチャットをしているような体験が得られるようになりました。
中村:開発自体は1年以上かかっていますし、お互いに使える技術が増えていきましたね。
岩崎:開発初期は、吹き出しの頭に発言しているキャラの名前を入れて、発言内容を「」で括ったりもしていました。今にして思うと、見た目にも粗が目立っていたと思います。
中村:ユーザーは、こういった読み物を色々なアプリで既に体験されていますし、従来の形から外れすぎても没入感が無くなってしまうという懸念もありました。その差異を軽減しつつ、新しい型をどう作っていくかは今も模索し続けています。
岩崎:クイックリプライという機能があるのですが、この機能のおかげで、見た目がかなり洗練されました。これまで自分の発言をする際にかなり大きいUIが表示されていたのですが、クイックリプライで簡略化できたおかげでトーク画面がすっきりしました。
林:こうしたら使える!と発見したのが夜中3時くらいでしたが、LINEさんにもご協力いただいたおかげで、一気に実装まで漕ぎつけられました。
中村:より自然なトーク画面に見えるので、没入感はさらに上がったと思います。
河合:「LINE」のBOT機能については、各社のエンジニアには知られていても、一般的に普及していないものが多いんです。今回は、それらの機能をコンテンツとして昇華しているので、遊んだ方にも新鮮な驚きがあるはずです。また、これらの機能が周知されることで「こういったことをしてみたい」と思われる企業様もいらっしゃると思います。
林:アイコンスイッチ機能も含め、『koToro_』のUIは新しいので、ユーザーにとって馴染みのない部分もあるかもしれませんが、そこも含めて新しい体験だと思っています。まずは、「LINE」のプラットフォーム上で「こんなことができるんだ!」と驚いてほしいです。
■ポリシーは遠慮のないコミュニケーション
河合:モックや本番の開発段階を確認しながら、弊社からも様々な要望を出させていただきましたが、ここは譲れなかったというポイントや特に気を配ったポイントはどこですか?
岩崎:トーク画面上で物語を進行させるうえでは、よりグループチャットが展開されているように見えるようにするため、人は何秒でこの発言を入力できるか、という点について時間をかけて考察していました。「はい」という返事だけなら即答できるけど、これだけ長い返信を送るなら10秒はかかるよねという具合です。そこで色々と試してはみたのですが、これについては最終的にユーザー側で選べるようにしました。
中村:LINEさんで社内アンケートを取っていただいた際も、「早すぎる」、「遅すぎる」という回答が人によってまちまちなので、こちらでコントロールするより、速度を3段階に分けて選択していただく形式の方が良いと判断したんです。
林:僕の方は、特に気を配っていた点として「やれたらいいな」という想いを先行させて、どうすればそれを実現できるかを考えてきました。検証をしながら何度も作り直していたので、この作業が一番大変でした。
岩崎:でも、動画が全面で出せるようになったのはその努力のおかげです。開発初期は、動画をトーク画面上に置くことしかできず、小さい画面のまま見ることしかできませんでした。次に、動画は横表示にしていましたが、ゲームへの没入感を保つために縦表示に変更しました。
ただ、縦画面で動画を作るとなると、どのサイズが最適なのか、文字の表示領域は合っているかという点も気にしないといけません。視線が上下に散ると見辛くなるので、自然に読めるような文字の置き方を意識しています。
中村:逆に、河合さんはどういった点にこだわって意見を出していただけていたのですか?
河合:僕はプロジェクトを進める中で「正直に言うこと」をポリシーにしていました。皆さんは、年齢的にも経歴的にも大先輩ですが、例えばアンケートの中に辛辣な意見があっても正直にお伝えさせていただきました。皆さん、そうした意見も吸収して前向きに受け止めてくださったうえで、ここは改善すべきという点と、信念だから変えられない、という点を振り分けていただけたので、本当に良いチームだと思っています。
中村:その点に関しては、こちらも感謝しています。社内アンケートの結果やAPIについてとことん教えていただけるので、こちらも正直に対応しやすいです。一緒にお仕事をしてみて、我々はどういうチームに見えましたか?
河合:あくまでも僕個人の印象ですが、ゲームの事前登録などでも「LINE」の機能をとても上手に使われていて、社内スタッフより「LINE」の機能に詳しいのではないかという印象があります。
あとは、チャットBOTの機能についてはこちらからお教えすることが多いのですが、『koToro_』の開発では逆に林さんから教えていただくこともありました。マーケティング的なブラッシュアップは、このチームだからできたことだと思います。
林:どんな機能があるか知っているからこそ『koToro_』でやりたいことが尽きなかったんだと思います。ユーザーのニーズと企業のニーズを、LINEさんとはまた違った目線で預かってきた立場でしたので、そこで得たものや感じたことを、このコンテンツに活かしたいと考えていました。
河合:では、逆にデジタルガレージさんとインディビジュアルさんから見たLINEの印象はいかがですか?
中村:前職での経験から、以前はLINEさんとコンテンツを作るのはハードルが高いという印象がありましたが、このチームでは全然違っていました。先ほども話されていたように、APIを含めて色々なことを隠さずオープンにしていただけるので、とても開発しやすい環境だと感じました。
岩崎:弊社とは比べ物にならない位の大企業でありながら、我々からの意見もしっかりと聞いていただけるのは嬉しいです。一緒に開発を進めていても、良いものを作ろうという意識をしっかりと共有していただけるので凄く組みやすかったです。
河合:そんな中で最も大変だと感じたのはどの部分でしょうか?
