【決算まとめ】ゲーム関連企業33社の7-9月…『DQウォーク』の爆発的ヒットで市場の潮流に変化の兆し コロプラは売上高100億円の大台回復 アカツキも躍進

2019年7~9月期の決算発表シーズンも終了し、主要モバイルゲーム企業の7~9月期の決算も出そろった。全体的な印象としては、大きく落ち込んだ4~6月期から横ばい、もしくはやや回復といった状況で、停滞・成熟という表現が当てはまる結果と言えそうだ。

ただ、そうした市場の中でも、9月12日にリリースされたスクウェア・エニックスの新作『ドラゴンクエストウォーク』が爆発的なヒットとなるなど、市場に変化の兆しも見えてきた。こうした流れは10月、11月も各社の新作がランキングを賑わす形で継続しており、市場環境の潮目に変化が出てくるのか引き続き注目されるところだろう。

さて、今回も主要モバイルゲーム企業の2019年7~9月(一部5~7月期と6~8月期)の決算発表シーズンの内容を振り返ってみたい。なお、これまでと同様に決算期の都合で、gumi<3903>とエイチーム<3662>の数字が2ヶ月前の数字となっているほか、ネクソン<3659>のモバイル事業の売上高も掲載している。また、サイバーエージェント<4751>(表中はCA)は、ゲーム事業の数字のみを取り上げている。

なお、3月20日に東証マザーズに新規上場したギークス<7060>については、参考データが少ないため集計データには加えないものの、今回より個別で四半期業績を取り上げる。7月29日に東証マザーズに新規上場を果たし、9月13日に上場後初の決算発表を行ったブシロード<7803>については、今後四半期推移のデータがそろい次第、取り上げる予定だ。
 

この四半期決算では、33社中の16社が増収、17社減収とほぼ半分の企業が前四半期比で増収となった。大手ゲームが6社増収となっているほか、ミクシィ<2121>やコロプラ<3668>なども増収となるなど、比較的売上規模の大きい企業が売上を伸ばした半面、売上規模20億円未満の企業の減収が目立つなど、やや二極化が進んだ印象だ。

なお、33社を売上高と営業利益の増減別に分けると、以下のようになる(並びはコード順)。

増収増益…ミクシィ<2121>、ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>、コーエーテクモHD<3635>、enish<3667>、コロプラ<3668>、イグニス<3689>、gumi<3903>、アカツキ<3932>、エディア<3935>、LINE<3938>、セガサミーHD<6460>、バンダイナムコHD<7832>、スクエニHD<9684>、コナミHD<9766>
増収減益…マーベラス<7844>、カプコン<9697>
減収増益…ボルテージ<3639>、モブキャストHD<3664>、オルトプラス<3672>、ケイブ<3760>、ドリコム<3793>、Aiming<3911>
減収減益…アクセルマーク<3624>、グリー<3632>、KLab<3656>、エイチーム<3662>、アエリア<3758>、ガンホー<3765>、カヤック<3904>、モバイルファクトリー<3912>、バンク・オブ・イノベーション(BOI)<4393>、サイバーエージェント<4751>、ギークス<7060>
 

■コロプラが売上高100億円の大台を回復 セガサミーHDの収益性が大きく改善


さてでは、まずは四半期売上高100億円以上の企業をまとめたグラフから見てみたい。前回との違いは、やはりコロプラが売上高100億円の大台を回復したことだろう。これは前述の『ドラゴンクエストウォーク』が9月12日にサービスを開始したことで、半月分寄与していることが大きく影響している。同様にスクエニHD<9684>も売上高が500億円台から600億円台に増加しているが、これは『ドラゴンクエストウォーク』の寄与も貢献しているものの、それ以外にMMOゲーム『ファイナルファンタジーXIV』の拡張パッケージの発売や、『ロマンシング サガ リ・ユニバース』(以下『ロマサガRS』)の好調、「マンガUP!」など電子書籍の成長なども大きく寄与した結果だろう。
 

