【インタビュー】その成果は6倍以上…世界観を落とし込んだマーケティングである『ハロースイートデイズ』×「Simeji」のコラボに迫る

ココネが運営する『ハロースイートデイズ』は、ハローキティやマイメロディ、リトルツインスターズといったサンリオキャラクターが登場し、会話を楽しんだり、洋服や部屋のコーディネートができる作品だ。サンリオキャラクターの人気、そしてココネが『ポケコロ』から培ってきたノウハウも相まって、女性層を中心に支持を得ている。

すでにTVCMなど多彩なプロモーション展開を見せているが、新たな取組として2019年3月に実施されたのが、バイドゥが提供するキーボードアプリ「Simeji」とのコラボレーションだ。このコラボでは、特定のミッションをクリアするとオリジナルのキーボードデザインが入手でき、この9月には第2弾も実施された。

今回は、ココネ、バイドゥの担当者にインタビューを実施。コラボレーションに至った経緯や、ユーザーからの反響を聞いた。


バイドゥ
プロダクト事業部
古谷由宇氏(写真左)

ココネ
マーケティング室 室長
佐野孝行氏(写真右)

■「Simeji」コラボは新しいマーケティング手法


――本日はよろしくお願いします。まず、お二人が普段携わっている業務について教えてください。

佐野氏:ココネには2017年に入社しまして、はじめは国内のサービスを見ていました。そして2019年の7月からマーケティングに携わるようになりました。元々はエンジニアで、物事をロジカルに組み立てることが得意だったんです。サービスの流れを組み立てるとき、その入口はマーケティングであり、こちらに注力するようになった経緯があります。

古谷氏:私は昨年の7月にバイドゥへジョインしまして、最初はPMとして活動していました。2019年の1月に入ってから広告を販売する部署に移り、「Simeji」を介したIPきせかえに取り組んでいます。またアンケートを通じたユーザー調査、プロモーションなども担当しています。


――今回はココネさんの『ハロースイートデイズ』と「Simeji」のコラボレーションに関してお伺いしたいのですが、それぞれのアプリがどういった内容なのか、改めて教えてもらえますか。

佐野氏:『ハロースイートデイズ』は弊社の主力タイトルである『ポケコロ』に近く、インテリアとファンションアイテムを集めて着飾るサービスのサンリオキャラクター版という位置づけです。特徴としては、『ハロースイートデイズ』内にある「スマイルタウン」にサンリオキャラクターが暮らしており、そこで何気ないお話をしたり、お手伝いをしたりと、コミュニケーションが楽しめます。

古谷氏:「Simeji」はいわゆるキーボードアプリで、きせかえや顔文字、クラウド超変換など独自の機能を多く備えています。嬉しいことに8月4日に3,700万ダウンロードを達成しまして、未だにユーザー数がしっかり伸びているところです。



――なるほど。今回は両社がコラボレーションすることになった経緯をお聞きしたいのですが、その前に、昨今のスマートフォンアプリ市場について、変化や傾向を感じることはありますか?

佐野氏:最近だと海外タイトルが増えてきて、アプリに対するお客様に対する感覚が、1人で遊ぶものから他の人と時間を共有するものへとシフトしてきたと感じます。特にFPSタイトルで、スキンだけで大きなヒットを勝ち取っている作品が見受けられて、着せ替えサービスを作っている私達としては危機感を覚えますね。

『ハロースイートデイズ』のような、女性向けのキャラクターをコーディネートする作品は現状だと海外勢力の強さを感じませんが、同時に時間の問題とも思っています。女性向けの作品も、今のうちから新しい形を模索しなければいけません。

古谷氏:私が感じるのはスーパーカジュアルゲームの台頭です。ゲームを今まで遊ばなかった人でも、ゲームに対するハードルが下がってきているのは間違いありません。またランキング上位のアプリを見てみると、いろいろなIPとのコラボを積極的に行っている印象があります。


――では、マーケティングという観点での変化はなにか感じますか?

