【決算まとめ③】ゲーム関連企業32社の10-12月は利益率の低下が目立つ結果に 営業益10億円以上は前四半期の13社から10社に減少 グリーも10億円割れに

主要モバイルゲーム企業の2019年10~12月期の決算を引き続き振り返ってみたい。今回は、各社の売上高と営業利益の状況をまとめてみた。

まずは四半期売上高100億円以上の企業をまとめたグラフから見てみると、セガサミーHD<6460>が売上高1000億円超に伸ばしている。これはパチスロ・パチンコなどの遊技機事業の収益が大きく回復したことに加え、『プロサッカークラブをつくろう! ロード・トゥ・ワールド』と『北斗の拳 LEGENDS ReVIVE』の売上が好調に推移したデジタルゲームも好調だったためとなる。

また、アリババゲームスとShanghai TCI Network Technologyが共同運営するIP許諾タイトル『三国志・戦略版』が中国本土で好調だったコーエーテクモHD<3635>も売上高100億円の大台を回復している。
 

次に四半期売上高100億円未満の企業を見ると、こちらはKLab<3656>が売上高を80億円台、マーベラス<7844>が70億円台後半まで伸ばした一方で、エイチーム<3662>やアカツキ<3932>、アエリア<3758>は売上高を落としている。

KLabとマーベラスはともに昨年9月にリリースした新作が四半期にわたってフル寄与した影響が大きい。ただし、マーベラスは通期予想の下方修正も決算と同時に発表しており、会社側の当初想定からすると物足りない数字となっているようだ。

なお、モブキャストHD<3664>が売上高を20億円超に伸ばしているが、これはゆとりの空間とゲームゲートの2社がこの10~12月期より新たに連結対象となったことがその要因となっている。
 

営業利益の四半期推移に目を移すと、まずは営業利益10億円以上の企業については、前四半期の13社から10社に減少するなど、まずは全体の利益率が大きく減少していることが見て取れる。ただ、その中で前期に減損処理を行った影響などでPCオンライン・スマホゲームの収益が大きく改善したセガサミーHD、『ロマンシング サガ リ・ユニバース』と『ドラゴンクエストウォーク』が好調なスクウェア・エニックスHD<9684>が大きく利益を伸ばしている。

また、スポーツ事業において「のれん」と有形固定資産の減損損失を計上したコナミHDの営業利益を、売上がネット計上となる『ドラゴンクエストウォーク』の貢献で利益率が大きく向上したコロプラ<3668>の営業利益が上回る形となっている。
 

営業利益10億円未満の企業については、ミクシィ<2121>とDeNA<2432>、KLab<3656>の3社が赤字に転落した(関連記事)。うち、DeNAは492億円と大幅な赤字を計上しており、114億円の赤字と大幅な赤字がこの四半期も続いたLINE<3938>とともに下記のグラフからは表記上の都合により除外している。

また、営業利益10億円を下回る結果となったグリー<3632>や、前四半期の6億円超から1億円台まで利益を落としたエイチームなど全般に減益となった企業が目立っている。なお、グリーの営業利益は2009年以降で最も低い水準となっている。

一方でカヤック<3904>が前四半期の2億円超の赤字から黒字転換を果たしている。同社は、ゲーム事業について高リスク・高リターンの自社開発型から受託開発型にシフトする方針も打ち出しており、次の四半期以降も安定的に利益を計上していくことになるのか注目されるところだ。