続いて四半期売上高100億円未満の企業を見ると、アカツキが売上高を90億円に迫る水準まで大きく伸ばしている。これは『ロマサガRS』の好調な推移に加え、9月にリリースした新作『ユニゾンエアー』が好調な滑り出しとなったことも大きい。半面、KLabがやや売上高を落としているが、これは主力の、『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』(以下『スクフェス』)や『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~』の売上が減少したこと要因となっている。なお、新作『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS』(以下『スクスタ』)は、期中にリリースとなったものの、9月26日のリリースとなったため、5日分の寄与にとどまっており、これをカバーするには至らなかった状況だ。
 

次に営業利益の四半期推移に目を移したい。今回もグラフの敷居値は10億円に設定している。まずは営業利益10億円以上の企業を見てみると、こちらもコロプラの利益が大きく回復しているほか、セガサミーHDの営業利益が大幅に伸長している。これは、デジタルゲーム分野において、前期に実施した減損処理により費用が減少し、収益性が大きく改善したことが影響している。同社のデジタルゲーム分野はこれで3四半期連続で黒字となっており、一時の不調から脱したとみることができそうだ。
 

営業利益10億円未満の企業に目を移すと、こちらは前四半期に大幅な赤字を計上してきたgumiの収益が大幅な黒字転換となったほか、ドリコムが順調に利益を伸ばす形となっている。ドリコムは、不採算タイトル整理が進んだことに加え、enzaの先行投資が一服し、利益計上フェーズに入ってきたことが全体の収益性の改善につながっている。一方で、エイチームが前四半期の営業利益10億円超から利益を落としているほか、KLabも前四半期比で利益が半減する結果となっている。
※大幅な赤字計上となったLINEは今回も表記上の都合により除外。
 

なお、この四半期の営業赤字計上企業は10社と前四半期2社の減少となった。前述のgumiに加え、エディアが黒字転換を果たしている。ただし、エディアはゲーム事業の改善というよりも電子書籍やドラマCDが拡大が収益性の改善につながった部分が大きい。なお、この2社以外の10社はすべて赤字を計上した格好で、オルトプラスは22四半期、enishは20四半期連続の営業赤字となっている。
 
 

■モバイルゲーム大手の利益は低調な推移が続く 上場SAPの営業利益率は改善


次にモバイルゲーム大手の売上高推移と営業利益推移をまとめたグラフを見てみよう。売上高は前四半期比では増収となったものの、その前の期や前年同期比よりは売上高が減少している。これで底打ちとなるのかどうかを見極める上でも次の四半期の動向が気になるところだ。

一方、営業利益は大きく落ち込んだ前四半期からほぼ横ばいとなるなど低調な推移が続いている。コロプラやミクシィ、DeNAは増益となったものの、特にガンホーが前四半期比31%の営業減益となっていることが全体を大きく押し下げた格好だ。ちなみにこの数字には、前四半期に続きLINEが計上している営業赤字(この四半期は57億円)は加味されていない。
 


上場SAPの売上高推移と営業利益推移は、売上高はほぼ横ばいとなり、安定的な推移が続いている状況だ。一方、営業利益は合算で前四半期比77%の増加となっている。前述のgumiの黒字化に加え、アカツキの営業利益が前四半期比10億円超の増加となっていることがやはり大きく貢献している。
 



ここまで市場全体の状況を見てきたが、市場全体ではほぼ横ばいの状況ながらこの四半期の後半に『ドラゴンクエストウォーク』という大ヒットタイトルが生まれたことが市場の風向きを変えつつある。ちなみにこの四半期中もアカツキの『ユニゾンエアー』やKLabとブシロードの『スクスタ』などがリリースされているが、10~12月はやや新作の活躍が目立つ展開となっており、市場の風向きがさらに変わっていくことも期待される。