佐野氏:新規獲得が年々難しくなっているのは感じます。単純にCMを放映しても獲得できなくなってきて、お客様にとって広告が”当たり前”になってしまっているのかなと思います。Webマーケティングに関しても獲得単価が上がっており、従来のやり方だけだとどんどん苦しくなっていくでしょう。逆に私の立場からすると、企画のやりがいがあるというか、企画力で勝負する世界になってきた感覚がありますね。マーケッターとして、楽しむ心を大切にしなければいけないのが最近の傾向と言えます。

古谷氏:いろいろな会社さんから話を伺う中で、「打つ手がない」といったお話が多いです。リアルイベントやイラスト展、アニメ化などあの手この手でプロモーションを仕掛けて、もちろん成功するアプリもあれば、依然として厳しい状況にあるアプリも存在します。「これをやったら絶対正解」という手法がないんです。

佐野氏:今までと同じ手法だと徐々に徐々にユーザー数が減っていき、そうなると今度は予算も減るという、ジリ貧の状況に陥ってしまうんです。その中でヒットが求められるので、一発必中の業界と言えます。


――CMを放映するというお話もありましたが、ココネさんとしては今までどんなマーケティング手法を取ってきたのでしょう。

佐野氏:TVCMはもちろんですし、Webプロモーションにコラボやタイアップ、アプリ業界で行われていることは一通りやってきましたね。あと弊社には、お客様一人ひとりを見る文化があり、定期的にサービスをご利用いただいているお客様をお招きして、意見や要望をヒアリングする機会を作っています。会社とお客様との距離を縮める、いわゆるコミュニティマネージメントにも力を入れてきました。

――コミュニティマネージメントが、マーケティングのヒントになることも?

佐野氏:刺激を受ける機会は多いですね。既存のお客様がどんなことを考えているのか、また、どんなところにお客様がいるのか、実際の声をもとに知れるので、とても勉強になります。

――「Simeji」とのコラボレーションもマーケティングの一環だと思います。こちらはどのような経緯で実現したのですか?

佐野氏:最初のきっかけまで遡ると、サンリオさんから「こういった取り組みどうですか?」と「Simeji」とのコラボを提案されたのが始まりです。そのときから新規獲得が難しくなっているのは肌で感じており、新しいチャレンジに踏み出したいタイミングでもありました。そこに、私たちが考えていなかった取り組みが飛び出してきたので、興味を持ったのです。

「Simeji」とのコラボレーションは単純に獲得単価を抑えられそうな魅力に加えて、お客様の手元に残るという意味でも良いチャレンジになると思いました。


――バイドゥさんとしては、サンリオさんのほうへアプローチを掛けていたと。

古谷氏元々サンリオさんとは、中国展開に関する相談を受けるなど良い関係を築けていました。その中で、サンリオの担当者の方から『ハロースイートデイズ』をご紹介いただいた経緯があります。

――コラボレーションによって、具体的にどんな施策が実現したのでしょう。

古谷氏:まずは作品の世界観を詰め込んだデザインをキーボードに落とし込めるところですね。そしてそのキーボードは、アプリをインストールしている方であれば誰でも使用できる仕組みになっています。

――佐野さんとしては、実際にコラボを導入してみての手応えはいかがですか?

佐野氏:当初の考えでは、「Simeji」は利用者が多いアプリなので、離脱者が現れる可能性もある程度覚悟の上での運営でした。とはいえ、少しでも離脱者を減らしたい思いから今回のコラボレーションを始めたところ、オーガニックとほとんど変わらない継続率を記録できたのです。キーボードの着せ替えとキャラクターの着せ替えの相性が良かったのかもしれません。「Simeji」をきっかけにアプリをインストールしてもらい、その世界に入り込んでもらう取り組みは成功したと言っていいでしょう。

――ということは、数字にも現れていると。

佐野氏:獲得単価の効率で言えば、以前の数字から6倍以上になりました。私たち自身ですら驚きの効果でした。


 

■派手さだけではない、「入力体験を損なわない」こだわり


――キーボードアプリ自体は他社にも似たサービスがあるかと思います。その中で、「Simeji」ならではの強みはどこにあると考えていますか?

古谷氏:顔文字や絵文字の豊富さ、クラウド超変換、音声入力機能など、他のキーボードアプリには存在しない機能が多く備わっています。また、先行者の強みと言いますか、利用者の皆様の支持を背景に多くのIPとコラボできている点もあります。スマートフォンにとってキーボードは切っても切り離せないもので、文字を打って楽しいと思ってもらえる、“入力体験”こそが「Simeji」ならではの特徴だと考えています。

――現在のスマートフォン向けのゲームはチャット機能が当たり前のように導入されているので、キーボードアプリとの相性も良さそうですね。

古谷氏:そうですね。Simejiのきせかえの場合は他のリワードと違って、「かわいいから」「使ってみたいから」という純粋な動機で手に入れてもらうケースが多いです。かわいいと思ってくれる方は、最初からある程度世界感を理解してくれているわけですし、そのゲームにとどまってくれるのも自然な流れなんだと思います。

――ココネさんは、今後も別タイトルでコラボレーションを実施する考えはあるのですか?

