ドリコム<3793>は、1月31日、第3四半期累計(2019年4~12月)の連結決算を発表するとともに、東京都内でアナリスト・機関投資家向けの決算説明会を開催した。発表した決算は、売上高69億7200万円(前年同期比12.3%減)、営業利益5億3000万円(同7億0400万円の赤字)、経常利益5億1400万円(同12億8200万円の赤字)、最終利益3億9000万円(同13億7200万円の赤字)と大幅な黒字転換に成功した。
決算説明会に臨んだ内藤裕紀社長(写真)は、「想定していなかった『魔界戦記ディスガイアRPG』がリリースされた。6月から開発・運営に参画したプロジェクトだが、リリース後、垂直立ち上がりを実現した。enzaも好調だった」と振り返った。このほか、すでに報じたように、enzaを運営するBXD株式の売却の経緯や、今後のアプリ開発の方針についても説明があった(記事下で一覧にした関連記事を参照のこと)。
第3四半期(10~12月)の業績を見ていこう。
■BXDが貢献し経常利益は52.6%増と大幅増益に
売上高は、前四半期比で11.1%増の24億8300万円だった。『魔界戦記ディスガイアRPG』と『ジャンプヒーロー大戦 -オレコレクション2-』の運用が始まったことで売上が2ケタの伸びとなった。ただし、これに伴い、運営費用やソフトウェア資産の費用計上などコストが増えたことに加え、秋~冬のG1レースに合わせて強化した『ダービースタリオンマスターズ』の広告宣伝費が増加し、営業利益は同2.7%減の1億9800万円にとどまった。
なお、これまで既存タイトルの不採算プロジェクトへの対応を行っていたが、既存ゲームは4四半期連続で営業黒字となるなど収益が改善した。既存ゲームについては、不採算になっているタイトルはまだ残っているため、第4四半期(2020年1~3月)で引き続き費用圧縮に注力する予定。また、enza向けの事業についても黒字となった。
また、経常利益については、同52.6%増の2億1900万円と大幅な伸びを見せた。持分法適用会社であるBXDの業績が好調に推移し、持分法投資利益が計上されたことによる。最終利益1億7600万円(同93.0%増)も大幅な増益となった。
■第4四半期の見通し…一時的なコスト増で減益に
続く第4四半期(1~3月)は、売上高は前四半期比30.0%増の32億2900万円となる見通し。開発売上を計上することに加えて、『魔界戦記ディスガイアRPG』の四半期ベースでのフル寄与となること、そして、イグニスから3月にグループに加わることが決まった『ぼくとドラゴン』と『猫とドラゴン』が寄与することで大幅な増収となる。
ただ、営業利益は同38.8%減の1億2100万円と大幅な減益となる見通し。同社では、開発したアプリを製作委員会等に納入し売上を計上する一方で、同額を費用計上するため、開発売上の利益インパクトはない。また、すでに触れたように、一部不採算タイトルにも対応するため、この四半期は費用が一時的に増える見通し。内藤社長は、来期から2億円超の営業利益を出すための準備期間と位置づけているという。
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(編集部 木村英彦)
会社情報
- 会社名
- 株式会社ドリコム
- 設立
- 2001年11月
- 代表者
- 代表取締役社長 内藤 裕紀
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高97億7900万円、営業利益9億300万円、経常利益7億9300万円、最終利益1億400万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3793