続いて、各社の個別の状況を見てみたい。なお、大手ゲーム各社については、下記の記事を参照していただきたい。

▼大手ゲーム各社まとめ(参照)
【大手ゲーム中間決算まとめ】6社中4社が営業増益…スマホゲームとMMO好調のスクエニとセガサミー、モンハン好調のカプコンが大幅増
 

■増収増益組


・ミクシィ<2121>
第2四半期期間(7~9月)の業績をQonQで見ると、売上高は前四半期比25.4%増、営業利益は同46.5%増と2ケタ超の増収増益をなった。期中は主力の『モンスターストライク』において、連続的に大型施策を実施した結果、休眠ユーザーの呼び戻しに成功し、MAU(月次アクティブユーザー数)が大幅に回復した。続く第3四半期も10月に6周年の施策を実施しており、苦戦した第1四半期分のカバーをどのくらいすることができるのかがポイントとなってこよう。

・ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>
第2四半期期間(7~9月)は、QonQで売上高が前四半期比8.0%増、営業利益が同17.4%増となった。ゲーム事業が増収となっているが、これは既存タイトルの貢献によるところが大きく、8月29日より『ポケモンマスターズ』、9月25日より『マリオカート ツアー』をリリースした影響は限定的にものにとどまっている。逆を返せば、これがフル寄与する第3四半期のゲーム事業の動向が気になるところ。

・enish<3667>
第3四半期期間(7~9月)は、QonQで売上高が前四半期比7.4%増となり、売上高10億円台を回復した。これは既存タイトルのゲーム内イベントが奏功したためで、第4四半期はここに10月25日リリースの新作『HiGH&LOW THE GAME ANOTHER WORLD』が乗ってくることになる。ただ、当初は同じ第4四半期リリース予定だった『De:Lithe』と『VGAME』のリリースが来期に期ずれすることとなり、同社が描いていた青写真よりは低い位置の着地となりそうだ。

・コロプラ<3668>
第4四半期期間(7~9月)の業績をQonQで見ると、売上高は前四半期比42.5%増となって四半期ベースで100億円の大台を回復した。また、前四半期は100万円の黒字だった営業利益は24億5900万円と大幅な増益となっている。同社にとって第4四半期は、もともと主力の『白猫プロジェクト』の周年で売上高の山となりやすい四半期ではあるが、今回はそれにスクエニとの共同タイトル『ドラクエウォーク』が半月分オンされた。次の2020年9月期の第1四半期はこの『ドラクエウォーク』のフル寄与で収益が大きく膨らむことが予想される。

・イグニス<3689>
第4四半期期間(7~9月)は、前四半期比で増収、赤字幅縮小となっているが、恋愛・婚活マッチングサービス「with」など「コミュニティ」のジャンルの貢献によるところが大きい。一方のゲームジャンルについては、ドリコムに『ぼくとドラゴン』と『猫とドラゴン』を譲渡することを決定したほか、『でみめん』のサービスも終了するなど事業自体から撤退することを打ち出した。なお、ゲームからの撤退に伴い、次回もしくはその次のこの決算まとめ記事の集計データからは、除外する予定だ。

・gumi<3903>
第1四半期(5~7月)は、QonQで売上高が前四半期比18.7%増、営業利益は前四半期の8億8300万円の赤字から1億2900万円の黒字に転換した。映画「誰ガ為のアルケミスト」制作費計上など一過性の費用がなくなったことに加え、不採算タイトルの早期撤退やスタジオの統廃合などの実施による費用の減少も収益性の改善につながった。なお、スクエニと共同開発した『FFBE幻影戦争』は11月14日のリリースとなり、第3四半期以降の収益貢献となる見通し。

・アカツキ<3932>
第2四半期期間(7~9月)は、昨年12月にリリースした『ロマサガRS』がけん引役となり、売上高はQonQで前年同期比30.9%増、営業利益は同46.2%増と大幅な増収増益を達成した。また、9月24日にリリースした新作『ユニゾンエアー』は7日分の貢献となっている。この『ユニゾンエアー』については、フル寄与となる第3四半期のプラス要素として期待される。