佐野氏:もちろんです。今は『ハロースイートデイズ』で第2弾コラボを進めているところで、他のタイトルでもなにか取り組みができないか、模索しているところです。

――バイドゥさんとしては、どんなゲームとのコラボが好相性だと考えていますか?

古谷氏:「Simeji」のメインユーザーは10代の女性で、この層に響くゲームは好相性と言っていいと思います。あとはキャラクターの魅力や世界観をキーボード上に落とし込みやすい作品ですね。

――コラボレーションしたキーボードを導入する際は、スムーズに作業を行えましたか?

佐野氏:導入に関してはバイドゥさんの手厚いサポートがあり、特に困ることはありませんでした。こちらからもキーボードのデザインやエフェクトの提案を積極的にできて、版元であるサンリオさんも喜んでくれました。

――バイドゥさんがキーボードのデザインやエフェクトを制作するとき、どんな点を意識していますか?

古谷氏:コラボレーションを行うたびにお伝えしているのは、「入力体験を損なわないように」ということです。これまでに身につけてきた、「どんなデザインなら入力しやすいか」というノウハウを生かして、アプリベンダーさんや版元さんとコミュニケーションを取りながら、派手すぎず、見やすいデザインを作るよう意識しています。

佐野氏:キーボードの着せ替えアプリの中には、大胆にキャラクターを配置して、見やすさよりもインパクトを重視したものもあります。「使いにくくないのかな」とも思うんですけど、多くのお客様はキーボードの位置を体で覚えているので、実際に不便に思うことはないようです。しかし私たちはまず利便性を重視して、使いやすく、なおかつ使っていて嬉しくなるデザインにしようと考えました。


だから今回のコラボで生まれたキーボードは、どれもが分かりやすく、それでいて動かすとキャラクターと触れ合える仕上がりになっています。もうひとつ面白いのが、キャラクターの名前などを入力すると特別な動きを行ってくれるエフェクトも存在して、これもコラボレーションならではだと思います。



――ココネさんとバイドゥさん、それぞれの今後の展開についてお教えください。

佐野氏:まずは『ハロースイートデイズ』と「Simeji」のコラボ第2弾を、9月5日から実施しています。こういったコラボレーションは回を重ねるごとに効果が薄くなるケースが目立ちますが、弊社のスタッフは「負けません」と力強く話していました(笑)。実際、第1弾と比べてもさらにかわいい、自信作ですのでぜひ試してもらいたいです。

また、8月末から9月頭にかけて、新しいTVCMの放映もしました。今後もトータルプロモーションとして展開していきたいので、注目してもらいたいですね。

古谷氏:コラボというところだと、ユーザーさんが喜ぶことは今後もどんどんやっていきたいです。最近のユーザーアンケートでもコラボに関する要望は多くいただいているので、可能な限り応えられるよう努力します。また、コラボレーション企画は期間限定のケースが多く、入手できなかったユーザーさんも多く存在します。そういった方々に、なんらかの形で再度提供できる機会を作ることも検討しています。




――最後に、読者に向けて一言コメントがあればお願いします。

佐野氏:新しいマーケティング手法は常に探していて、「Simeji」を始め、あらゆる取り組みを積極的に検討していきたいです。「Simeji」とのコラボレーションは、世界観がしっかりしているサービスであれば良い効果が生まれるはずです。世界観を愛している人が作れば、お客様にも必ず伝わります。ぜひ多くの方に利用を考えてもらいたいところです。

古谷氏:IPのコラボだけではなく、コミュニケーションを必要とするアプリであれば多彩な展開が考えられます。ご相談だけでも構いませんし、こちらからアイディアを出せることもあるかと思いますので、お声がけいただけると嬉しいです。そしてユーザーの方々に対しては、今後もより良い入力体験を目指し、スマートフォンにマストで入っているようなアプリになれるよう頑張っていきたいです。


――ありがとうございました。

■Simejiコラボきせかえ

 

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■『ハロースイートデイズ 』

 

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会社名
ココネ株式会社
設立
2008年9月
代表者
代表取締役社長CEO 高谷 慎太郎
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