岩崎:私個人としては、やはりシナリオの執筆です。今回、男性主人公と女性主人公の2パターンのシナリオを用意しています。大まかな話の流れは一緒ですが、男性と女性でそれぞれにどういったことを考えているかという点で大きく違っています。出現する選択肢も異なりますので、ある場面では男性版でしか知り得ない真実があったり、それを知っていることで女性版をプレイした際の理解が深まるという造りになっています。そうした相互作用の調整には大変苦労しました。
河合:確かに、かなりボリュームがあって読み応えのあるシナリオになりましたね。
岩崎:新たにノウハウを積み上げながら進めてきたのですが、これだけの量のテキストを執筆したのは初めてなので良い経験になりました。
■今田美桜さん起用で飛躍する没入感と集客力
河合:『koToro_』では実写のシーンも登場することから、今田美桜さんをはじめとしたタレントの起用を提案させていただきましたが、これについてはいかがですか?
林:今田美桜さんになりきって遊べるというのは、没入感を高める意味でも強みになるはずです。主人公の名前も変更可能で、トーク画面にはちゃんと付けた名前が反映されます。ただ、表示される画像は今田さんなので、あたかも自分が今田さんになったかのような感覚を味わえます。これは10代の女性にとって魅力的な要素になると思います。
中村:10代女子に興味を持ってもらうという意味では、これ以上ないキャスティングだと思います。こちらとしても、かなり具体的なご提案をいただけて非常に嬉しかったです。
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林:コンテンツを受け入れてもらうには、認知と共感が重要です。企画が動き出した段階の『koToro_』では、その部分が弱かったと思います。今田さんという認知・共感を得られるモチーフを得られたことで、より楽しんでもらえるコンテンツに昇華できたのではないでしょうか。タレントの起用は我々も熱望していたところですが、今田さんを提案していただけたのは、期待をしていただいているという表れだと感じました。
中村:実は、タレントの起用はもっと先の展開になると考えていました。まずは、今回『koToro_』をリリースすることで世の中の方々に認知していただき、ノウハウを溜めながら2作目や3作目でそうして展開を実施して大きく広げていこうというプランを持っていたんです。それが、1作目からいきなりここまでやらせていただけたので、その期待に応えないといけないというプレッシャーはあります。
河合:撮影当日も朝の6時から始めて夜中0時までかかっていて、結果的にショートムービーを1本作れるほどのカットとコンテが入っていますよね。
岩崎:今まで文字だけだったところに写真が投稿されるだけでなく、物語のハイライトとして動画も入ったことで、かなりリッチな方向へと進化しました。
林:今田さんだけでなく、他にも美男美女の魅力的な方々が出演されていますので、それぞれの苦悩や喜びなど文字だけでは表現できない部分を絵で見せられるようになったことは大きいです。
中村:ちなみに、何故タレントの起用を快諾していただけたのでしょうか?
河合:「LINE QUICK GAME」は、手軽さが特徴のプラットフォームとして、気になったらすぐに遊べることが強みもまっています。なので、フックになる要素が多いことが重要だと僕は考えています。その一環として、タレントの起用という施策は非常に強力です。これを機に「LINE QUICK GAME」のユーザー数が増えれば、そこから他のゲームに繋がっていくことも期待できますし、本サービスにとっても大きな試みです。
中村:将来的には、こうしたタイトルを2本、3本と作っていきたいので、『koToro_』以外への遷移だけでなく、『koToro_』内でも繋がっていくことができれば、いつかひとつの大きな本棚ができあがるかもしれません。
河合:『koToro_』が生み出した型は、将来的にも様々なものが乗ることで初めて形になるジャンルだと思いますので、まずは多くの方に見ていただいて、様々な作品にチャレンジしていきたいですね。
では、最後に読者の皆様にメッセージをお願いします。
中村:我々は『koToro_』を1本配信して終わらせるつもりはありません。今後も新たな物語体験を作り続けていきたいと考えておりますので、そのためにも一緒にコンテンツを作っていただけるパートナーさんを募集しています。もし、『koToro_』から何かを感じていただけることがありましたら「LINE QUICK GAME」というプラットフォームで一緒に新しいジャンルを作り上げていきましょう。
河合:『koToro_』は新しいことに挑戦しているタイトルなので、この作品を見たときに「自分の会社ならもっとこんなことができる!」と思う人は多いはずです。もちろん、技術的なサポートに関しては弊社からもさせていただきます。
岩崎:今の「LINE」、ないしはチャットBOTのAPIについては、大よそ1年の開発を経たことで我々は何でも知っていると言っても過言ではありません。シナリオについても1年という時間をかけて練りに練って試行錯誤してきましたので、心ゆくまで『koToro_』を楽しんでいただきたいです。
林:皆さんには、『koToro_』から色々な可能性を感じていただき、そこから生まれたご意見を吸収することで、さらに昇華させていきたいと思っています。まずは手に取っていただき、『koToro_』の世界を存分に楽しんでください。
河合:本日はありがとうございました。
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(取材・文 ライター:宮居春馬)
(取材・編集 編集部:山岡広樹)
(撮影:SYN.product+林孝典)
(取材・編集 編集部:山岡広樹)
(撮影:SYN.product+林孝典)
会社情報
- 会社名
- LINE株式会社
- 設立
- 2019年12月
- 代表者
- 代表取締役社長 出澤 剛/代表取締役 慎 ジュンホ