・エディア<3935>
第2四半期期間(6~8月)の業績をQonQで見ると、売上高は前四半期比10.3%増となり、営業利益は前四半期の5600万円の赤字から700万円の黒字に転換した。子会社の書籍やドラマCDの堅調な推移がグループの収益の改善につながっている。ゲームサービスは、『アイドルうぉーず』を譲受するなどセカンダリの取り組みが進んでいるが、『SHOW BY ROCK!!』のサービスを12月26日で終了することが決定し、サービス全体のボリュームは縮小することになりそうだ。

・LINE<3938>
第3四半期期間(7~9月)は、QonQで売上高が0.9%増の微増となり、営業赤字は前四半期の139億円の赤字から57億円の赤字に縮小した。戦略事業での投資先行が続いている状況だが、『LINEマンガ』や『LINE MUSIC』といった非ゲームのコンテンツ領域の好調ぶりが際立っている。なお、同社はZHDとの経営統合が基本合意となっており、その過程で非公開化される予定だ。
 

■増収減益組


・マーベラス<7844>
第2四半期期間(7~9月)の業績は、QonQで売上高が前四半期比39.8%増となったものの、営業利益は同9.1%減となった。Nintendo Switch向け『ルーンファクトリー4スペシャル』を7月25日、『DAEMON X MACHINA』を9月13日に発売したコンシューマ事業が売上高を大きく押し上げた。オンライン事業は、『ログレス物語』を9月18日、『ガール・カフェ・ガン』を9月20日より配信開始したが、期間が短く、この第2四半期期間への貢献はともに限定的なものにとどまっている。
 

■減収増益組


・ボルテージ<3639>
第1四半期(7~9月)は、売上高が前四半期比3.2%減となったものの、営業赤字は前四半期の8400万円から7400万円に縮小した。イベント・ライツ展開やコンシューマ展開など「アプリ外」の売上が増加したものの、「英語女性向け」や「日本語女性向け」の減収をカバーするには至らなかった。一方で損益の改善は、採用抑制に伴う人員減などによる費用削減が奏功したものとなる。

・モブキャストHD<3664>
第3四半期期間(7~9月)の業績をQonQで見ると、売上高は前四半期比5.2%減ながら営業赤字は前四半期の4億4500万円から2億6400万円に縮小した。ゲーム事業の広告宣伝費の減少などにより販管費が減少し、営業赤字幅の縮小につながった。なお、運用体制を見直し・コスト改善に取り組んでいた『ナナカゲ ~7つの王国と月影の傭兵団~』は来年1月31日をもってサービスを終了することが決定した。

・オルトプラス<3672>
第4四半期期間(7~9月)は、QonQで売上高が前四半期比12.5%減となったものの、営業赤字は前四半期の2億7000万円から1億8100万円に縮小した。グループで事業の選択と集中を進め、コア事業と選定したゲーム事業と人材マッチングサービスを行うゲーム支援事業を中心とするゲーム関連事業、ベトナム子会社を利用したオフショア開発事業に経営資源を集中した。なお、12月の配信開始を予定していた『ヒプノシスマイク -Alternative Rap Battle-』は、来年3月下旬に配信が延期となっている。

・ケイブ<3760>
第1四半期(6~8月)は、『ロード・オブ・ダンジョン』『三国ジャスティス』のサービス終了の影響もあって、スマホゲームの売り上げが大きく減少し、前年同期比で14.9%の減収となった。一方でそれらの不採算タイトルのサービス終了が収益性の改善につながり、営業赤字は前四半期の1億2100万円の赤字から7300万円の赤字に縮小した。なお、この第1四半期は、新たに受託開発事業を開始したほか、非ゲーム領域の新規事業への取り組みも進めている。

・ドリコム<3793>
第2四半期期間(7~9月)の業績をQonQで見ると、売上高は前四半期比0.8%減と微減したが、営業利益は同59.4%増と利益率が大きく改善した。不採算タイトルの整理やenzaの先行投資が一服したことが大きく影響している。また、8月21日からバンダイナムコエンターテインメントが配信開始した『スーパーロボット大戦DD』の開発協力を行っており、これが第3四半期はフル寄与する見通し。

・Aiming<3911>
第3四半期期間(7~9月)は、売上高が前四半期比5.4%減となったものの、営業赤字は前四半期の4億3400万円の赤字から2億9100万円の赤字に縮小した。PC版『剣と魔法のログレス』や『ゲシュタルト・オーディン』などの終了によって売上高は減少したものの、広告宣伝費や人件費の減少などで赤字幅は縮小した。なお、年内のリリースが予定されていたゲーム系IPタイトルは、来期にリリースが期ずれとなる見込み。
 

■減収減益組


・アクセルマーク<3624>
第4四半期期間(7~9月)は、QonQで売上高が前四半期比2.6%減となり、営業赤字は前四半期の1億8300万円から2億2700万円に拡大した。広告事業の「トレーディングデスク」での大型スポット案件の影響でQonQで減収となった。一方、ゲーム事業の新作『カラーピーソウト』のプロモ施策により広告宣伝費が増加したことが赤字幅拡大につながった。

・グリー<3632>
第1四半期(7~9月)は、売上高が前四半期比で9.3%減、営業利益が同12.3%減とQonQで減収減益となった。前四半期に『シノアリス』や『戦姫絶唱シンフォギアXD』『アナザーエデン』など複数のタイトルで周年施策を実施した反動が出た格好。なお、2020年6月期は、新作2本をリリース予定(子会社WFSが開発した『ソードアート・オンライン アリシゼーション・ブレイディング』が11月20日より配信開始)としている。

・KLab<3656>
第3四半期期間(7~9月)は、売上高で前四半期比9.3%減、営業利益で55.4%減と減収減益となった。『BLEACH Brave Souls』は好調だったものの、『スクフェス』や『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~』などの売上が減少した。一方で新作『スクスタ』は、9月26日にリリースされたため、第3四半期は5日分の寄与にとどまっており、フル寄与する第4四半期にどのくらいの貢献をしてくることになるのか注目されるところ。

・エイチーム<3662>
第4四半期期間(5~7月)の業績をQonQで見ると、売上高は前四半期比4.0%減、営業利益は同36.3%減となった。ライフスタイルサポート事業は、四半期ベースで過去最高の売上高を更新したものの、エンターテインメント事業の売上高が前四半期比14.1%減と落ち込んだ。こうした状況を踏まえ、同社はゲーム事業をスマホ専業から方針転換することを打ち出しており、IPタイトルとグローバル展開を軸にしつつ、家庭用ゲームやPCゲームも含むマルチデバイス展開を行っていく方針だ。

・アエリア<3758>
第3四半期期間(7~9月)は、QonQで売上高が前四半期比0.5%減とほぼ横ばいの推移となったものの、営業利益は同65.8%減と大幅な減益になった。子会社リベルの『A3!』と『蒼焔の艦隊』が引き続き貢献しているほか、連結対象となったサイバードのコンテンツも業績に寄与した。リベルの新作『CUE!』は10月25日よりサービス開始となっており、次の第4四半期にどう寄与してくるのか注目される。

・ガンホー<3765>
第3四半期期間(7~9月)の業績をQonQで見てみると、売上高は前四半期比1.0%減とほぼ横ばいの推移となったものの、営業利益は同31.9%減となった。今年6月より『ラグナロク マスターズ』、7月よりカプコンとの共同開発タイトル『TEPPEN』のサービスを開始(※海外サービスが7月、国内は8月)しており、既存タイトルの減少分をカバーした。ただ、これら新作のテレビCMなど広告宣伝費が膨らんだことが大幅な減益の要因となっている。

・カヤック<3904>
第3四半期期間(7~9月)は、売上高が前四半期比7.4%減となり。営業赤字は前四半期の1億6400万円から2億7800万円に拡大した。大型案件の受注とうんこミュージアムが増収に寄与し、クライアントワークは前四半期比36.1%の増収となったものの、新規タイトルが想定を下回って推移したことでソーシャルゲームは同27.6%の減収となった。なお、DeNAが配信・運営を担当する『HUNTER×HUNTERアリーナバトル』の開発に参加していることを明らかにしている。

・モバイルファクトリー<3912>
第3四半期期間(7~9月)の業績を四半期推移(QonQ)で見てみると、売上高は前四半期比18.5%減、営業利益は同10.3%減となった。これは、第2四半期期間において、主力の位置情報連動型ゲーム『ステーションメモリーズ!』(『駅メモ!』)が6月にコロプラ版の5周年を迎え、その記念施策を実施していた反動が大きい。『駅メモ!』は、第4四半期期間にアプリ版の周年を迎えるため、次の四半期はQonQで増収増益となる可能性が高い。なお、2020年中にリリース予定の新作位置情報ゲームの開発を開始している。

・バンク・オブ・イノベーション(BOI)<4393>
第4四半期期間(7~9月)は、売上高が前四半期比12.0%減、営業利益は同62.3%減と2ケタ超の減収減益となった。『幻獣契約クリプトラクト』は健闘しているものの、『ミトラスフィア』の落ち込みがやや目立つ格好となっている。なお、現在進捗中の海外版の収益は、2020年9月期の第1四半期以降に計上する見込み。

・サイバーエージェント<4751>
第4四半期期間(7~9月)の業績は、全体で売上高が前四半期比1.7%減、営業利益が同21.3%減となり、ゲーム事業では売上高が1.3%減、営業利益が16.4%減となった。ゲーム事業は、新たに貢献する大きく新作がなかったことが減収減益の要因となっている。ただ、2020年9月期に入ってからは、アプリボットの新作『ブレイドエクスロード』やCygamesの『ワールドフリッパー』など新作もリリースされ、順調なスタートを切っており、次の四半期の動向が注目されるところ。

・ギークス<7060>
第2四半期期間(7~9月)の業績を四半期推移(QonQ)で見てみると、売上高は前四半期比37.1%減、営業利益は同48.9%減となった。ただ、これはゲーム事業において、第1四半期に新作ゲームが1本リリースとなり、新規開発収入によるフロー売上を計上していることによるものとなる。なお、ゲーム事業は来年度以降の売上に向けた2案件の有力IPを用いた大型案件の受託開発を開始している。
 

■まとめ


この四半期の各企業の業績を見ると、増収増益となった企業が14社と最も多く、市場全体の低迷ぶりが目立った前四半期と比べると少し状況が好転しつつあるようだ。

また、この四半期から新作が寄与した企業や、次の四半期に寄与する新作が四半期の後半にリリースされた企業が多く、これらのタイトルが直帰のアプリストアランキングで活躍しているケースも多く見受けられる。

『ドラゴンクエストウォーク』という国内企業の大型のヒットタイトルが生まれたことが市場のカンフル剤となり、次の四半期もこうした新作群の活躍で市場の新陳代謝が進んでいく、そんな展開も期待されるのではないだろうか。
 
(編集部:柴田正之)









 
株式会社アカツキ
http://aktsk.jp/

会社情報

会社名
株式会社アカツキ
設立
2010年6月
代表者
代表取締役CEO 香田 哲朗
決算期
3月
直近業績
売上高239億7200万円、営業利益26億7600万円、経常利益28億3400万円、最終利益12億8800万円(2024年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3932
企業データを見る
株式会社コロプラ
https://colopl.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社コロプラ
設立
2008年10月
代表者
代表取締役会長 チーフクリエイター 馬場 功淳/代表取締役社長 宮本 貴志
決算期
9月
直近業績
売上高309億2600万円、営業利益28億5800万円、経常利益32億7600万円、最終利益18億9300万円(2023年9月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3668
企業データを見る
株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス
https://www.hd.square-enix.com/jpn/

会社情報

会社名
株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス
設立
1975年9月
代表者
代表取締役社長 桐生 隆司
決算期
3月
直近業績
売上高3563億4400万円、営業利益325億5800万円、経常利益415億4100万円、最終利益149億1200万円(2024年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9684
企業データを見る